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見世物ウサギ
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「んぁっ!」
思わず上げてしまった声に、トオルは羞恥を覚えて唇を噛みしめる。光に照らされているだろう場所で、尻の中のバルーンの空気を急に抜かれたのだ。
トオルが引き出された空間は、学生時代に体育祭で流れていたアップテンポの音楽――その曲が『天国と地獄』というタイトルであることを、音楽に疎いトオルは知らない――と、男達のものと思われる低いざわめきや忍び笑いで満たされている。
いまだに目隠しを外してもらえていないトオルは、押し広げられていた腹の中が急激に収縮する感覚に、がくりと膝をついてしまった。
後ろ手に手錠をされているため、顔面から床に激突しそうになったが、すんでのところで力強い手に左右から二の腕を掴まれる。どうやら、『バトラー』以外にも最低二人は男がいるらしい。
目隠しをされたトオルには見えていなかったが、ステージ上にはアシスタントとして、顔をフルフェイスのラバーマスクで覆った半裸の男が二人控えていた。上半身の肌がむき出しで、まさに筋骨隆々と呼ぶに相応しい体躯を誇っている。面積の小さなラバー製のショートパンツに覆われた股間はもこりと強調され、むせそうな程の雄のフェロモンを発していた。
彼らがあまりにも逞しい分、観客の目にはバニーコスチュームに身を包んだトオルがより華奢に見え、囚われたいたけな小動物のように映るのだ。
「では、ビンゴゲームの準備をいたします。詳細はステージ上部のスクリーンに映し出されますので、皆さまごゆるりとお楽しみくださいませ」
目隠しをされたトオルには、当然何も見えはしない。だが、マイク越しに朗々と説明をしているのは、『バトラー』だと声でわかる。バニーに扮し、床に膝をついた状態のトオルは、一体何が起こるのかときょどきょどと首を左右に捻った。
「まずは、こちらの台にウサギの手足を固定します」
トオルは手錠を外されると、アシスタントの逞しい男によって腰高の台の上に抱き上げられた。
ここでどうすればいいのかと悩む暇もなく、男たちの手で押さえつけられ、無理やり四つん這いにさせられる。
間髪入れず、先ほどの手錠のような感触の道具で手首が台に固定され、次いで足首も固定されてしまった。
膝は固定されていないため、胴体や尻は自由に動かせるが、手首足首を固定されていると、動きはかなり制限される。
ここまでくれば、『バトラー』が言う「ウサギ」が自分のことであり、今身につけているのがバニーガールの衣装だということは、容易に想像がついた。
つまりトオルは今、まるで水着のようにぴったりした素材のバニーコスチュームを、裸の上に直接身につけさせられているのだ。
二十代男子の身でハイレグを履かされている羞恥もさることながら、何よりトオルは、尻の辺りがすぅすぅするのがどうにも気にかかった。
「股間がうっすら透けているな」
「ウサギなのに尻尾がないじゃないか、可哀想に」
忍び笑う客の言葉が聞こえてくるが、目隠しのせいで自分の状態が確認できない。
だが観客たちは、巨大なスクリーンでトオルの股間や尻、そして不安と羞恥に歪む顔をまじまじと観察していた。トオルが固定された台には、いくつものカメラが取り付けられているのだ。
特に尻は入念に撮影されており、引きで尻全体を捉えるカメラと、尻の穴をアップで狙うカメラの二台がかりとなっている。
そのため当然のことながら、しっぽがあるべき場所に開いた穴から、空気が抜けてしなびたバルーンが引き抜かれる瞬間も、巨大なスクリーンに克明に映し出された。
思わず上げてしまった声に、トオルは羞恥を覚えて唇を噛みしめる。光に照らされているだろう場所で、尻の中のバルーンの空気を急に抜かれたのだ。
トオルが引き出された空間は、学生時代に体育祭で流れていたアップテンポの音楽――その曲が『天国と地獄』というタイトルであることを、音楽に疎いトオルは知らない――と、男達のものと思われる低いざわめきや忍び笑いで満たされている。
いまだに目隠しを外してもらえていないトオルは、押し広げられていた腹の中が急激に収縮する感覚に、がくりと膝をついてしまった。
後ろ手に手錠をされているため、顔面から床に激突しそうになったが、すんでのところで力強い手に左右から二の腕を掴まれる。どうやら、『バトラー』以外にも最低二人は男がいるらしい。
目隠しをされたトオルには見えていなかったが、ステージ上にはアシスタントとして、顔をフルフェイスのラバーマスクで覆った半裸の男が二人控えていた。上半身の肌がむき出しで、まさに筋骨隆々と呼ぶに相応しい体躯を誇っている。面積の小さなラバー製のショートパンツに覆われた股間はもこりと強調され、むせそうな程の雄のフェロモンを発していた。
彼らがあまりにも逞しい分、観客の目にはバニーコスチュームに身を包んだトオルがより華奢に見え、囚われたいたけな小動物のように映るのだ。
「では、ビンゴゲームの準備をいたします。詳細はステージ上部のスクリーンに映し出されますので、皆さまごゆるりとお楽しみくださいませ」
目隠しをされたトオルには、当然何も見えはしない。だが、マイク越しに朗々と説明をしているのは、『バトラー』だと声でわかる。バニーに扮し、床に膝をついた状態のトオルは、一体何が起こるのかときょどきょどと首を左右に捻った。
「まずは、こちらの台にウサギの手足を固定します」
トオルは手錠を外されると、アシスタントの逞しい男によって腰高の台の上に抱き上げられた。
ここでどうすればいいのかと悩む暇もなく、男たちの手で押さえつけられ、無理やり四つん這いにさせられる。
間髪入れず、先ほどの手錠のような感触の道具で手首が台に固定され、次いで足首も固定されてしまった。
膝は固定されていないため、胴体や尻は自由に動かせるが、手首足首を固定されていると、動きはかなり制限される。
ここまでくれば、『バトラー』が言う「ウサギ」が自分のことであり、今身につけているのがバニーガールの衣装だということは、容易に想像がついた。
つまりトオルは今、まるで水着のようにぴったりした素材のバニーコスチュームを、裸の上に直接身につけさせられているのだ。
二十代男子の身でハイレグを履かされている羞恥もさることながら、何よりトオルは、尻の辺りがすぅすぅするのがどうにも気にかかった。
「股間がうっすら透けているな」
「ウサギなのに尻尾がないじゃないか、可哀想に」
忍び笑う客の言葉が聞こえてくるが、目隠しのせいで自分の状態が確認できない。
だが観客たちは、巨大なスクリーンでトオルの股間や尻、そして不安と羞恥に歪む顔をまじまじと観察していた。トオルが固定された台には、いくつものカメラが取り付けられているのだ。
特に尻は入念に撮影されており、引きで尻全体を捉えるカメラと、尻の穴をアップで狙うカメラの二台がかりとなっている。
そのため当然のことながら、しっぽがあるべき場所に開いた穴から、空気が抜けてしなびたバルーンが引き抜かれる瞬間も、巨大なスクリーンに克明に映し出された。
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