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馬 並子

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ウサギの抽選台 ――玉数確定――

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「……71、72、と。もう入りませんか?沢山入れた方があなたにとっては有利になりますよ?」
ビンゴ玉の注入を再開してからしばらく経って、ようやく『バトラー』の声がかかった。
トオル自身には、もう数など把握できない。とっくに心も体も限界だった。
まるでビニール袋のように内壁を無理矢理広げられ、溢れないよう注意深く玉を詰められ続けたのだ。スクリーンには、押し開かれた縁ギリギリまで銀の玉が詰まっている様子が映し出されている。
「も、むり、むり、だから……」
蚊の鳴くような声で上げた白旗を、カメラのマイクがしっかりと拾った。

「では、ここまででビンゴ玉の投入は終了といたします。クスコを抜きますから、ウサギさんはしっかりとお尻を閉じて、漏らさないようにしてください」
『バトラー』の言葉が終わるか否かの内に、窄まりを無理に押し広げていた金属のくちばしがゆっくりと抜かれた。
内壁を擦りながら出て行く異様な感触に、トオルは「あくぅっ!」と声を上げ、ぶるぶると震える。そのまま中の玉を全部出してしまいそうだった。
「出るっ!出ちまうっ!」
長時間押し開かれていたせいか、トオルの窄まりはじわじわとしか閉じていかない。
そうなることがわかっていたのか、『バトラー』は焦ることなく、白手袋に覆われた手でトオルの穴に蓋をした。

だが、それがかえってトオルの羞恥を煽った。
あの美しい身なりの『バトラー』に、手で押さえていてもらわないと漏らしてしまう。そんなみっともない自分を自覚させられるのだ。
真っ白な手袋を、玉が纏ったローションと腸の生み出す粘液で汚しながら、尻の穴が閉じるのを待ってもらっている。
それは、人前で尻に異物を入れられるよりも、遥かに身の置き所がない事実だった。

苦悩の時間の末、ようやく括約筋が収縮し、トオルの尻がかろうじて窄まりきる。
だが、その脆い門のすぐ裏にまで玉が迫っているのが、見た目にもわかった。菊は伸びきって歪に盛り上がり、今にも弾けそうだ。

「では皆様、ビンゴの数字は1から72までとなります。お手元の電子カードに数字が表示されますのでご確認ください」
ようやく抽選が始まるようだ。もう己の立場は十分に理解しているトオルではあったが、それでもこれから自分の身に起こることを想像すると、涙がとめどなく溢れてくる。

だって、抽選というからには、入れた玉を出さなくてはいけない。男の身でバニーの格好をして、四つん這いで拘束され、尻からビンゴ玉をひり出すのだ。惨めで、情けなくて、死にそうに恥ずかしい。

実際のところ、腹はぱんぱんで苦しくて、今すぐにでも全てを出してしまいたい。というか、腹に少しでも力を入れると玉を漏らしてしまいそうだ。
だがどうしても、自分から人前で出すなんて考えられなかった。
「頼みます、うう……出すのだけは……」
苦しさに耐えつつ、どうか情けをかけてくれと懇願する。だが、トオルが泣けば泣くほど、尻の背後から聞こえるざわめきが楽しげにうねった。観客は皆、トオルの醜態を心から楽しんでいるようだ。

「可哀想に、ウサギが泣いています。尻尾しっぽが無いのが悲しいのでしょう。
おや?私のポケットの中に何やら……おお、これは!」
とぼけたような芝居がかった『バトラー』の声に、何を馬鹿なと言い返す気力もわかない。だが、客席から上がった愉快そうな笑い声に、良くないことが起こっているとだけは察せられた。
「せっかく尻尾が見つかりましたが、こんなにギリギリまで玉が詰まっていては入りませんね。少し中の玉を動かしましょう」
一体何をと、首を後ろに捻ろうとしたが果たせなかった。かろうじて閉じている場所に、つぷりと無遠慮に細い物が突き入れられた感触がしたのだ。

一瞬の後、トオルの会陰の裏側辺りがかっと燃えた。その鮮烈な熱は、溶岩流のようにビンゴ玉同士の隙間を這い、トオルの腹いっぱいに一瞬で広がる。
「うああああぁーっ!」
咆哮を上げ、伸び上がるように逃れようとするが、二人の屈強なアシスタントに左右からがっしりと押さえ込まれる。
灼熱の奔流は止まらない。確かな質量をもって、腹の中をなみなみと満たしていく。
『バトラー』がシリンジで注入する液体が、トオルの尻の中にいまだかつて知らない熱を生み出しているのだ。

「やだあああぁっ!入れるなぁぁっ!」
ぶじゅううぅぅっっと、気密空間に無理やり大量の粘液を押し込む音が会場中に響いた。トオルの腹がパンパンに膨れ上がる。腹の中に熱湯を注がれたと思った。
「あつ゛い゛ぃっ!やだあぁぁぁっ!」
アシスタントの男に押さえ込まれながらも、拘束された体をよじって逃れようとする。
殺されると思った。腹を内側から焼かれて、死んでしまうと。
本能で、腹から灼熱を排除しようといきむ。だが、出すより先に何か太いものが突き込まれ、びたんと出口を塞いでしまった。
「うぐううぅぅっ!熱いぃっ!焼ける!死ぬぅっ!」

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