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王都での衣装選び

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 「皆さま、準備の方は大丈夫でしょうか」

 「ああ、問題ない」


 王都からの使いである兵士が、私たちを待っていた。
 乗り物を提案されたのだが、近いということで歩きにした。


 「それでは皆さま、私に続いてきてください。これより、王都へとお連れします」


 王都か、この町へ来るときには、冗談で言っていたのが、本当に行くことになるとは。


 「なぁシェルよ。俺の服装で問題ないか?」

 「どうしたんですリーダー。いつもみたいにドンと構えてればいいのに」

 「そうは言ってもなぁ……」


 リーダーは王都行きが決まった後、町で急遽服を新調させた。
 なにもそこまでと、思ったのだが。


 「俺からしたら、お前達の方がおかしいぞ。いいか、俺たちは王都へ行くんだ。そんな貧乏くさい服でいいのか」

 「「貧乏くさい!?」」


 私とシェルは、思わず叫ぶ。
 この男、自分が新調したのをいいことに、言いたい放題じゃないか。


 「ねぇ、シェル? 私思うんだけど、リーダーの服のセンスって微妙よね? 今回のことでわかっちゃった」

 「そうだね、あんな服装で良しとしてるんだから。変える前の方がよかった的な?」

 「……ム」


 リーダーの顔から焦りを感じる。
 そんなに気を使っているのか。
 私たちは呼ばれたのだから、そこまで考えなくていいと思うんだが。


 「よし、わかったぞお前ら! 兵士さん、少し王都では寄り道をお願いしたい。服を見に行くぞ」

 「……やだな~」


 シェルが本気の顔で嫌がった。



 「いらっしゃいませ~」

 「お、おう。これが王都の服屋か」


 王都へ入った私たちは、兵士さんオススメの服屋を紹介してもらった。
 先に中へ入ったリーダーは、さっきの町の服屋との差を感じたのか、驚いている。


 「おいおい、二人とも。ここならいい服が手に入りそうだぞ!? 二人も早く探してこい」

 「わ、わかったからそんなに押さないで」


 興奮しているリーダーに、シェルが店の奥へ連れて行かれる。
 私の隣には、それを楽しそうに見るシルフィーが。


 「ごめんなさいね、シルフィー。騒がしい人たちで」 

 「いえいえ、楽しそうで羨ましいくらいです。……私たちも服見ましょうか」

 「そうしようか」


 なにも買わないとリーダーは許してくれないだろう。
 それに、こういう買い物も久しぶりだ。
 せっかくだから楽しもう。



 「皆さまとてもよく似合っていると思います! オススメした身としては、一安心です」


 私たちは買い物を終わらせ、早速着替えた。
 リーダーとシェルは、正装というか、サーカス団にいそうな感じ。


 「ねぇ、シェルの服はリーダーが選んだの?」

 「ん? ああそうだ。これから王に会うそうだから、きちんとした服を着なくちゃな」


 笑いながら話すリーダーの横で、シェルは恥ずかしそうにしている。
 これはまぁ、可哀想だ。


 「フィオーラとシルフィーはドレスか」

 「そう。だけど、動きやすいものだし私向けだわ」

 「しかしまぁ、そんな時でも黒を選ぶのか」


 呆れるように言うリーダー。
 黒以外にも試したが、何というかしっくりこない。
 長年着ているせいでもあるけど。


 「シルフィーは緑か。森の妖精みたいだな」

 「妖精だなんて、そんな褒めすぎですよ」


 あとでリーダーは凍らせよう!
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