18 / 21
王都での衣装選び
しおりを挟む
「皆さま、準備の方は大丈夫でしょうか」
「ああ、問題ない」
王都からの使いである兵士が、私たちを待っていた。
乗り物を提案されたのだが、近いということで歩きにした。
「それでは皆さま、私に続いてきてください。これより、王都へとお連れします」
王都か、この町へ来るときには、冗談で言っていたのが、本当に行くことになるとは。
「なぁシェルよ。俺の服装で問題ないか?」
「どうしたんですリーダー。いつもみたいにドンと構えてればいいのに」
「そうは言ってもなぁ……」
リーダーは王都行きが決まった後、町で急遽服を新調させた。
なにもそこまでと、思ったのだが。
「俺からしたら、お前達の方がおかしいぞ。いいか、俺たちは王都へ行くんだ。そんな貧乏くさい服でいいのか」
「「貧乏くさい!?」」
私とシェルは、思わず叫ぶ。
この男、自分が新調したのをいいことに、言いたい放題じゃないか。
「ねぇ、シェル? 私思うんだけど、リーダーの服のセンスって微妙よね? 今回のことでわかっちゃった」
「そうだね、あんな服装で良しとしてるんだから。変える前の方がよかった的な?」
「……ム」
リーダーの顔から焦りを感じる。
そんなに気を使っているのか。
私たちは呼ばれたのだから、そこまで考えなくていいと思うんだが。
「よし、わかったぞお前ら! 兵士さん、少し王都では寄り道をお願いしたい。服を見に行くぞ」
「……やだな~」
シェルが本気の顔で嫌がった。
「いらっしゃいませ~」
「お、おう。これが王都の服屋か」
王都へ入った私たちは、兵士さんオススメの服屋を紹介してもらった。
先に中へ入ったリーダーは、さっきの町の服屋との差を感じたのか、驚いている。
「おいおい、二人とも。ここならいい服が手に入りそうだぞ!? 二人も早く探してこい」
「わ、わかったからそんなに押さないで」
興奮しているリーダーに、シェルが店の奥へ連れて行かれる。
私の隣には、それを楽しそうに見るシルフィーが。
「ごめんなさいね、シルフィー。騒がしい人たちで」
「いえいえ、楽しそうで羨ましいくらいです。……私たちも服見ましょうか」
「そうしようか」
なにも買わないとリーダーは許してくれないだろう。
それに、こういう買い物も久しぶりだ。
せっかくだから楽しもう。
「皆さまとてもよく似合っていると思います! オススメした身としては、一安心です」
私たちは買い物を終わらせ、早速着替えた。
リーダーとシェルは、正装というか、サーカス団にいそうな感じ。
「ねぇ、シェルの服はリーダーが選んだの?」
「ん? ああそうだ。これから王に会うそうだから、きちんとした服を着なくちゃな」
笑いながら話すリーダーの横で、シェルは恥ずかしそうにしている。
これはまぁ、可哀想だ。
「フィオーラとシルフィーはドレスか」
「そう。だけど、動きやすいものだし私向けだわ」
「しかしまぁ、そんな時でも黒を選ぶのか」
呆れるように言うリーダー。
黒以外にも試したが、何というかしっくりこない。
長年着ているせいでもあるけど。
「シルフィーは緑か。森の妖精みたいだな」
「妖精だなんて、そんな褒めすぎですよ」
あとでリーダーは凍らせよう!
「ああ、問題ない」
王都からの使いである兵士が、私たちを待っていた。
乗り物を提案されたのだが、近いということで歩きにした。
「それでは皆さま、私に続いてきてください。これより、王都へとお連れします」
王都か、この町へ来るときには、冗談で言っていたのが、本当に行くことになるとは。
「なぁシェルよ。俺の服装で問題ないか?」
「どうしたんですリーダー。いつもみたいにドンと構えてればいいのに」
「そうは言ってもなぁ……」
リーダーは王都行きが決まった後、町で急遽服を新調させた。
なにもそこまでと、思ったのだが。
「俺からしたら、お前達の方がおかしいぞ。いいか、俺たちは王都へ行くんだ。そんな貧乏くさい服でいいのか」
「「貧乏くさい!?」」
私とシェルは、思わず叫ぶ。
この男、自分が新調したのをいいことに、言いたい放題じゃないか。
「ねぇ、シェル? 私思うんだけど、リーダーの服のセンスって微妙よね? 今回のことでわかっちゃった」
「そうだね、あんな服装で良しとしてるんだから。変える前の方がよかった的な?」
「……ム」
リーダーの顔から焦りを感じる。
そんなに気を使っているのか。
私たちは呼ばれたのだから、そこまで考えなくていいと思うんだが。
「よし、わかったぞお前ら! 兵士さん、少し王都では寄り道をお願いしたい。服を見に行くぞ」
「……やだな~」
シェルが本気の顔で嫌がった。
「いらっしゃいませ~」
「お、おう。これが王都の服屋か」
王都へ入った私たちは、兵士さんオススメの服屋を紹介してもらった。
先に中へ入ったリーダーは、さっきの町の服屋との差を感じたのか、驚いている。
「おいおい、二人とも。ここならいい服が手に入りそうだぞ!? 二人も早く探してこい」
「わ、わかったからそんなに押さないで」
興奮しているリーダーに、シェルが店の奥へ連れて行かれる。
私の隣には、それを楽しそうに見るシルフィーが。
「ごめんなさいね、シルフィー。騒がしい人たちで」
「いえいえ、楽しそうで羨ましいくらいです。……私たちも服見ましょうか」
「そうしようか」
なにも買わないとリーダーは許してくれないだろう。
それに、こういう買い物も久しぶりだ。
せっかくだから楽しもう。
「皆さまとてもよく似合っていると思います! オススメした身としては、一安心です」
私たちは買い物を終わらせ、早速着替えた。
リーダーとシェルは、正装というか、サーカス団にいそうな感じ。
「ねぇ、シェルの服はリーダーが選んだの?」
「ん? ああそうだ。これから王に会うそうだから、きちんとした服を着なくちゃな」
笑いながら話すリーダーの横で、シェルは恥ずかしそうにしている。
これはまぁ、可哀想だ。
「フィオーラとシルフィーはドレスか」
「そう。だけど、動きやすいものだし私向けだわ」
「しかしまぁ、そんな時でも黒を選ぶのか」
呆れるように言うリーダー。
黒以外にも試したが、何というかしっくりこない。
長年着ているせいでもあるけど。
「シルフィーは緑か。森の妖精みたいだな」
「妖精だなんて、そんな褒めすぎですよ」
あとでリーダーは凍らせよう!
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる