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ウサギの抽選台 ――ポン――
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『バトラー』の手で、トオルの尻から尻尾型の栓が思い切り引き抜かれた。
ブボォォッ!
「あああああっ!!!」
濁った派手な音を立て、大量のローションと共に無数の玉が噴き出す。内臓を尻から引っこ抜かれたかと思うほどの衝撃で、トオルの中から全てが迸り出て行く。
それは、鮮烈な開放感だった。頭が真っ白になるほどの快感だった。その究極の一瞬に、最後の一押しを与えられずにいた性器は歓喜に震え、大量の白濁液をバニーコスチュームの中に奔出させる。
気持ちよかった。今死んでもいいくらい、気持ちよかった。
だが、あれほどまでに夢見ていた解放であるにも関わらず、多幸感はほんの一瞬で圧倒的な羞恥にとって替わる。トオルの尻は一度の噴出では閉じきらず、腹の中のうねりによって、第二波第三波と、ぼとぼとと玉を垂れ流してしまっていたのだ。
「やだやだやだぁーっ!!!」
絶叫するトオルだが、漏出は止まらない。ステージの上にできたローション溜まりに、次々とビンゴ玉が落ちていく。
しかも、長く焦らされすぎた性器も箍が外れてしまったのか、ぶじゅ、ぶじゅと音を立てて、白濁を間欠泉のように噴き出し続けた。
「止めて止めて止めて!」
このままでは全部出てしまうと、虚空に向けて泣き叫ぶ。それがビンゴ玉のことなのか、排泄を思わせる行為そのもののことなのか、もうわからない。もしかしたら、トオルの内にある、尊厳のようなものまでも流れ出してしまう恐怖だったかもしれない。
尻を窄めようにも、出してしまいたいという体の欲求が意思をはるかに凌駕している。泣き叫びながら玉とローションと精液を漏らし続けるトオルの姿は、人間としても抽選台としても欠陥品以外の何ものでもなかった。
その一方で、観客達からはやんややんやの大喝采が上がった。
「これは見事な大噴射だ。ハハッ、おもらしウサギが鼻水垂らして泣いてるぞ」
「傑作だ、粘膜がはみ出してるじゃないか。真っ赤に腫れて、ククッ」
「おお、ウサギの股間からザーメンがぼたぼた漏れてるぞ。尻からビンゴ玉漏らして射精するとは、いやぁ、若いもんは元気ですなぁ」
ステージ上のスクリーンには、てらてらと光る粘膜をめくれ上がらせて玉を漏らし続ける秘部も、アシスタントに無理矢理上げさせられたぐしゃぐしゃの泣き顔も、トオルの全てが余すことなく大写しにされている。
「見んなよぉっ……!見ないで……よぉ……っ!」という悲痛な叫びがスピーカーから響くが、それすらかき消されそうなほどの拍手と野次が巻き起こっていた。
「一度の抽選で複数の数字が出るとご案内しましたが、これは予想以上に多いですね。仕方がないので、飛距離が一番長かった玉から順に当選番号といたします」
『バトラー』の指示により、アシスタントの大男達がぬるつく小さな玉を集め、ステージ上に注意深く並べていく。
「31……52……13……」
『バトラー』が玉をひとつひとつ拾い上げ、ゆっくりと数字を読み上げる声は、途切れることなく続いた。
既に手遅れではあるが、それでもトオルは羞恥心から、今なお漏れ続ける玉をなんとか少しでも尻の中に留めようとする。
だが、長時間に渡る快楽と圧迫の苦しみの中で、トオルの尻は恥じらいも本来の機能も麻痺してしまったらしい。締まりの悪い蛇口から雫が落ちるように、尚もぽとり、ぽとりと玉が漏れ落ちていく。
「やだ……や……止めて……止めてぇ……」
もはや、『バトラー』の手でも尻尾でもいいから、穴を塞いで欲しいとさえ思う。だが、ショーの進行を司る男が、抽選台の羞恥など省みてくれるはずもない。
「25……3……47………」
一定の調子で読まれる数字の合間に、「リーチ!」「私もだ!」といくつもの興奮した声が上がる。
トオルはそれを、どこか遠い世界の出来事のように聞いていた。
「あひ……ひ……出ちゃう……ぜんぶ、出ちゃう……」
もはや賞金のことも、自分が優勝商品になることも頭にはない。今この瞬間も漏らし続け、恥を晒し続けているということだけが、トオルの意識の全てだった。
排出は間遠くなっていたが、それでもまだ、トオルの穴はくぷん、くぷんと一粒ずつ漏らしている。その度に、戸惑うように窄まりが狭まる様子は、どこかいじらしくすらあった。
「……69……28」
『バトラー』の声で、抑揚なくその数字が読み上げられた時だった。
「ビンゴ!」
一人の男の朗々とした声が、熱気あふれるテント内に響き渡った。
あぁ、終わった……やっと、終わった……。
高らかにビンゴの声が響いた時、トオルの胸を満たしたのは安堵だった。その瞬間、非力なりにその勤めを果たそうと懸命に働いていた窄まりがぽこりと開き、残りのローションと玉が全てぼたぼたと流れ出す。
「ひあぁぁ……」
も、だめ……全部……出ちゃった……。
ぶぴっと醜い音を立て、ローションの残りを全て出し切った時には、でっぷりと太った勝者の男性がステージに上がり、『バトラー』から賞金を受け取っていた。
「こちらのウサギは本日お持ち帰りされますか?後日の配送も可能ですが」
これ見よがしにハイブランドのスーツに身を包んだ優勝者の中年男は、『バトラー』の言葉にやれやれと肩をすくめた。
「持ち帰りたいのはやまやまだが、仕事の関係で煩い記者どもに張り付かれていてね。飼育小屋の確保が難しいんだ。残念だが、そちらの店でいいように処分してくれたまえ」
ブボォォッ!
「あああああっ!!!」
濁った派手な音を立て、大量のローションと共に無数の玉が噴き出す。内臓を尻から引っこ抜かれたかと思うほどの衝撃で、トオルの中から全てが迸り出て行く。
それは、鮮烈な開放感だった。頭が真っ白になるほどの快感だった。その究極の一瞬に、最後の一押しを与えられずにいた性器は歓喜に震え、大量の白濁液をバニーコスチュームの中に奔出させる。
気持ちよかった。今死んでもいいくらい、気持ちよかった。
だが、あれほどまでに夢見ていた解放であるにも関わらず、多幸感はほんの一瞬で圧倒的な羞恥にとって替わる。トオルの尻は一度の噴出では閉じきらず、腹の中のうねりによって、第二波第三波と、ぼとぼとと玉を垂れ流してしまっていたのだ。
「やだやだやだぁーっ!!!」
絶叫するトオルだが、漏出は止まらない。ステージの上にできたローション溜まりに、次々とビンゴ玉が落ちていく。
しかも、長く焦らされすぎた性器も箍が外れてしまったのか、ぶじゅ、ぶじゅと音を立てて、白濁を間欠泉のように噴き出し続けた。
「止めて止めて止めて!」
このままでは全部出てしまうと、虚空に向けて泣き叫ぶ。それがビンゴ玉のことなのか、排泄を思わせる行為そのもののことなのか、もうわからない。もしかしたら、トオルの内にある、尊厳のようなものまでも流れ出してしまう恐怖だったかもしれない。
尻を窄めようにも、出してしまいたいという体の欲求が意思をはるかに凌駕している。泣き叫びながら玉とローションと精液を漏らし続けるトオルの姿は、人間としても抽選台としても欠陥品以外の何ものでもなかった。
その一方で、観客達からはやんややんやの大喝采が上がった。
「これは見事な大噴射だ。ハハッ、おもらしウサギが鼻水垂らして泣いてるぞ」
「傑作だ、粘膜がはみ出してるじゃないか。真っ赤に腫れて、ククッ」
「おお、ウサギの股間からザーメンがぼたぼた漏れてるぞ。尻からビンゴ玉漏らして射精するとは、いやぁ、若いもんは元気ですなぁ」
ステージ上のスクリーンには、てらてらと光る粘膜をめくれ上がらせて玉を漏らし続ける秘部も、アシスタントに無理矢理上げさせられたぐしゃぐしゃの泣き顔も、トオルの全てが余すことなく大写しにされている。
「見んなよぉっ……!見ないで……よぉ……っ!」という悲痛な叫びがスピーカーから響くが、それすらかき消されそうなほどの拍手と野次が巻き起こっていた。
「一度の抽選で複数の数字が出るとご案内しましたが、これは予想以上に多いですね。仕方がないので、飛距離が一番長かった玉から順に当選番号といたします」
『バトラー』の指示により、アシスタントの大男達がぬるつく小さな玉を集め、ステージ上に注意深く並べていく。
「31……52……13……」
『バトラー』が玉をひとつひとつ拾い上げ、ゆっくりと数字を読み上げる声は、途切れることなく続いた。
既に手遅れではあるが、それでもトオルは羞恥心から、今なお漏れ続ける玉をなんとか少しでも尻の中に留めようとする。
だが、長時間に渡る快楽と圧迫の苦しみの中で、トオルの尻は恥じらいも本来の機能も麻痺してしまったらしい。締まりの悪い蛇口から雫が落ちるように、尚もぽとり、ぽとりと玉が漏れ落ちていく。
「やだ……や……止めて……止めてぇ……」
もはや、『バトラー』の手でも尻尾でもいいから、穴を塞いで欲しいとさえ思う。だが、ショーの進行を司る男が、抽選台の羞恥など省みてくれるはずもない。
「25……3……47………」
一定の調子で読まれる数字の合間に、「リーチ!」「私もだ!」といくつもの興奮した声が上がる。
トオルはそれを、どこか遠い世界の出来事のように聞いていた。
「あひ……ひ……出ちゃう……ぜんぶ、出ちゃう……」
もはや賞金のことも、自分が優勝商品になることも頭にはない。今この瞬間も漏らし続け、恥を晒し続けているということだけが、トオルの意識の全てだった。
排出は間遠くなっていたが、それでもまだ、トオルの穴はくぷん、くぷんと一粒ずつ漏らしている。その度に、戸惑うように窄まりが狭まる様子は、どこかいじらしくすらあった。
「……69……28」
『バトラー』の声で、抑揚なくその数字が読み上げられた時だった。
「ビンゴ!」
一人の男の朗々とした声が、熱気あふれるテント内に響き渡った。
あぁ、終わった……やっと、終わった……。
高らかにビンゴの声が響いた時、トオルの胸を満たしたのは安堵だった。その瞬間、非力なりにその勤めを果たそうと懸命に働いていた窄まりがぽこりと開き、残りのローションと玉が全てぼたぼたと流れ出す。
「ひあぁぁ……」
も、だめ……全部……出ちゃった……。
ぶぴっと醜い音を立て、ローションの残りを全て出し切った時には、でっぷりと太った勝者の男性がステージに上がり、『バトラー』から賞金を受け取っていた。
「こちらのウサギは本日お持ち帰りされますか?後日の配送も可能ですが」
これ見よがしにハイブランドのスーツに身を包んだ優勝者の中年男は、『バトラー』の言葉にやれやれと肩をすくめた。
「持ち帰りたいのはやまやまだが、仕事の関係で煩い記者どもに張り付かれていてね。飼育小屋の確保が難しいんだ。残念だが、そちらの店でいいように処分してくれたまえ」
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