4 / 21
逃げてもいいわよ
しおりを挟む
「俺っちをからかってるのか? 見えてねぇかもしれないが、あんたはナイフを持った俺っちに絡まれたんだ。それに、魔法まで使える。気の強い子は好きじゃないぞ?」
「気が強くて悪かったわ! 私もね、あんたみたいな魔法を悪用する奴は大嫌いだ!」
「この女ぁ!」
犯人がキレたことを感じ、私は素早くターンする。
まさに奴のナイフが目の前に迫る中。
「……コルド」
私が小さく魔法を唱える。
「な、何なんだこれは!? 体が、動かないぞ? 寒い、首より下が凍ってんのか!?」
「ようやく気付いたのか。私は氷を操るのが得意なの。あんた達みたいな、悪いやつを逃さないようにできるこの魔法が!」
私が魔法使いだったのは計算外なのだろう。
さっきまでの様な軽口は出なくなった。
「ご、ごめんなさい! 反省しているし、もう二度としない。いや、しません! だから今回は見逃して」
「私はね、本当に悪い奴が嫌い。力を持つ者がいないと好き勝手、立場が変わると命乞い。今までのやつらもそうだった。だから、あんたは裁かれるべき人間だ!」
犯人は諦めたのか、何も言わなくなった。
後は警備団に報告するだけ。
「リーダー。犯人を確保しました。警備団に連絡お願いします」
「了解した」
リーダーへの通信を終えると、私は犯人の言葉で気になることがあったのを思い出した。
こいつは、魔法を教わったと言った。
「一つ聞かせてくれないかしら。あんたはさっき、魔法を教わったと言った。それについて詳しく知りたい」
「詳しくと言われても、見覚えのないフードの男に本を渡されたんだ。これを読むだけで魔法が使えるって。で、試しに読んだらこの通り。読み終わった本は自然と消えたんだ」
フードの男。
一番の謎は、読むだけで魔法が使えるという本。
その男は何のために本を配っているのか。
「話してくれたお礼に、あんたはこのまま警備団に渡してあげる。いつもの私なら、今頃あんたをボコボコにしてるわ」
冗談だろっていう顔をする犯人。
そこに警備団を連れたリーダーとシェルが到着し、現場を見たシェルが。
「あれっ、今日のフィオーラは優しいな。犯人がほとんど無傷じゃん」
犯人の顔が真っ青になった。
「気が強くて悪かったわ! 私もね、あんたみたいな魔法を悪用する奴は大嫌いだ!」
「この女ぁ!」
犯人がキレたことを感じ、私は素早くターンする。
まさに奴のナイフが目の前に迫る中。
「……コルド」
私が小さく魔法を唱える。
「な、何なんだこれは!? 体が、動かないぞ? 寒い、首より下が凍ってんのか!?」
「ようやく気付いたのか。私は氷を操るのが得意なの。あんた達みたいな、悪いやつを逃さないようにできるこの魔法が!」
私が魔法使いだったのは計算外なのだろう。
さっきまでの様な軽口は出なくなった。
「ご、ごめんなさい! 反省しているし、もう二度としない。いや、しません! だから今回は見逃して」
「私はね、本当に悪い奴が嫌い。力を持つ者がいないと好き勝手、立場が変わると命乞い。今までのやつらもそうだった。だから、あんたは裁かれるべき人間だ!」
犯人は諦めたのか、何も言わなくなった。
後は警備団に報告するだけ。
「リーダー。犯人を確保しました。警備団に連絡お願いします」
「了解した」
リーダーへの通信を終えると、私は犯人の言葉で気になることがあったのを思い出した。
こいつは、魔法を教わったと言った。
「一つ聞かせてくれないかしら。あんたはさっき、魔法を教わったと言った。それについて詳しく知りたい」
「詳しくと言われても、見覚えのないフードの男に本を渡されたんだ。これを読むだけで魔法が使えるって。で、試しに読んだらこの通り。読み終わった本は自然と消えたんだ」
フードの男。
一番の謎は、読むだけで魔法が使えるという本。
その男は何のために本を配っているのか。
「話してくれたお礼に、あんたはこのまま警備団に渡してあげる。いつもの私なら、今頃あんたをボコボコにしてるわ」
冗談だろっていう顔をする犯人。
そこに警備団を連れたリーダーとシェルが到着し、現場を見たシェルが。
「あれっ、今日のフィオーラは優しいな。犯人がほとんど無傷じゃん」
犯人の顔が真っ青になった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
闇の世界の住人達
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
そこは暗闇だった。真っ暗で何もない場所。
そんな場所で生まれた彼のいる場所に人がやってきた。
色々な人と出会い、人以外とも出会い、いつしか彼の世界は広がっていく。
小説家になろうでも投稿しています。
そちらがメインになっていますが、どちらも同じように投稿する予定です。
ただ、闇の世界はすでにかなりの話数を上げていますので、こちらへの掲載は少し時間がかかると思います。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ
柚木 潤
ファンタジー
実家の薬華異堂薬局に戻った薬剤師の舞は、亡くなった祖父から譲り受けた鍵で開けた扉の中に、不思議な漢方薬の調合が書かれた、古びた本を見つけた。
そして、異世界から助けを求める手紙が届き、舞はその異世界に転移する。
舞は不思議な薬を作り、それは魔人や魔獣にも対抗できる薬であったのだ。
そんな中、魔人の王から舞を見るなり、懐かしい人を思い出させると。
500年前にも、この異世界に転移していた女性がいたと言うのだ。
それは舞と関係のある人物であった。
その後、一部の魔人の襲撃にあうが、舞や魔人の王ブラック達の力で危機を乗り越え、人間と魔人の世界に平和が訪れた。
しかし、500年前に転移していたハナという女性が大事にしていた森がアブナイと手紙が届き、舞は再度転移する。
そして、黒い影に侵食されていた森を舞の薬や魔人達の力で復活させる事が出来たのだ。
ところが、舞が自分の世界に帰ろうとした時、黒い翼を持つ人物に遭遇し、舞に自分の世界に来てほしいと懇願する。
そこには原因不明の病の女性がいて、舞の薬で異物を分離するのだ。
そして、舞を探しに来たブラック達魔人により、昔に転移した一人の魔人を見つけるのだが、その事を隠して黒翼人として生活していたのだ。
その理由や女性の病の原因をつきとめる事が出来たのだが悲しい結果となったのだ。
戻った舞はいつもの日常を取り戻していたが、秘密の扉の中の物が燃えて灰と化したのだ。
舞はまた異世界への転移を考えるが、魔法陣は動かなかったのだ。
何とか舞は転移出来たが、その世界ではドラゴンが復活しようとしていたのだ。
舞は命懸けでドラゴンの良心を目覚めさせる事が出来、世界は火の海になる事は無かったのだ。
そんな時黒翼国の王子が、暗い森にある遺跡を見つけたのだ。
*第1章 洞窟出現編 第2章 森再生編 第3章 翼国編
第4章 火山のドラゴン編 が終了しました。
第5章 闇の遺跡編に続きます。
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】君の世界に僕はいない…
春野オカリナ
恋愛
アウトゥーラは、「永遠の楽園」と呼ばれる修道院で、ある薬を飲んだ。
それを飲むと心の苦しみから解き放たれると言われる秘薬──。
薬の名は……。
『忘却の滴』
一週間後、目覚めたアウトゥーラにはある変化が現れた。
それは、自分を苦しめた人物の存在を全て消し去っていたのだ。
父親、継母、異母妹そして婚約者の存在さえも……。
彼女の目には彼らが映らない。声も聞こえない。存在さえもきれいさっぱりと忘れられていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる