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第一話 これは夢だ……
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「あれ、ここどこだろう」
目を覚ますとそこは、森だった。
つい先程まで自宅にいたはずなのに何故か屋外にいる。
「はあ、もう一回寝ればきっと夢から覚めるよね」
そう、これは夢なのだ。
何もかも嫌になりすぎて現実逃避した結果見ている都合の良い夢。
そう思い込んで再び眠りにつこうと思ったわけなのだが、横からそれを静止するように声がかかる。
『お、おい、これは夢ではない! まず俺を無視するな!』
声がした方をみると綺麗な鳥がいた。
「鳥? あー今度鳥でも飼おうかな」
『俺は鳥ではない! 神より使わされたフェニックスだ!』
「へー、そうなんだ……じゃあおやすみー」
『だから俺を無視するなと言っているだろ!』
この鳥、いやフェニックスと言っていたか? まあなんでもいいが、とにかく私の睡眠の邪魔をしてくる。
しかしせっかくの休日、睡眠の時間を邪魔されるなんてたまったもんじゃない。
「私は疲れてるから、遊んで欲しいなら他の人を探しなー」
『だからこれは夢ではないと言っているだろ! あれを見ろ!』
「んー?」
見ないとうるさそうだからとりあえず言われた方向を見る。
するとそこには涎を垂らしてこちらに襲い掛かろうとしている狼がいた。
「え、ちょっと、あれはガチでやばいやつなんじゃ」
『だから言っておるではないか』
「いやいや、フェニックスだっけ? あの狼やばいよ私のこと食べようとしてるって」
流石の私でも自分の命の危険ぐらいはわかる。
あの狼の目は獲物を狙う肉食獣の目。
私をみる目はギラギラと輝いていた。
「フェ、フェニックスさん? 私ちょっとお花摘みに行ってくるから、その間この狼さんと遊んでてよ」
あわよくばこの自称フェニックスを囮にして自分だけでも逃げようとしたわけだが、逃げようとした私の服の襟をフェニックスに掴まれたため叶わなかった。
『何を言っておる。これはお前に倒させるためにわざわざ連れてきたのだ。わかったならさっさと倒せ』
「いやいやいやいや、フェニックスさんや。か弱い私にこんな強そうな狼が倒せるわけないでしょ?」
『魔法を使えるだろう?』
「はあ? 漫画の世界じゃないんだし」
そんなことを話していると狙いを定めた狼がこちらに飛びかかってきた。
間一髪避けるが、少し反応が遅れ爪が腕をかすった。
「って、いった……」
かすったところは血が滲み、淡く熱を持っている。
感じる痛みは、私にこれが現実なんだと思い知らせるには十分だった。
『ほら、さっさとしないとまた襲いかかってくるぞ』
「だから、魔法なんか使えないって言ってるじゃん!」
狼の攻撃をなんとか避けながら無茶ばかり言うフェニックスに怒った。
『何か倒す方法をイメージしろ、そしてそのイメージを現実にするように魔力を流すんだ』
「魔力?! そんなの私持ってないけど?」
それにイメージしろって、厨二病じゃあるまいし。
しかしぐちぐち言ってもこのまま何もしなければ死ぬのは時間の問題。
とりあえず言われた通りイメージすることにした。
(えーっと、まず狼の足元を凍らせて動きを封じよう)
足に氷がまとわりつき動かなくなるようイメージしてなんとなく力を込める。
するとイメージが現実となり、足を凍らされた狼は目の前で動きを止めた。
「え、ほんとにできた……」
『油断するな、そんな魔法ただの足止めにしかならないぞ』
「わ、わかってるよ」
グロいのは嫌だからできるだけ血を見ないように倒したい。
(だったら……)
今度は水の玉を狼の頭に被せるようにイメージして、再び力を込めた。
すると顔を水で覆われた狼は次第に息ができなくなり、地面に倒れる。
「やった……?」
『まあ初めてにしてはよくやった方なんじゃないか?』
「はあ」
一気に疲れが押し寄せ、私は地面に倒れ込んだ。
「もう、なんなのこのやけにリアルな夢?」
これがなんだかんだ言って最高の相棒となるダイスとの出会いだった。
──────────
最初っから最悪な主人公ですが、きっといい方向に進んでくれるはずなので、ぜひお気に入り登録お願いします!
十話くらいまでは毎日定期投稿です!
目を覚ますとそこは、森だった。
つい先程まで自宅にいたはずなのに何故か屋外にいる。
「はあ、もう一回寝ればきっと夢から覚めるよね」
そう、これは夢なのだ。
何もかも嫌になりすぎて現実逃避した結果見ている都合の良い夢。
そう思い込んで再び眠りにつこうと思ったわけなのだが、横からそれを静止するように声がかかる。
『お、おい、これは夢ではない! まず俺を無視するな!』
声がした方をみると綺麗な鳥がいた。
「鳥? あー今度鳥でも飼おうかな」
『俺は鳥ではない! 神より使わされたフェニックスだ!』
「へー、そうなんだ……じゃあおやすみー」
『だから俺を無視するなと言っているだろ!』
この鳥、いやフェニックスと言っていたか? まあなんでもいいが、とにかく私の睡眠の邪魔をしてくる。
しかしせっかくの休日、睡眠の時間を邪魔されるなんてたまったもんじゃない。
「私は疲れてるから、遊んで欲しいなら他の人を探しなー」
『だからこれは夢ではないと言っているだろ! あれを見ろ!』
「んー?」
見ないとうるさそうだからとりあえず言われた方向を見る。
するとそこには涎を垂らしてこちらに襲い掛かろうとしている狼がいた。
「え、ちょっと、あれはガチでやばいやつなんじゃ」
『だから言っておるではないか』
「いやいや、フェニックスだっけ? あの狼やばいよ私のこと食べようとしてるって」
流石の私でも自分の命の危険ぐらいはわかる。
あの狼の目は獲物を狙う肉食獣の目。
私をみる目はギラギラと輝いていた。
「フェ、フェニックスさん? 私ちょっとお花摘みに行ってくるから、その間この狼さんと遊んでてよ」
あわよくばこの自称フェニックスを囮にして自分だけでも逃げようとしたわけだが、逃げようとした私の服の襟をフェニックスに掴まれたため叶わなかった。
『何を言っておる。これはお前に倒させるためにわざわざ連れてきたのだ。わかったならさっさと倒せ』
「いやいやいやいや、フェニックスさんや。か弱い私にこんな強そうな狼が倒せるわけないでしょ?」
『魔法を使えるだろう?』
「はあ? 漫画の世界じゃないんだし」
そんなことを話していると狙いを定めた狼がこちらに飛びかかってきた。
間一髪避けるが、少し反応が遅れ爪が腕をかすった。
「って、いった……」
かすったところは血が滲み、淡く熱を持っている。
感じる痛みは、私にこれが現実なんだと思い知らせるには十分だった。
『ほら、さっさとしないとまた襲いかかってくるぞ』
「だから、魔法なんか使えないって言ってるじゃん!」
狼の攻撃をなんとか避けながら無茶ばかり言うフェニックスに怒った。
『何か倒す方法をイメージしろ、そしてそのイメージを現実にするように魔力を流すんだ』
「魔力?! そんなの私持ってないけど?」
それにイメージしろって、厨二病じゃあるまいし。
しかしぐちぐち言ってもこのまま何もしなければ死ぬのは時間の問題。
とりあえず言われた通りイメージすることにした。
(えーっと、まず狼の足元を凍らせて動きを封じよう)
足に氷がまとわりつき動かなくなるようイメージしてなんとなく力を込める。
するとイメージが現実となり、足を凍らされた狼は目の前で動きを止めた。
「え、ほんとにできた……」
『油断するな、そんな魔法ただの足止めにしかならないぞ』
「わ、わかってるよ」
グロいのは嫌だからできるだけ血を見ないように倒したい。
(だったら……)
今度は水の玉を狼の頭に被せるようにイメージして、再び力を込めた。
すると顔を水で覆われた狼は次第に息ができなくなり、地面に倒れる。
「やった……?」
『まあ初めてにしてはよくやった方なんじゃないか?』
「はあ」
一気に疲れが押し寄せ、私は地面に倒れ込んだ。
「もう、なんなのこのやけにリアルな夢?」
これがなんだかんだ言って最高の相棒となるダイスとの出会いだった。
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