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雛木と誠吾、尿道責められるってよ 3
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ステンレス製のブジーを根元まで入れられたままの誠吾は、自分より更に深くまで責められている雛木の様子を見て、恐怖のあまり「ひっ……」とか細い悲鳴を上げた。浅く開いた脚はもちろん、雛木と握り合った手も、恐怖のあまりぶるぶると震えている。
もはや他人の視線を意識する余裕すらなくなっている雛木ではあったが、僅かに残った気遣いで、大丈夫だと力強く手を握り返した。だが当の雛木も、ブジーの先端が陰嚢の裏辺りに達したところで、両足をがくがくと震わせ始めてしまう。
「あっ! そこ、だ、駄目ですっ! あっ、あっ、ひぃっ、ひっ……っ! あっ、あっ、あっ、あっ!」
射精感と、アヌスを抉られるのに似た切迫感と、尿意を堪えている時特有の限界感が入り混じり、情けない悲鳴が漏れる。そこは絶対に直接刺激してはならない場所だと、本能が叫んでいる。
それなのに、そのひりひりとした切迫感がたまらなく気持ちがいい……気がする。自分でも、今味わっている感覚に頭が追いつかず、名前なんてつけられない。頭の中は「駄目」「無理」「嫌だ」と拒否の言葉で埋め尽くされているのに、雛木の口からはどこか艶を含んだ鳴き声ばかりが漏れる。
それは、完全に未知の感覚だった。何かが引きずり出されようとしているのに、排泄のような忌避感があって解放しきれない。ひどくもどかしくて、恥ずかしくて、ぎりぎりで、でもこの追い詰められた先端をずっと味わっていたい感じ。これが尿道からの前立腺責めだというなら、これまで自分が無意識に抱いていたペニスへの認識が覆えされてしまう。
そこはもう、排泄や射精の単純で清々しい快感を得る出口という役割だけではいられない。侵入に対してひどく脆い、特別に恥ずかしい弱点になってしまう。だってこんなに、気持ちいいのか苦しいのか痛いのか、よくわからない。ギリギリに追い込まれてしまって、声が止まらないのだ。
こんなのありえない。なのに、こんなに混乱して身悶えているというのに、アヌスの感じる部分の丁度裏側が、工藤の操るブジーの先端で容赦なくこんこんっとつつかれてしまった。
「ひぃっ! いやああぁっ! ああっ! ああっ! あああーっ!」
悲鳴を上げ、雛木は誠吾の右手を強く握り締めたまま、両脚をガクガクと痙攣させる。
「せんぱい……?」
不安げな誠吾の涙声にも、とてもではないが返事ができない。挿し込まれたブジーの背をとんとんっと指先で軽く叩かれる度に、剝き出しになってしまった快感の源を直接針で貫かれたような衝撃が走る。気持ちいいと考える余裕もない。雛木は悲鳴を上げながらびくびくと震え、高いところに縫い留められてぴりぴりと電流を流され続けるかのような、開放感のない絶頂の連続にのたうった。
「イキっ放しだな。さすが、よく仕込んでるじゃねぇか。それに比べて、見ろ、こいつのビビり具合はよぉ」
矢上の呆れた声音に意識を引かれ、雛木は白目を剥きそうな眼球を無理に動かす。視線の先では、誠吾が真っ青な顔でブジーに串刺しにされた己の股間を見つめ、全身を恐怖に震わせていた。いつの間にか、ステンレス製のブジーから、雛木が使われているのと同じ柔軟性のあるブジーに替えられていたらしい。誠吾の悲鳴が聞こえないほど追い込まれていたか、もしかすると少し意識を飛ばしていたのかもしれない。
怖がる必要はないのに。主人に身も心も委ねれば、こんな風に快感のその先に追い込んでもらえるのに。と、雛木はふわふわした心地で誠吾の手をきゅっと握る。だが雛木の手は思うように力加減ができず、縋るような強さで、誠吾の手の甲に爪を食いこませながら痙攣していた。その尋常でない様子に、誠吾の恐慌は更に高まってしまう。
しかし、誠吾の脅えを前にしても、新たな快感を植え付けようという矢上の欲望は止まらない。ペニスの根本より奥はカーブを通すのが難しいのか、矢上は眉間に皺を寄せながらブジーを押し込んでいく。ほんの少しずつではあるが、入りつつあるらしい。
だが、ある一点に達した時、唐突に誠吾の限界が訪れた。
「無理っす! 無理っすぅっ! やめて! ごめんなさい! ごめんなさいぃぃっ!」
ぶわっと両目に涙を吹き上がらせ、誠吾が本気の拒絶を見せる。
「あ?」
不機嫌そうな声を発しつつも、押し込むブジーを止めてやった矢上に対し、誠吾は涙ながらに訴えた。
「ごめ、っ、なさっ、っ、漏れる、漏れちゃう……。さっき、しょんべん、出なくって……。今マジで、漏れそう……っす……!」
よく見れば、確かに誠吾の下腹はわずかに盛り上がりを見せていた。工藤に予め膀胱を空にするよう言われていたのにも関わらず、どうやら緊張や恐怖でうまく出せなかったらしい。前立腺付近の膀胱括約筋をブジーで刺激され、尿意を我慢できなくなったようだ。
雛木とて、これからされるだろうことを思えば、緊張で自然な排泄などできなかった。だが、排泄と絶頂は紙一重どころか同心円状にあることを、雛木は嫌というほど思い知っている。尿道から奥を責められ気持ちよくなったとしたら、自分は漏らしてしまうに決まっている。だから、矢上と誠吾の前で粗相をしないよう、雛木は腹を圧迫して無理にでも絞り出したのだった。
だが、誠吾にはそんな認識も覚悟もなかったらしい。尿道を広げられ、膀胱のすぐそばを刺激されて、どうしようもないほどに尿意がこみ上げてしまったようだった。
「きちんと出してきなさいと言ったでしょう」
呆れた工藤の声に、
「こういう場で漏らしたがる変態だったとは知らなかったなぁ。お前のこと、わかってやれなくて悪かったなぁ。あぁ?」
と矢上の嫌味が続く。
誠吾はひんひんと泣き、もはやずるずると鼻水まで垂らしている。やんちゃ坊主のような誠吾が、ペニスを虐められた挙句、小便を堪えて泣いている様は、純粋に可哀想だった。
元々ノンケでSМ趣味もない誠吾にとって、この状況には恐怖しかないのだろう。雛木は詳しい事情は知らなかったが、誠吾が一方的に矢上に惚れ込み、しつこく迫ってやっと受け入れてもらったということは聞いていた。その受け入れる条件が、矢上の望む形のセックスを受け入れることだった、と、語った誠吾は照れつつも、少し悲しげだった。相手をする条件をやっと提示してもらったのに、それを満足に満たせていない上に、愛する相手が望む行為を心から楽しめていないのだ。矢上のことが好きだから、誠吾から見れば普通ではないプレイを我慢しているに過ぎない。もちろん、その手の経験が少ない誠吾にとって、「普通」とは狭い範囲から見聞きした情報に過ぎないのだが。
雛木からすれば、主人に調教してもらうことに勝る幸福は無いと断言できるから、こんなにセクシーな男に望むようにされて、悦びを感じられないのは惜しいことだと思う。しかし、世の中には被虐趣味がない人間もいるということを理解できる程度には、理性と常識はあった。一般的には変態趣味などないに越したことはない、というか、変態趣味があれば蔑まれるものだ。だから、矢上のような男を愛し尽くそうとしてしまった誠吾は、健気で、そして可哀想だった。
そんな思いがあったから、雛木はもしかしたら、無意識に多少非難がましい視線を主人たちに送ってしまっていたかもしれない。少なくとも、ブジーを奥まで差し込まれたままで放置され、もどかしい気持ちは間違いなくあった。何しろ、誠吾のことを抜きにしても、雛木は串刺しにされたペニスを扱き立てて楽になりたい欲求と戦い続けているのだ。
「まぁ、膀胱をコントロールするのは初めのうちは難しいものです。ある程度は不可抗力を認めましょう。その分、私の奴隷が頑張ってくれると思いますよ。どうやら、『センパイ』は後輩思いのようですから」
言葉遣いは優しいが、どうやら雛木の態度は工藤の不興を買ってしまったようだ。工藤が何事かを矢上の耳元で囁くと、矢上はにやりと口の端を持ち上げて、人の悪そうな笑みを浮かべた。
「いいぜ。面白そうだ。お手並み拝見ってとこだな」
企みの中身は知らぬが仏で、白衣姿のご主人様達の密談って格好いい、などと現実逃避とも思える感慨が雛木の胸に浮かぶ。その畏れと憧憬の籠る視線を受け止めた工藤は、薄く微笑んだ。
この素敵な工藤に誠吾の分も責めてもらえるのかと思うと、雛木は恐ろしくて嬉しくて、複雑に高鳴る胸の苦しさに眉根を寄せ、はぁと小さく溜息のような吐息を漏らすことしかできない。誠吾は誠吾で、どうやら自分は解放されるようだと、隠し切れない安堵の息をついた。
その一瞬の弛緩を見計らい、矢上の手で誠吾のブジーが一気に引き抜かれた。
「うああぁぁぁっ!!!」
敏感な粘膜を刮げ取られるような衝撃に悲鳴を上げ、誠吾が診察台の上で身をよじってのたうつ。矢上の手で根元を強く握られたため、辛うじて失禁は免れたようだ。とっさに股間を押さえようとした誠吾の手は工藤に押さえつけられ、「汚い手で触らない」と、子供にするような注意が与えられた。
急な展開に理解が追いつかず、ただ動揺しているだけの雛木は、誠吾が隣で可哀想な目に遭うのを呆然と見つめるしかなかった。
「じっとしていなさい」
工藤の厳しい叱責に硬直する誠吾は、顔を真っ青にして矢上の手元を見ていた。滅菌済みを表す包装を剥がした矢上は、ゴム手袋に覆われたがっしりとした手で、細長いチューブを取り出している。何をされるのか見当がついたようで、誠吾は小さく、ゆっくりと首を横に振った。
「カテーテルは柔らかいので、意外と痛いですよ。自業自得ですから我慢なさい。大丈夫、どんなに屈強な人間でも否応なく漏らすものですから。あなたも恥ずかしがらず、安心して漏らしなさい」
どう安心すればいいのかわからない工藤の言葉が終わるか否かの内に、矢上の手が誠吾のペニスをつまみ、躊躇なく尿道口にカテーテルを挿し込んだ。
「いひぃっ」
急激に与えられた痛みに目を見開き、自らの股間を見下ろした誠吾はガタガタと全身を震わせている。
「案外すんなり入るな。ブジー様々ってとこか」
感心したように言いながら、矢上の手は休むことなく、くっくっとチューブを送り込んでいる。本人は不器用だと言っていたが、思い切りの良さが幸いしたようで、カテーテルは順調に誠吾のペニスへと飲み込まれていった。
「あああっ」
前立腺付近に辿り着いたのだろう、誠吾が身を引きつらせて悲鳴を上げる。だが矢上は手を止めず、そこを強引に通り過ぎ、カテーテルの先端をついに膀胱まで到達させたようだった。
「やっ! ヤメっ! 嘘っ! 嘘うそうそっ!」
切羽詰った誠吾の声と同時に、カテーテルの内側を勢いよく黄色い液体が通った。管全体が満たされるのは一瞬だった。パンパンになった膀胱は、強引な侵入者にいとも簡単に篭絡してしまった。
だが、管を通った液体はどこにも排出されない。カテーテルの端を持っている工藤が、折り曲げて摘み、流れを堰き止めているのだ。特別に用意されたかなり長いカテーテルは、全体が液で満たされた状態で、押し広げられた誠吾の尿道口と工藤の指先との間でたわんでいた。
「濃いですね」
カテーテルを満たす液体をまじまじと見た工藤が一言、簡潔に感想を述べた。
確かに、半透明の管越しでもわかるほど、液体はオレンジがかった濃い色をしていた。我慢していたから仕方のないことではあるが、工藤の声でそんなことを聞かされた雛木はかぁっと頬を染める。
だが、誠吾は恥ずかしいどころの騒ぎではない。
「見たら駄目っすっ! 見ないで下さいぃっ!」
可哀想に、羞恥と恐怖と混乱がない交ぜになり、自分でも何をしているのかわからなくなっているのだろう。曝された液体を何とか隠そうと、突き出した両手をぶんぶんと振りながら叫び、文字通り号泣している。
「しょんべん見られるの、恥ずかしいなぁ誠吾。工藤が手ぇ離したら床にぶちまけちまうなぁ?」
矢上がにやにやしながら更に羞恥心を煽る。誠吾はわぁっと声を上げて泣きながら、工藤に向けて
「離さないでください! ごめんなさい、離さないでぇ!」
と哀願した。
そんな哀れを誘われる光景を、雛木は浅く息をつきながら眺めるしかなかったが、しかしふと気づいてしまった。
矢上が、完全に勃起している。
「おしっこ見ないで下さいって言ってみな」
情けない姿の誠吾をからかう口調で見下ろしながら、タイトなブラックデニムの股間をパンパンに盛り上げているのだ。
「矢上さん……子供の頃、好きな子をからかったりいじめたりするタイプだったでしょう」
雛木が思っていても言えなかったことを、工藤がじろりと横目で睨んで言ってくれる。
「愛あるいじめだぞ。泣いたらちゃんと可愛いって褒めてやってたし」
悪びれることのない矢上の言葉に、相手をする気が失せたのか、工藤は無視して誠吾に向き直った。
「誠吾くん、非道な主人ではなく、先輩があなたの苦境を救ってくれますから安心なさい」
この状況で自分に何ができるのかわからず雛木は戸惑うが、誠吾の涙ながらに縋る視線に、大丈夫だと場当たり的に頷いた。
雛木自身、らしくないとは思うのだが、誠吾の泣き顔にはどうにも庇護欲を掻き立てられる。矢上への恋心ゆえにこんな仕打ちに耐えている誠吾に、何かしてやれることがあるのならしてやりたい。
「俺に、できることなら……」
掠れた声に、覚悟が灯る。とはいえ、ブジー入りの勃起を晒しているこの状態では、頼りがいがあるようにはとても見えないだろうが。
だが、少なくとも工藤は覚悟を見て取ったのか、ようやく雛木を見てくれた。その手には、相変わらず誠吾の尿が通ったカテーテルが握られている。
この状態から一体何をされるのかと訝っていると、工藤はゴム手袋に覆われた両手を交互にアルコール消毒した後、事務的な手つきで雛木のペニスの裏筋をそっと撫で上げた。
触れるか触れないかのかすかな接触とは裏腹に、尿道の内側にも強い快感が駆け上ってきて、雛木は思わず顎を上げて「あっ……」と声を漏らす。
その瞬間、一気にブジーが引っこ抜かれた。
「うああぁぁっ!」
痛みとも快感ともつかない衝撃に叫んだ直後、強すぎる摩擦を受けたその場所に、強烈な痛みが生じた。
裂けたのかと慌てて自らの股間に目をやれば、なんと先ほどまでブジーの背が見えていた場所に、カテーテルが刺さっている。色濃い液体で満たされた、あのカテーテルが。
信じられない思いで管を視線で辿ると、その先は過たず誠吾のペニスに刺さっていた。
二人の奴隷は今、一本の尿道カテーテルで繋がれてしまったのだ。
もはや他人の視線を意識する余裕すらなくなっている雛木ではあったが、僅かに残った気遣いで、大丈夫だと力強く手を握り返した。だが当の雛木も、ブジーの先端が陰嚢の裏辺りに達したところで、両足をがくがくと震わせ始めてしまう。
「あっ! そこ、だ、駄目ですっ! あっ、あっ、ひぃっ、ひっ……っ! あっ、あっ、あっ、あっ!」
射精感と、アヌスを抉られるのに似た切迫感と、尿意を堪えている時特有の限界感が入り混じり、情けない悲鳴が漏れる。そこは絶対に直接刺激してはならない場所だと、本能が叫んでいる。
それなのに、そのひりひりとした切迫感がたまらなく気持ちがいい……気がする。自分でも、今味わっている感覚に頭が追いつかず、名前なんてつけられない。頭の中は「駄目」「無理」「嫌だ」と拒否の言葉で埋め尽くされているのに、雛木の口からはどこか艶を含んだ鳴き声ばかりが漏れる。
それは、完全に未知の感覚だった。何かが引きずり出されようとしているのに、排泄のような忌避感があって解放しきれない。ひどくもどかしくて、恥ずかしくて、ぎりぎりで、でもこの追い詰められた先端をずっと味わっていたい感じ。これが尿道からの前立腺責めだというなら、これまで自分が無意識に抱いていたペニスへの認識が覆えされてしまう。
そこはもう、排泄や射精の単純で清々しい快感を得る出口という役割だけではいられない。侵入に対してひどく脆い、特別に恥ずかしい弱点になってしまう。だってこんなに、気持ちいいのか苦しいのか痛いのか、よくわからない。ギリギリに追い込まれてしまって、声が止まらないのだ。
こんなのありえない。なのに、こんなに混乱して身悶えているというのに、アヌスの感じる部分の丁度裏側が、工藤の操るブジーの先端で容赦なくこんこんっとつつかれてしまった。
「ひぃっ! いやああぁっ! ああっ! ああっ! あああーっ!」
悲鳴を上げ、雛木は誠吾の右手を強く握り締めたまま、両脚をガクガクと痙攣させる。
「せんぱい……?」
不安げな誠吾の涙声にも、とてもではないが返事ができない。挿し込まれたブジーの背をとんとんっと指先で軽く叩かれる度に、剝き出しになってしまった快感の源を直接針で貫かれたような衝撃が走る。気持ちいいと考える余裕もない。雛木は悲鳴を上げながらびくびくと震え、高いところに縫い留められてぴりぴりと電流を流され続けるかのような、開放感のない絶頂の連続にのたうった。
「イキっ放しだな。さすが、よく仕込んでるじゃねぇか。それに比べて、見ろ、こいつのビビり具合はよぉ」
矢上の呆れた声音に意識を引かれ、雛木は白目を剥きそうな眼球を無理に動かす。視線の先では、誠吾が真っ青な顔でブジーに串刺しにされた己の股間を見つめ、全身を恐怖に震わせていた。いつの間にか、ステンレス製のブジーから、雛木が使われているのと同じ柔軟性のあるブジーに替えられていたらしい。誠吾の悲鳴が聞こえないほど追い込まれていたか、もしかすると少し意識を飛ばしていたのかもしれない。
怖がる必要はないのに。主人に身も心も委ねれば、こんな風に快感のその先に追い込んでもらえるのに。と、雛木はふわふわした心地で誠吾の手をきゅっと握る。だが雛木の手は思うように力加減ができず、縋るような強さで、誠吾の手の甲に爪を食いこませながら痙攣していた。その尋常でない様子に、誠吾の恐慌は更に高まってしまう。
しかし、誠吾の脅えを前にしても、新たな快感を植え付けようという矢上の欲望は止まらない。ペニスの根本より奥はカーブを通すのが難しいのか、矢上は眉間に皺を寄せながらブジーを押し込んでいく。ほんの少しずつではあるが、入りつつあるらしい。
だが、ある一点に達した時、唐突に誠吾の限界が訪れた。
「無理っす! 無理っすぅっ! やめて! ごめんなさい! ごめんなさいぃぃっ!」
ぶわっと両目に涙を吹き上がらせ、誠吾が本気の拒絶を見せる。
「あ?」
不機嫌そうな声を発しつつも、押し込むブジーを止めてやった矢上に対し、誠吾は涙ながらに訴えた。
「ごめ、っ、なさっ、っ、漏れる、漏れちゃう……。さっき、しょんべん、出なくって……。今マジで、漏れそう……っす……!」
よく見れば、確かに誠吾の下腹はわずかに盛り上がりを見せていた。工藤に予め膀胱を空にするよう言われていたのにも関わらず、どうやら緊張や恐怖でうまく出せなかったらしい。前立腺付近の膀胱括約筋をブジーで刺激され、尿意を我慢できなくなったようだ。
雛木とて、これからされるだろうことを思えば、緊張で自然な排泄などできなかった。だが、排泄と絶頂は紙一重どころか同心円状にあることを、雛木は嫌というほど思い知っている。尿道から奥を責められ気持ちよくなったとしたら、自分は漏らしてしまうに決まっている。だから、矢上と誠吾の前で粗相をしないよう、雛木は腹を圧迫して無理にでも絞り出したのだった。
だが、誠吾にはそんな認識も覚悟もなかったらしい。尿道を広げられ、膀胱のすぐそばを刺激されて、どうしようもないほどに尿意がこみ上げてしまったようだった。
「きちんと出してきなさいと言ったでしょう」
呆れた工藤の声に、
「こういう場で漏らしたがる変態だったとは知らなかったなぁ。お前のこと、わかってやれなくて悪かったなぁ。あぁ?」
と矢上の嫌味が続く。
誠吾はひんひんと泣き、もはやずるずると鼻水まで垂らしている。やんちゃ坊主のような誠吾が、ペニスを虐められた挙句、小便を堪えて泣いている様は、純粋に可哀想だった。
元々ノンケでSМ趣味もない誠吾にとって、この状況には恐怖しかないのだろう。雛木は詳しい事情は知らなかったが、誠吾が一方的に矢上に惚れ込み、しつこく迫ってやっと受け入れてもらったということは聞いていた。その受け入れる条件が、矢上の望む形のセックスを受け入れることだった、と、語った誠吾は照れつつも、少し悲しげだった。相手をする条件をやっと提示してもらったのに、それを満足に満たせていない上に、愛する相手が望む行為を心から楽しめていないのだ。矢上のことが好きだから、誠吾から見れば普通ではないプレイを我慢しているに過ぎない。もちろん、その手の経験が少ない誠吾にとって、「普通」とは狭い範囲から見聞きした情報に過ぎないのだが。
雛木からすれば、主人に調教してもらうことに勝る幸福は無いと断言できるから、こんなにセクシーな男に望むようにされて、悦びを感じられないのは惜しいことだと思う。しかし、世の中には被虐趣味がない人間もいるということを理解できる程度には、理性と常識はあった。一般的には変態趣味などないに越したことはない、というか、変態趣味があれば蔑まれるものだ。だから、矢上のような男を愛し尽くそうとしてしまった誠吾は、健気で、そして可哀想だった。
そんな思いがあったから、雛木はもしかしたら、無意識に多少非難がましい視線を主人たちに送ってしまっていたかもしれない。少なくとも、ブジーを奥まで差し込まれたままで放置され、もどかしい気持ちは間違いなくあった。何しろ、誠吾のことを抜きにしても、雛木は串刺しにされたペニスを扱き立てて楽になりたい欲求と戦い続けているのだ。
「まぁ、膀胱をコントロールするのは初めのうちは難しいものです。ある程度は不可抗力を認めましょう。その分、私の奴隷が頑張ってくれると思いますよ。どうやら、『センパイ』は後輩思いのようですから」
言葉遣いは優しいが、どうやら雛木の態度は工藤の不興を買ってしまったようだ。工藤が何事かを矢上の耳元で囁くと、矢上はにやりと口の端を持ち上げて、人の悪そうな笑みを浮かべた。
「いいぜ。面白そうだ。お手並み拝見ってとこだな」
企みの中身は知らぬが仏で、白衣姿のご主人様達の密談って格好いい、などと現実逃避とも思える感慨が雛木の胸に浮かぶ。その畏れと憧憬の籠る視線を受け止めた工藤は、薄く微笑んだ。
この素敵な工藤に誠吾の分も責めてもらえるのかと思うと、雛木は恐ろしくて嬉しくて、複雑に高鳴る胸の苦しさに眉根を寄せ、はぁと小さく溜息のような吐息を漏らすことしかできない。誠吾は誠吾で、どうやら自分は解放されるようだと、隠し切れない安堵の息をついた。
その一瞬の弛緩を見計らい、矢上の手で誠吾のブジーが一気に引き抜かれた。
「うああぁぁぁっ!!!」
敏感な粘膜を刮げ取られるような衝撃に悲鳴を上げ、誠吾が診察台の上で身をよじってのたうつ。矢上の手で根元を強く握られたため、辛うじて失禁は免れたようだ。とっさに股間を押さえようとした誠吾の手は工藤に押さえつけられ、「汚い手で触らない」と、子供にするような注意が与えられた。
急な展開に理解が追いつかず、ただ動揺しているだけの雛木は、誠吾が隣で可哀想な目に遭うのを呆然と見つめるしかなかった。
「じっとしていなさい」
工藤の厳しい叱責に硬直する誠吾は、顔を真っ青にして矢上の手元を見ていた。滅菌済みを表す包装を剥がした矢上は、ゴム手袋に覆われたがっしりとした手で、細長いチューブを取り出している。何をされるのか見当がついたようで、誠吾は小さく、ゆっくりと首を横に振った。
「カテーテルは柔らかいので、意外と痛いですよ。自業自得ですから我慢なさい。大丈夫、どんなに屈強な人間でも否応なく漏らすものですから。あなたも恥ずかしがらず、安心して漏らしなさい」
どう安心すればいいのかわからない工藤の言葉が終わるか否かの内に、矢上の手が誠吾のペニスをつまみ、躊躇なく尿道口にカテーテルを挿し込んだ。
「いひぃっ」
急激に与えられた痛みに目を見開き、自らの股間を見下ろした誠吾はガタガタと全身を震わせている。
「案外すんなり入るな。ブジー様々ってとこか」
感心したように言いながら、矢上の手は休むことなく、くっくっとチューブを送り込んでいる。本人は不器用だと言っていたが、思い切りの良さが幸いしたようで、カテーテルは順調に誠吾のペニスへと飲み込まれていった。
「あああっ」
前立腺付近に辿り着いたのだろう、誠吾が身を引きつらせて悲鳴を上げる。だが矢上は手を止めず、そこを強引に通り過ぎ、カテーテルの先端をついに膀胱まで到達させたようだった。
「やっ! ヤメっ! 嘘っ! 嘘うそうそっ!」
切羽詰った誠吾の声と同時に、カテーテルの内側を勢いよく黄色い液体が通った。管全体が満たされるのは一瞬だった。パンパンになった膀胱は、強引な侵入者にいとも簡単に篭絡してしまった。
だが、管を通った液体はどこにも排出されない。カテーテルの端を持っている工藤が、折り曲げて摘み、流れを堰き止めているのだ。特別に用意されたかなり長いカテーテルは、全体が液で満たされた状態で、押し広げられた誠吾の尿道口と工藤の指先との間でたわんでいた。
「濃いですね」
カテーテルを満たす液体をまじまじと見た工藤が一言、簡潔に感想を述べた。
確かに、半透明の管越しでもわかるほど、液体はオレンジがかった濃い色をしていた。我慢していたから仕方のないことではあるが、工藤の声でそんなことを聞かされた雛木はかぁっと頬を染める。
だが、誠吾は恥ずかしいどころの騒ぎではない。
「見たら駄目っすっ! 見ないで下さいぃっ!」
可哀想に、羞恥と恐怖と混乱がない交ぜになり、自分でも何をしているのかわからなくなっているのだろう。曝された液体を何とか隠そうと、突き出した両手をぶんぶんと振りながら叫び、文字通り号泣している。
「しょんべん見られるの、恥ずかしいなぁ誠吾。工藤が手ぇ離したら床にぶちまけちまうなぁ?」
矢上がにやにやしながら更に羞恥心を煽る。誠吾はわぁっと声を上げて泣きながら、工藤に向けて
「離さないでください! ごめんなさい、離さないでぇ!」
と哀願した。
そんな哀れを誘われる光景を、雛木は浅く息をつきながら眺めるしかなかったが、しかしふと気づいてしまった。
矢上が、完全に勃起している。
「おしっこ見ないで下さいって言ってみな」
情けない姿の誠吾をからかう口調で見下ろしながら、タイトなブラックデニムの股間をパンパンに盛り上げているのだ。
「矢上さん……子供の頃、好きな子をからかったりいじめたりするタイプだったでしょう」
雛木が思っていても言えなかったことを、工藤がじろりと横目で睨んで言ってくれる。
「愛あるいじめだぞ。泣いたらちゃんと可愛いって褒めてやってたし」
悪びれることのない矢上の言葉に、相手をする気が失せたのか、工藤は無視して誠吾に向き直った。
「誠吾くん、非道な主人ではなく、先輩があなたの苦境を救ってくれますから安心なさい」
この状況で自分に何ができるのかわからず雛木は戸惑うが、誠吾の涙ながらに縋る視線に、大丈夫だと場当たり的に頷いた。
雛木自身、らしくないとは思うのだが、誠吾の泣き顔にはどうにも庇護欲を掻き立てられる。矢上への恋心ゆえにこんな仕打ちに耐えている誠吾に、何かしてやれることがあるのならしてやりたい。
「俺に、できることなら……」
掠れた声に、覚悟が灯る。とはいえ、ブジー入りの勃起を晒しているこの状態では、頼りがいがあるようにはとても見えないだろうが。
だが、少なくとも工藤は覚悟を見て取ったのか、ようやく雛木を見てくれた。その手には、相変わらず誠吾の尿が通ったカテーテルが握られている。
この状態から一体何をされるのかと訝っていると、工藤はゴム手袋に覆われた両手を交互にアルコール消毒した後、事務的な手つきで雛木のペニスの裏筋をそっと撫で上げた。
触れるか触れないかのかすかな接触とは裏腹に、尿道の内側にも強い快感が駆け上ってきて、雛木は思わず顎を上げて「あっ……」と声を漏らす。
その瞬間、一気にブジーが引っこ抜かれた。
「うああぁぁっ!」
痛みとも快感ともつかない衝撃に叫んだ直後、強すぎる摩擦を受けたその場所に、強烈な痛みが生じた。
裂けたのかと慌てて自らの股間に目をやれば、なんと先ほどまでブジーの背が見えていた場所に、カテーテルが刺さっている。色濃い液体で満たされた、あのカテーテルが。
信じられない思いで管を視線で辿ると、その先は過たず誠吾のペニスに刺さっていた。
二人の奴隷は今、一本の尿道カテーテルで繋がれてしまったのだ。
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うわあああ!更新に昼間気付き、夜ゆっくり読むのを楽しみにしていました。
尿道責めがあまりに淫靡で、何より主人たちの奴隷を愛している故の容赦の無さが好きです。どっちのカップルも最高〜!!!わ〜い!!!
そして、こんな良いとこで終わるとは…なんてこった!!次回も楽しみにお待ちしてます。取り敢えず1話からもう一回読み直してきます。
更新ありがとうございます!楽しみにしてます(〃'▽'〃)
今まで読んできたBL小説の中で、一番好みにドンピシャで最高の最高の最高です!!!!
世界観に入り込みすぎて一気読みし、最後まで読み終わっても尚しばらくボンヤリしちゃいました…。
官能的な描写、登場人物が増えて来た中で個性ある書き分け、全てが素晴らしいと思います。ぜひぜひ続きを読ませてください。スマホの前で土下座しております。寒い日が続くので、ご自愛ください。