桃太郎異聞(加筆修正版)

馬 並子

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第十一話

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「ほごぉ!」
 一気に口内を限界まで押し広げられた桃太郎は、潰れた悲鳴を上げました。顎はもうこれ以上少しも動きそうになく、噛まないように気をつけようにも、どうしても歯が平次の摩羅の上下に当たってしまいます。
 平次は敏感な表面を歯で削られるのが心地よいのか、押し込んだ摩羅を引き抜く動きが好きなようです。己の濃い繁みに桃太郎の鼻が完全に埋まるまで押し込んで、ずるずると引き、摩羅が口から出てしまうぎりぎりのところでまた押し込んで引くのを繰り返しておりました。
 口を隙間なく太い摩羅で塞がれて息がつけず、桃太郎は涎を垂れ流し、辛うじて鼻で呼吸をしております。
平次は相当気持ちがいいようで、顔が積荷の上に出ているにも関わらず、
「おぉっ、若様っ、もっと吸ってくだせぇっ! おおぅっ」
と興奮しきった声を上げて腰を動かします。
 人通りがあまりないとはいえ、真っ昼間の往来です。後ろ手に縛られ、むくつけき人足の摩羅を咥えさせられているのに、己も嬉しげに摩羅を勃てているこの姿を誰かに見られたらと思うと、桃太郎は興奮を抑えられません。触ってもいないのに、桃太郎の摩羅からはじわりと汁が滲み出します。
 自ら扱いて極めたいですが、後ろ手で縛られているのでもちろん果たせません。そのもどかしさが、桃太郎を更に追い上げます。
 興奮から一気に高まった神通力が、平次の摩羅に一気に流れ込み、はち切れそうに膨張します。往来だというのに平次は大声で「出すぞっ、子種を出すぞっ、飲んでくだせぇっ」と切羽詰った声を上げました。
 桃太郎は抵抗も出来ずに子種を無理やり飲まされている自分の姿を想像し、たまらない気持ちになります。もどかしく足を擦り合わせつつ、頬を窄めて摩羅を思い切り吸いました。

 どぷどぷどぷどぷっ。

 ありえない量の子種が、喉に一気に流れ込んできました。まさに栓が外れたといった様子で、大量に溢れ出してきます。
 これまで吸った摩羅はどれも口の中にびゅびゅっと子種を飛ばしてきましたが、平次の子種はまるで量が違っていて、しかも長らく溜め込んでいたのか、どろりとしていて簡単には飲み込めません。
 口を閉じられず舌も押しつぶされている桃太郎は、喉だけを使って必死で子種を飲み込みますが、全く追いつかずにおりました。
「ごっ……ごがっ……」
 顔に似合わぬ不細工な声を漏らし、涙と鼻水を溢れさせて子種を懸命に飲み込む美しい若君の姿は、平次にとっては生まれてこの方見たことのない、大変に欲望を掻き立てられるものでした。平次は出したばかりだというのに更に興奮し、もっと飲ませたいと掴んだ頭を強く引き寄せます。
 散々走って汗まみれになった下生えの繁みに、若君の鼻が押し付けられて歪むのもたまりません。若君の口の中は熱く、これまで経験がないほど摩羅に力が漲るのを感じます。
 桃太郎が特別濃厚な子種を飲み込むのに四苦八苦しているにも関わらず、平次は狂ったように腰を振り、先ほどより更に多くの子種をどぷどぷっと漏らしました。

「ごぁっ……んぶぅ……」
 喉の動きだけではとても飲み込み切れず、子種は出口を求めて桃太郎の鼻へ逆流しました。鼻水で息苦しかったところへ、更に粘度の高い子種が大量に流れ込みます。桃太郎は息苦しさに痙攣し、目で窮状を訴えようとしました。
 しかし、平次は桃太郎の窮地に気づきません。桃太郎の頭を掴み、「若様、ありがてぇ、若様ぁ」と恍惚とした表情を浮かべながら、更に腰を使っております。不思議なことに、出しても出しても摩羅が萎えぬのです。それどころか、出すたびに子種の量が多くなっているような気さえいたします。
「あぁまた出やす! おぅっ、おぉぅっ!」

 もういつ何度達したのかわからぬほど、どぷりどぷりと子種を出している最中のことです。平次は掴んだ頭の重さにはたと気づきました。恐る恐る見下ろすと、若君は平次の摩羅を咥えたまま、口と鼻から大量の子種を垂れ流し、白目を剥いて動かなくなっておりました。
 慌てて口から摩羅を引き抜きますが、せもせず、呼吸をする様子がございません。真っ青になっておりますと、急に犬と猿がけたたましく騒ぎ始めました。見ると、路地から二人の男が現れ、こちらに向かってきます。一人は弥助、もう一人はみすぼらしい着物を絡げた見知らぬ若い男でした。

「兄ぃ、やっちまった! 若様を殺しちまった!」
 股間を剥き出しにしたまま積荷の影から飛び出してきた平次のただならぬ様子に、弥助も表情を変えます。
「どうした! 何があった!」
 駆け寄った弥助は、平次の股間を見てぎょっと目を剥きました。平次の摩羅は見たこともない程の太さに膨れ上がり、白い粘液をどろりどろりと溢れさせていたのです。繁みは子種と唾液と思われる大量の粘液でべったり濡れて、肌に張り付いております。そればかりか、毛の先からは粘液が糸を引いて地面に滴ってすらおりました。
 一目見て、あの華奢な若君に無体を働いたことがわかり、弥助は激しく舌打ちをしました。
「わりぃが兄ちゃん、鬼ヶ島行きの話ぁ無しにしてくんな。おい平次! とっととずらかるぜ」
 弥助は連れ立ってきた若い男を置いてきびすを返すと、往来の端に置いていた駕籠に走り寄ります。物取りもかどわかしもする悪党といえど、人殺しの罪はさすがに身に余るというものです。摩羅を咥えながら手遊びをしていた若君の姿を思い出せばあまりにも後ろ髪を引かれますが、ここは逃げるしかありません。
 いまだに萎えない摩羅を丸出しにした平次と共に駕籠を担いで、弥助はすたこらさっさと逃げていきました。
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