上 下
94 / 131
第四章〜オレンジ王国〜

思ったよりも簡単な作戦だった

しおりを挟む
~カナside~
 あれから5日ほど経った。
 明日は奴隷商人を捕まえる日である。
 今まで一人で活動していたが、明日はディランさん達にも協力してもらいたいと思い、お城に来ていた。

『アジトはここね。ってこの姿じゃ指差せないや』

 鳥の姿できていたが、作戦会議をしているのにこの姿は合わないと気付く。
 人間の姿になってもう一度指を差した。

「そんで、外の見張りは常に二人。中に入ると一人がずっとへばりついてくる。明日の作せ……」
「待て待て、中に入るとって、どうやって入ったんだ?」
「普通に客として入ったけど?」
「……はあ、よく入れたな」

 普通に答えただけなのに何故かため息をつかれる。

「? まあいいや、明日の作戦なんだけど私が決めちゃっていい?」
「もちろん」
「今店に出入りしている客は一人しかいないの。だからその人が出てきたタイミングで突入して欲しい」
「その人は協力者なのか?」
「協力者っていうか私。正確に言えば私が見せてる幻影ってとこかな」

 ディランさんから手紙が来た後すぐ、私はアジトを突き止め客として潜入した。
 普通に入るのはつまらなかったから幻影で潜入することに。
 それから、余計な被害を増やさないために1週間店を独占した。
 以外にも店員は不自然な要求をすんなり飲み込んでくれ、さらには脅しておいたから他の客もいれてないようだった。

「私が買った被害者は街の外にある森で保護してる。とくに怪我もなく回復してるよ。捕まえた後にちゃんと家まで送り届けるね」

 あの店で売られていた人達はほとんど獣人の子供達だった。
 買い取って森に移動した時はとてもビクビクしていたが、安全だということや、作戦のことを伝えるときちんと理解してくれた。
 おそらく今もイリスやオリヴィアちゃんと遊んでいることだろう。

「言ってくれれば王城に部屋を用意したぞ」
「それじゃあバレちゃうでしょ。実際に後をつけられてたからね。怪しまれないようにまくのが大変だったよ」
「だが、森にいるっていうのは」
「あー、もちろん野宿じゃないよ。勝手に家建てちゃったけど、作戦が終わったら壊すから安心して!」
「……ああ、わかっていたつもりだった」
「まあいいや。とりあえず、明日は私の幻影が出てくるまで外で待機。朝の10時頃予定。出てきたら敵は全員気絶させてると思うから、一応警戒しつつ捕まえて」
「わかった。だがこれくらいなら俺達が協力しなくてもよかったんじゃないか?」

 確かにディランさんの言う通りだ。
 しかし、この数日探った感じだと他にも奴隷商人がいるようだった。
 捕まえるならいっその事一度で終わらせたい。

「他の奴らも捕まえたいんだよね。あのさ、王都の中心ってどこ?」
「ここだな」
「それじゃあ明日、ここにお邪魔するね。ちょっと大規模な魔法を使いたいから街の中心の方が良くて」
「俺も一緒にいていいか?」
「もちろん。ではまた明日、よろしくお願いします」

 特に詳しい説明をしていないが、理解してくれたようだった。
 作戦に関しては問題無さそうだけど、一応手紙で送っておこう。
 そして、ついに決行の日になった。

 







──────────
あともう少し……
今週中には元の更新速度に戻ります!
全然話が進みませんでしたがそろそろ第四章も完結の予定です!
大変長らくお待たせしましたm(_ _)m
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫
ファンタジー
公爵家令嬢のアリーシャは、我儘で傲慢な妹のアンネに婚約者であるカイル王太子を寝取られ学院卒業パーティの席で婚約破棄されてしまう。 そして失意の内に王都を去ったアリーシャは行方不明になってしまう。 そんなアリーシャをラッセル王国は、総力を挙げて捜索するが何の成果も得られずに頓挫してしまうのであった。 彼女――、アリーシャには王国の重鎮しか知らない才能があった。 それは、世界でも稀な大魔導士と、世界で唯一の聖女としての力が備わっていた事であった。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

ゆとりある生活を異世界で

コロ
ファンタジー
とある世界の皇国 公爵家の長男坊は 少しばかりの異能を持っていて、それを不思議に思いながらも健やかに成長していた… それなりに頑張って生きていた俺は48歳 なかなか楽しい人生だと満喫していたら 交通事故でアッサリ逝ってもた…orz そんな俺を何気に興味を持って見ていた神様の一柱が 『楽しませてくれた礼をあげるよ』 とボーナスとして異世界でもう一つの人生を歩ませてくれる事に… それもチートまでくれて♪ ありがたやありがたや チート?強力なのがあります→使うとは言ってない   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 身体の状態(主に目)と相談しながら書くので遅筆になると思います 宜しくお付き合い下さい

烙印を理由に婚約破棄。その結果ステータスALL1000の魔導師になりまして

流雲青人
ファンタジー
生まれながらに魔力を一切持たずに生まれたエデンは直ぐに跡取り失格の烙印を押されてしまう。幼い頃は気にしなかった烙印だが、成長していくのにつれ次第にその烙印を気にするようになっていく。性格も暗くなり、笑顔を見せなくなったエデンだったが婚約者が出来、エデンの人生は大きく変わった。 だがある日突然その悲劇は起こった。 「君との婚約を取り消したい」 婚約者からまさかの婚約破棄 その悲しさのあまり、エデンに本来目覚める筈のなかった魔力が目覚める。しかしそれは平均ステータスの300を大きく上回る、ALL1000のステータスだった。 こうして最強の力を手に入れたエデンは家を飛び出し、のんびり自由に生きていく……筈だった。 という物語。 題名変更しました 題名について考えてくれた皆さん、本当にありがとうございましたm(*_ _)m ※3月24日、完結しました

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

処理中です...