41 / 90
サークルメンバーとキノコ狩り4!
しおりを挟む
キノコを取られて不機嫌なのか、マッシュリザードが俺に襲いかかる。
距離は限りなくゼロで、逃げる術もない。
この世界ではキノコ一つ取れないのか。
ああ、せめて魔法の一つくらい覚えたかった。
俺が諦めた時、目の前のマッシュリザードが動きを止める。
そして、その目線の先を見てみると、いつの間にか茂みから出てきていたフローラが。
「大樹さんを殺そうとするなんて、絶対に許しません! 今すぐそこをどいてください!」
言葉遣いはいつもと同じだが、迫力が違う。
この世界に来てまだ日は浅いが、それでも感じる強力な魔力。
フローラはすでに魔法を唱え終わっていて、後は発動するだけの状態。
その強大な魔力を、マッシュリザードも感じたんだろう。
しかし。
「グォー!」
覚悟を決めたのか、再び俺の方へ振り向き、襲いかかってくる。
その時だった。
「ヴィンド!」
フローラの魔法が発動される。
その瞬間、マッシュリザードに向かって、強風が吹き荒れる。
近くにいる俺にはギリギリ当たらない。
マッシュリザードを襲う強風は、さらに威力を増していき。
「私言いましたよね? 絶対に許しません!」
「グ、グォー」
ついに耐え切れなくなってきたのか、マッシュリザードの叫びが弱くなる。
それでもフローラは止めることなく。
「これでおしまいです」
そう言うと、これまで以上の風を吹かせる。
つい最近まで魔法使えなかったのに、すごい成長だ。
「グ、グォ」
これだけの強風を、よく受け止めている。
しかし限界がきたようで。
「グォ~」
マッシュリザードはものすごいスピードで飛ばされていった。
その先が人のいないところなら良いんだけど。
「大樹さん!」
フローラに呼ばれ振り返ると、魔法のせいか、それとも走ったせいか、息が荒い。
「大丈夫かフローラ。かなり息が荒そうだけど」
「大丈夫か、じゃないです! 私なんかよりも、大樹さんの方が危なかったじゃないですか!」
心配されているのか、怒られているのか。
俺たちのやりとりを見ていたリッシュや先輩も寄ってきて。
「危なかったな大樹? お前がマッシュリザードに近づいた時から、フローラさんは祈りっぱなし。起きた時にはもう、詠唱を始めてたんだぜ?」
「そ、そうだったのか。ありがとな、フローラ」
「いいえ、無事でよかったです」
こんなに話すフローラを初めて見た。
マッシュリザードじゃないけど、俺も怒ったフローラは怖いと思ったし。
今日はフローラの知らない顔をたくさん見れた気がする。
「なぁフローラ、改めて助かったよ。それから、心配かけて悪かった」
俺がそう言うと、フローラは俺の目を見て、笑顔になるのだった。
距離は限りなくゼロで、逃げる術もない。
この世界ではキノコ一つ取れないのか。
ああ、せめて魔法の一つくらい覚えたかった。
俺が諦めた時、目の前のマッシュリザードが動きを止める。
そして、その目線の先を見てみると、いつの間にか茂みから出てきていたフローラが。
「大樹さんを殺そうとするなんて、絶対に許しません! 今すぐそこをどいてください!」
言葉遣いはいつもと同じだが、迫力が違う。
この世界に来てまだ日は浅いが、それでも感じる強力な魔力。
フローラはすでに魔法を唱え終わっていて、後は発動するだけの状態。
その強大な魔力を、マッシュリザードも感じたんだろう。
しかし。
「グォー!」
覚悟を決めたのか、再び俺の方へ振り向き、襲いかかってくる。
その時だった。
「ヴィンド!」
フローラの魔法が発動される。
その瞬間、マッシュリザードに向かって、強風が吹き荒れる。
近くにいる俺にはギリギリ当たらない。
マッシュリザードを襲う強風は、さらに威力を増していき。
「私言いましたよね? 絶対に許しません!」
「グ、グォー」
ついに耐え切れなくなってきたのか、マッシュリザードの叫びが弱くなる。
それでもフローラは止めることなく。
「これでおしまいです」
そう言うと、これまで以上の風を吹かせる。
つい最近まで魔法使えなかったのに、すごい成長だ。
「グ、グォ」
これだけの強風を、よく受け止めている。
しかし限界がきたようで。
「グォ~」
マッシュリザードはものすごいスピードで飛ばされていった。
その先が人のいないところなら良いんだけど。
「大樹さん!」
フローラに呼ばれ振り返ると、魔法のせいか、それとも走ったせいか、息が荒い。
「大丈夫かフローラ。かなり息が荒そうだけど」
「大丈夫か、じゃないです! 私なんかよりも、大樹さんの方が危なかったじゃないですか!」
心配されているのか、怒られているのか。
俺たちのやりとりを見ていたリッシュや先輩も寄ってきて。
「危なかったな大樹? お前がマッシュリザードに近づいた時から、フローラさんは祈りっぱなし。起きた時にはもう、詠唱を始めてたんだぜ?」
「そ、そうだったのか。ありがとな、フローラ」
「いいえ、無事でよかったです」
こんなに話すフローラを初めて見た。
マッシュリザードじゃないけど、俺も怒ったフローラは怖いと思ったし。
今日はフローラの知らない顔をたくさん見れた気がする。
「なぁフローラ、改めて助かったよ。それから、心配かけて悪かった」
俺がそう言うと、フローラは俺の目を見て、笑顔になるのだった。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
(完)私の家を乗っ取る従兄弟と従姉妹に罰を与えましょう!
青空一夏
ファンタジー
婚約者(レミントン侯爵家嫡男レオン)は何者かに襲われ亡くなった。さらに両親(ランス伯爵夫妻)を病で次々に亡くした葬式の翌日、叔母エイナ・リック前男爵未亡人(母の妹)がいきなり荷物をランス伯爵家に持ち込み、従兄弟ラモント・リック男爵(叔母の息子)と住みだした。
私はその夜、ラモントに乱暴され身ごもり娘(ララ)を産んだが・・・・・・この夫となったラモントはさらに暴走しだすのだった。
ラモントがある日、私の従姉妹マーガレット(母の3番目の妹の娘)を連れてきて、
「お前は娘しか産めなかっただろう? この伯爵家の跡継ぎをマーガレットに産ませてあげるから一緒に住むぞ!」
と、言い出した。
さらには、マーガレットの両親(モーセ準男爵夫妻)もやってきて離れに住みだした。
怒りが頂点に到達した時に私は魔法の力に目覚めた。さて、こいつらはどうやって料理しましょうか?
さらには別の事実も判明して、いよいよ怒った私は・・・・・・壮絶な復讐(コメディ路線の復讐あり)をしようとするが・・・・・・(途中で路線変更するかもしれません。あくまで予定)
※ゆるふわ設定ご都合主義の素人作品。※魔法世界ですが、使える人は希でほとんどいない。(昔はそこそこいたが、どんどん廃れていったという設定です)
※残酷な意味でR15・途中R18になるかもです。
※具体的な性描写は含まれておりません。エッチ系R15ではないです。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
(完結)「君を愛することはない」と言われて……
青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら?
この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。
主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。
以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。
※カクヨム。なろうにも時差投稿します。
※作者独自の世界です。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
ダンマス(異端者)
AN@RCHY
ファンタジー
幼女女神に召喚で呼び出されたシュウ。
元の世界に戻れないことを知って自由気ままに過ごすことを決めた。
人の作ったレールなんかのってやらねえぞ!
地球での痕跡をすべて消されて、幼女女神に召喚された風間修。そこで突然、ダンジョンマスターになって他のダンジョンマスターたちと競えと言われた。
戻りたくても戻る事の出来ない現実を受け入れ、異世界へ旅立つ。
始めこそ異世界だとワクワクしていたが、すぐに碇石からズレおかしなことを始めた。
小説になろうで『AN@CHY』名義で投稿している、同タイトルをアルファポリスにも投稿させていただきます。
向こうの小説を多少修正して投稿しています。
修正をかけながらなので更新ペースは不明です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる