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第三章〜ローゼ王国〜

作戦会議

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 宿で私とイリスさんは今後の作戦を考えていた。

「まずどうやって戦争を止めるかだよね」

 ちなみにこの宿は動物も一緒に泊まれるそうなので、今は猫の姿で話している。

『何とか説得できないかな?』
「どうだろう。でも王太子以外は馬鹿じゃないと思うから話せばわかってくれる気がする」
『イリスさんって、王太子について結構正直に言うよね』

 あのバカとかクズとか、普通の人が聞いたり言われたりしたら傷つく言葉を王太子相手に普通に言ってしまっている。
 でもそのことに対してイリスさんは何も思っていないようだった。

「だって言っても王太子あのバカには聞こえないもん。何を言ったって私の自由だよ」
『まぁそうなんだけどね』

 バカと連呼される王太子が少しだけ可哀想だなと思った私であった。



『それで、どうしようか』
「いつ接触するかわからないからね。待ち伏せでもしてる?」
『うん。両国の兵がぶつかる直前に、ちょうど真ん中に向かって魔法でも放ったらいいんじゃない?』
「それで注目を集めて説得するってこと?」
『そゆこと。私がブラウン王国の兵士たちを足止めしとくから、その間にイリスさんはローゼ王国の兵士たちを説得して』
「おっけー、でも国から出ていった私の話なんて聞いてくれるのかな」

 確かに。
 大丈夫だとは思うけど、もし全く話を聞かない人達だったらどうしようもない。
 武力衝突を防ぐために話そうとしているのに、結局力で解決しなくてはいけなくなる。

『その時は臨機応変に対処しよう』
「そうだね」

 頭を使って疲れたため、今日はもう寝ようということになった、のだが……。

『ねえイリスさん、なんでこの体勢なの?』
「だってもふもふしてて暖かいんだもん」

 部屋の椅子にでも縮こまって寝ようかなと思っていた私は何故かイリスさんに捕まり、抱きしめられて布団に入った。
 イリスさんにとっては最高かもしれないけど、私はちょっと居心地が悪い。

『辛いから離してー!』
「これから呼び捨てで呼んでくれるならいいよ?」

 私がこれまでイリスさんのことをさん付けで呼んでいたのは、私にとってこの世界での先輩だから。
 前世は知らないけど今世は私よりも数年長生きしてる。
 でもそれはイリスさんにとって少し居距離を感じることだったのかもしれない。

『わかったよイリス。これでいいでしょ?』
「うん、ありがとうカナ」

 早速呼び捨てで呼ぶと嬉しそうに笑を零し、頭を撫でてきた。

『呼んだから話して!』

 しかしイリスから聞こえるのは規則正しい寝息。

『寝るの早くない?』

 安心しきった寝顔を見たらどうでも良くなってしまった。
 
『おやすみ、イリス』

 そう言って私も眠りについた。







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