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笑い猫と指名された依頼!
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「しかしあれだな、ハクもずいぶん馴染むのが早かったな」
クリムのおかげで無事に入学を許可され、正式な生徒となったハク。
聞き覚えのある言葉だが、監視などの意味を込めて、俺たちと同じクラスに。
初日こそガチガチに緊張していたけど、数日あればすぐに慣れたようで。
「猫であることが皆んな分かっても、そんなに騒ぎにならんとは。さすが魔法の世界だな」
こうなると、やはり俺がおかしいのかもと錯覚する。
「大樹やクリム、リファのおかげで夢が叶ったよ。本当にありがとう」
あの日見せたのと同じような笑顔。
「いいよ。それに、それだけ嬉しそうにされたら良かったなって素直に思える」
時々尻尾が出たりはするが、魔力が強化されれば解決すると、クリムは言っていた。
でもそうなると。
「ハクが猫だってこと、忘れちゃうかもな」
「それはないよ」
ハクは俺の顔を見ながらそう答えると。
「私はね、学校や人に憧れてたけど、猫としての一生を生きるつもり。学校での生活はね、そうだなぁ~趣味みたいな?」
首を少しだけ捻り、ハクはそう言った。
日本では分からなかったが、猫にもしっかりとした意思があり、生活をしているんだ。
「俺からするとさ、ハクみたいな子はすごい珍しいんだ。でも、おかげで信じられないくらい充実した生活もできてるし、今では少しだけ嬉しいって思ってる」
俺の言葉にハクは首を傾げると。
「珍しいかな?」
「うん、俺からしたらね」
改めて世界観の違いを感じた。
放課後、珍しく用事がないというクリムに誘われ、二人での魔法特訓を行なった。
何だかんだあり、かなり久しぶりになったけど、以前よりも魔法が使えるようになっていた。
「大樹よ、最初と比べればかなり上達しているぞ。これなら、初級者向けの依頼は一人でも行けそうだ」
クリムにそう言われたことは、素直に嬉しかった。
「……いてて」
ベッドに寝転がると、その時の疲れ、ダメージを感じる。
褒められたおかげで、つい力を入れすぎたよう。
でも悪い気はしない。
最初は戸惑っていたこの世界、蓋を開けてみれば楽しいことが多い。
友達もできて、信じられないことをこの目で見られてる。
ゲームの世界みたいな魔法だって、自分が練習している。
「……もう少し、まだもう少しだけこの世界にいたいなぁ」
誰に言うでもなく、ただ思ったことが口から出ていた。
「……そんな依頼があったんですか?」
俺はマスターの言葉に驚きを隠せない。
何故なら。
「まぁ、そうだ。この依頼には指名がされている。……君の名前でだ」
何で俺?
「それで、依頼の内容は何ですか?」
「それがだね、魔法学園中等部にて教育の手伝い、だそうだ」
何を言えばいいか分からない。
とにかく、頭の中はハテナがいっぱいであり。
「あの、それが何故俺宛なんでしょう? 魔法だってろくに使えないし」
するとマスターは少し考えてから。
「……とにかくやってみるしかないよ。なに、手伝いって書いてあるし、そこまで厳しいことはないんじゃないかな」
「そうだといいんですが」
こうして俺は突然、魔法学園中等部へ行くことになった。
ちなみに、依頼のため出席できないと高等部へ連絡して、だ。
クリムのおかげで無事に入学を許可され、正式な生徒となったハク。
聞き覚えのある言葉だが、監視などの意味を込めて、俺たちと同じクラスに。
初日こそガチガチに緊張していたけど、数日あればすぐに慣れたようで。
「猫であることが皆んな分かっても、そんなに騒ぎにならんとは。さすが魔法の世界だな」
こうなると、やはり俺がおかしいのかもと錯覚する。
「大樹やクリム、リファのおかげで夢が叶ったよ。本当にありがとう」
あの日見せたのと同じような笑顔。
「いいよ。それに、それだけ嬉しそうにされたら良かったなって素直に思える」
時々尻尾が出たりはするが、魔力が強化されれば解決すると、クリムは言っていた。
でもそうなると。
「ハクが猫だってこと、忘れちゃうかもな」
「それはないよ」
ハクは俺の顔を見ながらそう答えると。
「私はね、学校や人に憧れてたけど、猫としての一生を生きるつもり。学校での生活はね、そうだなぁ~趣味みたいな?」
首を少しだけ捻り、ハクはそう言った。
日本では分からなかったが、猫にもしっかりとした意思があり、生活をしているんだ。
「俺からするとさ、ハクみたいな子はすごい珍しいんだ。でも、おかげで信じられないくらい充実した生活もできてるし、今では少しだけ嬉しいって思ってる」
俺の言葉にハクは首を傾げると。
「珍しいかな?」
「うん、俺からしたらね」
改めて世界観の違いを感じた。
放課後、珍しく用事がないというクリムに誘われ、二人での魔法特訓を行なった。
何だかんだあり、かなり久しぶりになったけど、以前よりも魔法が使えるようになっていた。
「大樹よ、最初と比べればかなり上達しているぞ。これなら、初級者向けの依頼は一人でも行けそうだ」
クリムにそう言われたことは、素直に嬉しかった。
「……いてて」
ベッドに寝転がると、その時の疲れ、ダメージを感じる。
褒められたおかげで、つい力を入れすぎたよう。
でも悪い気はしない。
最初は戸惑っていたこの世界、蓋を開けてみれば楽しいことが多い。
友達もできて、信じられないことをこの目で見られてる。
ゲームの世界みたいな魔法だって、自分が練習している。
「……もう少し、まだもう少しだけこの世界にいたいなぁ」
誰に言うでもなく、ただ思ったことが口から出ていた。
「……そんな依頼があったんですか?」
俺はマスターの言葉に驚きを隠せない。
何故なら。
「まぁ、そうだ。この依頼には指名がされている。……君の名前でだ」
何で俺?
「それで、依頼の内容は何ですか?」
「それがだね、魔法学園中等部にて教育の手伝い、だそうだ」
何を言えばいいか分からない。
とにかく、頭の中はハテナがいっぱいであり。
「あの、それが何故俺宛なんでしょう? 魔法だってろくに使えないし」
するとマスターは少し考えてから。
「……とにかくやってみるしかないよ。なに、手伝いって書いてあるし、そこまで厳しいことはないんじゃないかな」
「そうだといいんですが」
こうして俺は突然、魔法学園中等部へ行くことになった。
ちなみに、依頼のため出席できないと高等部へ連絡して、だ。
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