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もっとトイレが好きになるプレイ 5/7
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「疲れたでしょう。座っていいですよ」
両手を吊り上げていた麻縄を徐々に緩められると、長時間爪先立ちになっていた両足はガクガクと震えてまるで言うことを聞かず、崩れ落ちるように便座に跨ってしまった。両腕は頭上に吊り上げられたままだが、休ませてくれるつもりなのか、多少余裕を残した長さで再度縄橋に固定される。
とはいえ、自分で両腕を持ち上げて手首への縄の食い込みを軽くする余力はもうなくて、便座に跨って座り、軽く両肘を曲げて吊られた状態で力なく項垂れた。
吊りから下ろされた時の虚脱感はいつもすさまじい。指一本動かしたくなくなり、雛木は気を失うように眠りに引きずり込まれてしまうことがよくあった。
しかし今日は、何ひとつ発散させてもらえていない乳首が、ペニスが、アヌスが、意識を手放すことを許さない。
雛木はのろのろと顔を上げ、工藤に目線で情けを乞うた。
「意識ははっきりしているようですね。大丈夫、もうすぐいかせてあげますから」
工藤は言うなり、乳首を絞り上げている麻紐の先を手に取り、あろうことかトイレのドアの内側についた荷物フックに引っかけた。
まさかと驚いている内に、ぴんと張った状態で固定されてしまう。自分の両乳首から伸びた二本の麻紐がトイレのドアに繋がっている光景は、雛木の理解を完全に超えていた。
うそ……。
漏れそうになった驚きの声を、すんでのところで飲み込む。
「扉が音を立ててしまうので、あまり強く引っ張って遊ばないように」
言葉だけ聞けばまるで子供への注意だが、自分でしょっちゅう乳首を引っ張って『遊んで』いるのを見透かされた気がして、雛木はバツが悪くなって俯いた。
強く締め上げられた乳首はじんじんと熱を持って、痛くて。だから、早くもっと思い切りいたぶって、いかせて欲しかった。
「本当はこれは必要がないのですが、自分からジッパーを開けていたご褒美に、使って差し上げてもいいですよ。どうしますか?」
工藤がこれと言って雛木の顔の前に差し出したのは、シリコンで覆われた釣り針形の道具だった。男の手くらいの大ぶりな針で、全体の太さは親指程度だが、先端には鉤爪の代わりに直径4センチ程度の玉がついている。釣り針の上部には穴があり、そこには既に麻縄が通されていた。ちょうど、魚釣りの針と糸のような状態だ。
見たことのない道具だったが、ご褒美と言われて雛木が頷かないはずはない。
「ありがとうございます。お願いします」
何に使うのか尋ねることもなく、素直に小声で受け入れた雛木に、工藤は場違いなほど明るい笑顔を見せた。
「あなたは本当にかわいらしいですね。そんなだから、次はどんな風に責めようかと、夜も昼もなく毎日あなたのことばかり考えてしまうんですよ」
突然の工藤の告白に、心臓がどんっと鳴って一瞬止まったような気がした。次いで、ドクドクドクドクと早鐘を打ち、顔がかぁっと赤くなる。
会えない時間に工藤が自分のことを考えてくれているだけでも嬉しいのに、その頭の中で自分が様々な責めで乱されているなんて。しかも夜も昼もなく毎日。
嬉しすぎて、欲情しすぎて、その頭の中の映像を是非メールに添付して送ってほしいと、馬鹿なことすら考える。
あぁもう大好きだ。世界一大好きな、俺のマスター!
迸る愛と欲に内心で身悶える雛木をよそに、工藤はフック状の道具の玉周辺に、丹念にゼリーを塗り込んでいた。
「お尻を少し突き出しなさい」
その言葉に、眩暈を伴うほどの期待が胸の中で渦を巻く。一週間触れられることのなかったアヌスが、ひとりでにぎゅうっと引き絞られた。
乳首が引っ張られないよう用心しながら、便座に跨ったまま背を反らして尻を後ろに突き出す。
あれを入れて貰えるんだろうか。あんなに大きい玉の部分を。ご褒美だって……嬉しすぎる。
期待に瞳を潤ませる雛木の側面に回った工藤は、下着に開いたジッパーの狭間から、釣り針の先端の玉をぐっと押し込んだ。
「ふっ……っ~~~!」
慣らされてもいないのに、濡れた玉はアヌスにぐぷりと入り込み、内壁を押し開きながら奥へとめり込む。未経験であれば裂けてもおかしくない大きさの玉を、雛木のアヌスは柔軟に呑み込み、放したくないとでも言うかのように強く食い締めた。
一週間ぶりの異物に、雛木の内壁は歓喜に咽んでいた。シリコンで覆われた中身はもしや金属なのか、玉はずっしりと重い。腹の内側で感じるその重量は、異物を挿入されたのだという事実を強烈に訴えていて、痛みどころかゾクゾクとした悦びばかりを生み出す。
一方、敏感な入り口は、入り込んでくる柄を食い締めてみたり、もっと呑み込もうと弛んでみたり、忙しなく収縮を繰り返していた。
もっともっと奥へ。
しかし、自ら進んで玉を呑み込んでいくアヌスは、突然の抵抗に遭い、驚いたようにびくりと動きを止めた。Jの字状になった器具の湾曲に、それ以上の引き込みを阻まれたのだ。
もっと抉り込んで欲しい。揺すって、擦って、出し入れしてほしい。
強烈な欲求に雛木は鋭く息を呑むが、工藤は当然そんな即物的な快感を与えてなどくれない。
「これは、あなたの後ろの壁に掛けておきますね」
言うなり、釣り針が斜め後ろに引っ張られる。
腹の中から尾てい骨を引っ張られるような未知の感覚に、乳首を繋がれていることも忘れて思わず体を引いてしまった。
――ガタッ。
乳首の痛み以上に、扉が立てた大きな音に驚いて思わず身を竦める。
しんとしたトイレにその音は予想以上に大きく響いた。
「気を付けなさい」
叱責する工藤が、釣り針から延びた麻縄を、雛木の背後の壁に取り付けられたフックに結び付ける。麻縄がぴんと張られ、固定される気配を、雛木はアヌスの中の玉に伝わる振動で感じ取っていた。わずかな刺激にも、腹筋ごと引き絞るように尻の中がうねってしまう。
自分が毎日使っている通勤鞄と、アヌスに切ない疼きを与えるこの玩具が、隣り合ってトイレの壁に掛けられているのだと思うと、背筋が背徳感に打ち震え鳥肌が立つ。あぁ、この日常と非日常の卑猥な融合といったら。
振り返って自分の目で確認してみたくて仕方がないが、正面のドアに縫いとめられた乳首がそれを許してくれない。緩めに吊られた腕は多少動かすことができるし、足は完全に自由だったが、雛木の胴体は敏感な部分を前後に引っ張られ、便器の上にすっかり固定されていた。
「さて、それでは……」
再び雛木の正面に戻ってきた工藤は、いつの間にか新たな麻縄の束を二つ手にしていた。
もう動けないのに、これ以上どこを縛るのだろうか。
雛木の疑問に、工藤は行動で答える。二本の麻縄は、雛木の左右の膝にそれぞれ巻きつけられた。その麻縄は、頭上の縄橋を架けるのに使った二つのフック――工藤が持参した、両隣の個室との壁に取り付けられたあれだ――に掛けられる。
まさか。
雛木が狼狽して左右のフックを見比べる間に、工藤が二本の麻縄をゆるりと引いた。
麻縄がギッギッと微かな音で軋み、雛木の両足がゆるゆると吊り上げられていく。便器の上で、強制的にМ字開脚させられようとしているのだ。
だが、雛木にはそれを恥ずかしく感じる余裕はなかった。
何しろ、便器に跨った状態で両足が持ち上がれば、当然上体は後ろに倒れる。すると、乳首を前方のドアに麻紐で固定されている雛木は、自重で乳首を引っ張ってしまうことになるのだ。
乳首が千切れてしまいそうな恐怖から、雛木は腹筋に力を入れてなんとか姿勢を保とうとするが、無理な体勢ではそう長くは持ちそうにない。
工藤が手首を吊る縄に余裕をもたせたのは、上体を後ろに倒す余地を作るためだったのだと、この時初めて気づいた。
「なかなか頑張りますね」
更に両足が持ち上げられると、ことは乳首だけの問題ではなくなってくる。上体が後ろに倒れると、物理的に骨盤が前に引っ張られるのだ。すると当然、雛木の直腸は便器の水面と垂直になっていく。
しかし、固定された釣り針がそれを許さない。
結果、アヌスは内に呑み込んだ大きな玉状の先端によって、強く後方に引っ張られることになるのだった。
「ふっ……ふぅっ……」
限界を迎えつつある腹筋は震え、釣り針を必要以上に食い締めてしまい、媚肉が大きな玉を味わって歓喜に震える。
そして、もうこれ以上は尻が便座から浮いてしまうという所まで足が持ち上がった時。
内側から後方に引っ張られ続けたアヌスは、ついに『がぽっ』と下品な音を立て、口を開いてしまった。
「ひぃっ!」
腹の中に一気に入り込んだ冷たい空気とは対照的に、雛木の顔は瞬時に血の気を上らせ、歪む。
下品な音を、聞かれてしまった。
一旦空気を呑んでしまった穴は、内側から釣り針に引っ張られ続けて、自分の意志では閉じられない。必死に力を籠めるが、開いてしまった空洞を空気が無情に出入りし、ひゅうひゅうとかすかな音を上げ続けてしまう。
肉筒の空洞をありありと示す音は、あまりにも無様だ。自分の体から出る音を聞かれるのがこんなに恥ずかしいなんて。いや、そもそもこんな状態を、妄想の中ですら思い浮かべたことなどなかった。
恥ずかしすぎて、耐えられない。
泣きそうに顔を歪める雛木の頭上から、ふふ……と、工藤の吐息が降ってきた。
「恥ずかしくて、嬉しいんですね」
そんな馬鹿なと思うが、工藤の言葉通り、雛木の放置されたペニスの先端からは、濁った液体がだらだらと溢れていた。
「ふ……うふっ……ふぅん……」
いつのまにか、吐息には隠しようもなく媚と悦びが混じっている。
こんなことをされて、こんな恥ずかしい思いをして。
それが、たまらない。
アヌスを閉じられない状態では、腹筋にも力が入らない。柔軟なアヌスはわずかずつ縦に伸び、徐々に体が後ろへと倒れていく。すると、乳首が引っ張られ、斜め前に向かって伸ばされ始めた。
一度倒れ始めた上体はもう、元には戻せない。腹筋をぶるぶると震わせながら上体が倒れていくのに従って、乳首だけでなく胸の皮膚全体が麻紐に引っ張られ、伸ばされていく。
痛みはもはや乳首だけでなく、胸全体を耐えがたく襲っていた。雛木の平らな胸は、乳首を中心に円錐状に引き伸ばされてしまった。
自重による、乳首の牽引だった。
こんな……、こんなこと……。
「はぁ……はぁ……あァ……ぁ……」
興奮と、疲労と、痛みと、快感と、恐怖とで、雛木の口は微かな喘ぎ混じりの荒い息を漏らし続ける。下唇の真ん中からたらりたらりと垂れる涎が、引き伸ばされる乳首の間を伝い、汗ばんだ皮膚をてらてらと濡らした。
「さて、このまましばらく置けば完成です」
雛木の足を吊り上げる麻縄を操っていた工藤が、料理でも仕上げるかのような口調で告げ、麻縄をフックに固定する。続いて、上体が倒れるよう余裕を持たせていた手首の縄を、改めて頭上の縄橋にぴんと張り直した。
手首を吊る縄にむしろ助けられ、雛木は限界を受け入れて体の力を抜く。手足を吊られ、乳首とアヌスを前後に引っ張られたまま固定され、うまく息ができない。
「あぁ……はぁっはぁっ……ぁぅ……ふぅぅ……」
トイレの個室内が、雛木の押し殺した吐息で満たされる。緊縛された雛木は今や、アヌスに空気が出入りするひゅうひゅうという微かな音を立てながら喘ぎ続ける、歪で卑猥なオブジェと化していた。
両手を吊り上げていた麻縄を徐々に緩められると、長時間爪先立ちになっていた両足はガクガクと震えてまるで言うことを聞かず、崩れ落ちるように便座に跨ってしまった。両腕は頭上に吊り上げられたままだが、休ませてくれるつもりなのか、多少余裕を残した長さで再度縄橋に固定される。
とはいえ、自分で両腕を持ち上げて手首への縄の食い込みを軽くする余力はもうなくて、便座に跨って座り、軽く両肘を曲げて吊られた状態で力なく項垂れた。
吊りから下ろされた時の虚脱感はいつもすさまじい。指一本動かしたくなくなり、雛木は気を失うように眠りに引きずり込まれてしまうことがよくあった。
しかし今日は、何ひとつ発散させてもらえていない乳首が、ペニスが、アヌスが、意識を手放すことを許さない。
雛木はのろのろと顔を上げ、工藤に目線で情けを乞うた。
「意識ははっきりしているようですね。大丈夫、もうすぐいかせてあげますから」
工藤は言うなり、乳首を絞り上げている麻紐の先を手に取り、あろうことかトイレのドアの内側についた荷物フックに引っかけた。
まさかと驚いている内に、ぴんと張った状態で固定されてしまう。自分の両乳首から伸びた二本の麻紐がトイレのドアに繋がっている光景は、雛木の理解を完全に超えていた。
うそ……。
漏れそうになった驚きの声を、すんでのところで飲み込む。
「扉が音を立ててしまうので、あまり強く引っ張って遊ばないように」
言葉だけ聞けばまるで子供への注意だが、自分でしょっちゅう乳首を引っ張って『遊んで』いるのを見透かされた気がして、雛木はバツが悪くなって俯いた。
強く締め上げられた乳首はじんじんと熱を持って、痛くて。だから、早くもっと思い切りいたぶって、いかせて欲しかった。
「本当はこれは必要がないのですが、自分からジッパーを開けていたご褒美に、使って差し上げてもいいですよ。どうしますか?」
工藤がこれと言って雛木の顔の前に差し出したのは、シリコンで覆われた釣り針形の道具だった。男の手くらいの大ぶりな針で、全体の太さは親指程度だが、先端には鉤爪の代わりに直径4センチ程度の玉がついている。釣り針の上部には穴があり、そこには既に麻縄が通されていた。ちょうど、魚釣りの針と糸のような状態だ。
見たことのない道具だったが、ご褒美と言われて雛木が頷かないはずはない。
「ありがとうございます。お願いします」
何に使うのか尋ねることもなく、素直に小声で受け入れた雛木に、工藤は場違いなほど明るい笑顔を見せた。
「あなたは本当にかわいらしいですね。そんなだから、次はどんな風に責めようかと、夜も昼もなく毎日あなたのことばかり考えてしまうんですよ」
突然の工藤の告白に、心臓がどんっと鳴って一瞬止まったような気がした。次いで、ドクドクドクドクと早鐘を打ち、顔がかぁっと赤くなる。
会えない時間に工藤が自分のことを考えてくれているだけでも嬉しいのに、その頭の中で自分が様々な責めで乱されているなんて。しかも夜も昼もなく毎日。
嬉しすぎて、欲情しすぎて、その頭の中の映像を是非メールに添付して送ってほしいと、馬鹿なことすら考える。
あぁもう大好きだ。世界一大好きな、俺のマスター!
迸る愛と欲に内心で身悶える雛木をよそに、工藤はフック状の道具の玉周辺に、丹念にゼリーを塗り込んでいた。
「お尻を少し突き出しなさい」
その言葉に、眩暈を伴うほどの期待が胸の中で渦を巻く。一週間触れられることのなかったアヌスが、ひとりでにぎゅうっと引き絞られた。
乳首が引っ張られないよう用心しながら、便座に跨ったまま背を反らして尻を後ろに突き出す。
あれを入れて貰えるんだろうか。あんなに大きい玉の部分を。ご褒美だって……嬉しすぎる。
期待に瞳を潤ませる雛木の側面に回った工藤は、下着に開いたジッパーの狭間から、釣り針の先端の玉をぐっと押し込んだ。
「ふっ……っ~~~!」
慣らされてもいないのに、濡れた玉はアヌスにぐぷりと入り込み、内壁を押し開きながら奥へとめり込む。未経験であれば裂けてもおかしくない大きさの玉を、雛木のアヌスは柔軟に呑み込み、放したくないとでも言うかのように強く食い締めた。
一週間ぶりの異物に、雛木の内壁は歓喜に咽んでいた。シリコンで覆われた中身はもしや金属なのか、玉はずっしりと重い。腹の内側で感じるその重量は、異物を挿入されたのだという事実を強烈に訴えていて、痛みどころかゾクゾクとした悦びばかりを生み出す。
一方、敏感な入り口は、入り込んでくる柄を食い締めてみたり、もっと呑み込もうと弛んでみたり、忙しなく収縮を繰り返していた。
もっともっと奥へ。
しかし、自ら進んで玉を呑み込んでいくアヌスは、突然の抵抗に遭い、驚いたようにびくりと動きを止めた。Jの字状になった器具の湾曲に、それ以上の引き込みを阻まれたのだ。
もっと抉り込んで欲しい。揺すって、擦って、出し入れしてほしい。
強烈な欲求に雛木は鋭く息を呑むが、工藤は当然そんな即物的な快感を与えてなどくれない。
「これは、あなたの後ろの壁に掛けておきますね」
言うなり、釣り針が斜め後ろに引っ張られる。
腹の中から尾てい骨を引っ張られるような未知の感覚に、乳首を繋がれていることも忘れて思わず体を引いてしまった。
――ガタッ。
乳首の痛み以上に、扉が立てた大きな音に驚いて思わず身を竦める。
しんとしたトイレにその音は予想以上に大きく響いた。
「気を付けなさい」
叱責する工藤が、釣り針から延びた麻縄を、雛木の背後の壁に取り付けられたフックに結び付ける。麻縄がぴんと張られ、固定される気配を、雛木はアヌスの中の玉に伝わる振動で感じ取っていた。わずかな刺激にも、腹筋ごと引き絞るように尻の中がうねってしまう。
自分が毎日使っている通勤鞄と、アヌスに切ない疼きを与えるこの玩具が、隣り合ってトイレの壁に掛けられているのだと思うと、背筋が背徳感に打ち震え鳥肌が立つ。あぁ、この日常と非日常の卑猥な融合といったら。
振り返って自分の目で確認してみたくて仕方がないが、正面のドアに縫いとめられた乳首がそれを許してくれない。緩めに吊られた腕は多少動かすことができるし、足は完全に自由だったが、雛木の胴体は敏感な部分を前後に引っ張られ、便器の上にすっかり固定されていた。
「さて、それでは……」
再び雛木の正面に戻ってきた工藤は、いつの間にか新たな麻縄の束を二つ手にしていた。
もう動けないのに、これ以上どこを縛るのだろうか。
雛木の疑問に、工藤は行動で答える。二本の麻縄は、雛木の左右の膝にそれぞれ巻きつけられた。その麻縄は、頭上の縄橋を架けるのに使った二つのフック――工藤が持参した、両隣の個室との壁に取り付けられたあれだ――に掛けられる。
まさか。
雛木が狼狽して左右のフックを見比べる間に、工藤が二本の麻縄をゆるりと引いた。
麻縄がギッギッと微かな音で軋み、雛木の両足がゆるゆると吊り上げられていく。便器の上で、強制的にМ字開脚させられようとしているのだ。
だが、雛木にはそれを恥ずかしく感じる余裕はなかった。
何しろ、便器に跨った状態で両足が持ち上がれば、当然上体は後ろに倒れる。すると、乳首を前方のドアに麻紐で固定されている雛木は、自重で乳首を引っ張ってしまうことになるのだ。
乳首が千切れてしまいそうな恐怖から、雛木は腹筋に力を入れてなんとか姿勢を保とうとするが、無理な体勢ではそう長くは持ちそうにない。
工藤が手首を吊る縄に余裕をもたせたのは、上体を後ろに倒す余地を作るためだったのだと、この時初めて気づいた。
「なかなか頑張りますね」
更に両足が持ち上げられると、ことは乳首だけの問題ではなくなってくる。上体が後ろに倒れると、物理的に骨盤が前に引っ張られるのだ。すると当然、雛木の直腸は便器の水面と垂直になっていく。
しかし、固定された釣り針がそれを許さない。
結果、アヌスは内に呑み込んだ大きな玉状の先端によって、強く後方に引っ張られることになるのだった。
「ふっ……ふぅっ……」
限界を迎えつつある腹筋は震え、釣り針を必要以上に食い締めてしまい、媚肉が大きな玉を味わって歓喜に震える。
そして、もうこれ以上は尻が便座から浮いてしまうという所まで足が持ち上がった時。
内側から後方に引っ張られ続けたアヌスは、ついに『がぽっ』と下品な音を立て、口を開いてしまった。
「ひぃっ!」
腹の中に一気に入り込んだ冷たい空気とは対照的に、雛木の顔は瞬時に血の気を上らせ、歪む。
下品な音を、聞かれてしまった。
一旦空気を呑んでしまった穴は、内側から釣り針に引っ張られ続けて、自分の意志では閉じられない。必死に力を籠めるが、開いてしまった空洞を空気が無情に出入りし、ひゅうひゅうとかすかな音を上げ続けてしまう。
肉筒の空洞をありありと示す音は、あまりにも無様だ。自分の体から出る音を聞かれるのがこんなに恥ずかしいなんて。いや、そもそもこんな状態を、妄想の中ですら思い浮かべたことなどなかった。
恥ずかしすぎて、耐えられない。
泣きそうに顔を歪める雛木の頭上から、ふふ……と、工藤の吐息が降ってきた。
「恥ずかしくて、嬉しいんですね」
そんな馬鹿なと思うが、工藤の言葉通り、雛木の放置されたペニスの先端からは、濁った液体がだらだらと溢れていた。
「ふ……うふっ……ふぅん……」
いつのまにか、吐息には隠しようもなく媚と悦びが混じっている。
こんなことをされて、こんな恥ずかしい思いをして。
それが、たまらない。
アヌスを閉じられない状態では、腹筋にも力が入らない。柔軟なアヌスはわずかずつ縦に伸び、徐々に体が後ろへと倒れていく。すると、乳首が引っ張られ、斜め前に向かって伸ばされ始めた。
一度倒れ始めた上体はもう、元には戻せない。腹筋をぶるぶると震わせながら上体が倒れていくのに従って、乳首だけでなく胸の皮膚全体が麻紐に引っ張られ、伸ばされていく。
痛みはもはや乳首だけでなく、胸全体を耐えがたく襲っていた。雛木の平らな胸は、乳首を中心に円錐状に引き伸ばされてしまった。
自重による、乳首の牽引だった。
こんな……、こんなこと……。
「はぁ……はぁ……あァ……ぁ……」
興奮と、疲労と、痛みと、快感と、恐怖とで、雛木の口は微かな喘ぎ混じりの荒い息を漏らし続ける。下唇の真ん中からたらりたらりと垂れる涎が、引き伸ばされる乳首の間を伝い、汗ばんだ皮膚をてらてらと濡らした。
「さて、このまましばらく置けば完成です」
雛木の足を吊り上げる麻縄を操っていた工藤が、料理でも仕上げるかのような口調で告げ、麻縄をフックに固定する。続いて、上体が倒れるよう余裕を持たせていた手首の縄を、改めて頭上の縄橋にぴんと張り直した。
手首を吊る縄にむしろ助けられ、雛木は限界を受け入れて体の力を抜く。手足を吊られ、乳首とアヌスを前後に引っ張られたまま固定され、うまく息ができない。
「あぁ……はぁっはぁっ……ぁぅ……ふぅぅ……」
トイレの個室内が、雛木の押し殺した吐息で満たされる。緊縛された雛木は今や、アヌスに空気が出入りするひゅうひゅうという微かな音を立てながら喘ぎ続ける、歪で卑猥なオブジェと化していた。
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