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もみの木を飾ろう
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もみの木を飾る為に、子どもたちは次の日から取り組みました。
ナターシャは、
兄弟げんかになりそうな時に、3回に1回我慢できました。
「ふー我慢できたあ。ステッキのをつけよっと。」
お父さんの背中の上を歩いてマッサージしてあげました。
ふみふみふみふみ
「いい力加減だ。ナターシャありがとう。」
「ふふふ。どういたしましてー。」
ふみふみふみふみ
庭の掃除をしたり、食事のお皿を並べたり、洗った食器を拭いたりしてお母さんの手伝いをしました。
「ナターシャが手伝ってくれて大助かりだわ。ありがとう。」
「うん!」
ナターシャは、何かいいことをしたり、頑張ったりする度にクリスマスオーナメントをツリーに飾れるので、やりがいを感じました。
ニックは、宿題を早く終わらせてお母さんが注意しなくていいようにしました。
「ニック、宿題は?」
「終わってるよ。」
「そう。頑張ったわね。」
お母さんは優しくそう言ってくれました。
弟と妹と遊ぶ時は、最初は楽しく兄弟3人ですごしていても、ニックが2人をからかい過ぎるとケンカになるので、からかい過ぎないように気を付けました。
前は家の中で「お兄ちゃんがいじめる~。」「お兄ちゃんなんでそんなこと言うの!」という泣き声や怒った声がよく聞こえたのに、この頃は、笑い声がよく聞こえます。
ナターシャとルークは、お兄ちゃんのことがますます好きになりました。
お手伝いはお風呂の掃除をしたり、お父さんのワイシャツのアイロンをかけたりしました。
「ニックは几帳面にしてくれるから助かるわ。ありがとう。」
「ニックがアイロンをかけてくれたのか。よーし、仕事頑張るぞ~。」
お母さんもお父さんもニックのお手伝いにとても喜んでくれました。
【何だかいい感じだ。いい気持ちがする。】とニックは思いながら、氷のモチーフの飾りをツリーに付けました。
ルークはというと、
歯磨きを嫌がらないようにしました。
「ルーク歯を磨くわよ。」
「はーい。」
シャカシャカ
「これ終わったらツリーに馬のをつけていい?」
「いいわよ。最後まで磨きましょうね。」
シャカシャカシャカ
遊んだおもちゃを自分で片付けました。
「ルーク、1人で片づけたのね。すごいわあ。」
「うん!こんなの簡単だよ。」
「立派なお兄ちゃんになってきたね。」
「うん。ぼく、ニックお兄ちゃんみたいになるんだあ。」
夜は約束の時間に眠るようにしました。
眠ることでツリーを飾れることをルークは気に入りました。
「(モグモグ。)僕ねえ、きのうも早くベッドに入ったんだよ。だから、今日は馬のをツリーに付けるんだ。」
朝食の時間に、ルークがパンを食べながら誇らしげに言いました。
「お母さん、わたしも早く眠ったら、ツリーに飾りをつけてもいい?」
ナターシャが朝の準備で台所に立っているお母さんを見上げて聞きました。
「ええ、もちろんいいわよ。」
ー【早く寝なさい!】って注意しなくて済むのは助かるわ。
「やったあ。」
「じゃあ、ぼくもそうするよ。」
こうして3人は、早く眠って朝起きてツリーに飾りを1つずつ付けるのが習慣になりました。
もみの木は徐々にクリスマスツリーらしくなっていきます。
1週間経った時、ニックは友だちのマイクの家に遊びに行きました。
「ちょっと集まって。」
ルークが遊びから帰ってくると手招きをしてナターシャとルークを呼びました。
「何お兄ちゃん?」「どうしたのー。」
ナターシャ読んでいた本に栞をはさみました。
ルークはおもちゃを持ったままニックのところへ行きました。
「マイクの家のクリスマスツリーは、すっごい立派だったんだ。僕たちのも飾りつけを頑張ろうぜ。」
「どうしたらいいの?もういっぱい頑張ってるよ。」
ナターシャが困ったように言いました。
「僕もがんばってる~。」
ルークが車のおもちゃを前後に動かしながら、呑気なかんじで言いました。
「考えたんだけどさ。近所の人にも親切にするのはどうかな?」
「近所の人に?」
「冬は寒くて、大人は大抵難しい顔をしているだろ?」
「うん。」
「寒い寒いっていつも言ってる。」
「そういう人に笑顔で挨拶するんだ。」
「そっか。元気を分けてあげるんだね。」
ナターシャたちが通っている教会で挨拶すると、とても喜ばれます。
「子どもたちの笑顔を見ると癒されるわあ。」とクリス姉妹も言ってました。
そのことをナターシャは思い出しました。
「そうそう。そうすれば、きっと喜んでくれると思うんだ。」
「しかめっ面より笑顔の人と話す方が、楽しいものね。」
「よし決まりだな。笑顔の練習をしよう。」
ニックは、決め顔の笑顔を2人に見せました。
なかなかいい笑顔です。
「ナターシャ、顔がひきつってるぞ。」
「だって意識して笑うの難しいよ。」
ナターシャは手で口角を上げて苦戦しています。
ニックはルークの顔もちらりと見て噴き出しました。
「あははは。ルークを見て見ろ。」
ルークは、茶色い目を大きく開き、目をくりくりさせて、とってもかわいい笑顔です。
「ふふふ。ルークの笑顔かわいい。最高だわ。」
「うん!僕の笑顔、最高!」
さあいよいよ本番です。最初は3人で、挨拶して回りました。繰り返す内に、慣れてきて1人でも挨拶できるようになりました。
近所の人に笑顔の挨拶をすると、近所の人たちも笑顔で挨拶を返してくれました。
その内、3人のことを見かけると向こうから挨拶をしてくれるようになりました。
笑顔の挨拶に慣れてきたころ、ナターシャがニックとルークに言いました。
「あのね。近所の人にお手紙をあげるのはどうかな?」
「クリスマスカードを作るってこと?」
ニックが尋ねました。
「ううん。そんなに時間がかかるのじゃなくて、もっと簡単なお手紙。」
「どんなことを書くの?」
「例えばねえこんなの。
ジャネットさんへ
いつもありがとうございます
ジャネットさんの笑顔が好きです
こどもたちをほめてくれるところがすきです
ジャネットさんてづくりのクッキーはお店のクッキーみたいです
ジャネットさん、メリークリスマス
「いいんじゃないか。3人で一緒に考えて後で、みんなに配ろうぜ。」
お母さんに紙をもらい、3人でメッセージを考えます。
「エイブラハムさんには何て書こうか。」
「エイブラハムさんは犬のジョンと仲良しだよ。」
「おひげが立派。」
「背が高い。」
ニックがまとめました。
エイブラハムさんへ
いつもありがとうございます
背が高くてかっこいいです
エイブラハムさんのひげはりっぱです
手入れが上手で、すごいです
犬のジョンと仲良しです
エイブラハムさん、メリークリスマス
こんな風にどんどん書いていきました。
そして「郵便で~す」と言って配っていきました。
近所の人に向けた、子どもたちの笑顔や元気のいい挨拶は効果がありました。
そしてかわいい手紙も喜ばれました。
「あの子たちの笑顔を見ると、心が温かくなるよ。」
クーベルおばあちゃんが嬉しそうに言いました。
「最近は安全の為に、挨拶する子どもも減ってきたから、挨拶を聞くと懐かしい気持ちになるよ。ありがとう。」
マイケルおじさんは、そう言って3人にキャンディーをくれました。
「私にもこんないいところがあったのね。」
裏の家のジョセフィーヌさんは手紙を何度も読み返しました。
こんな風に楽しそうに取り組んでいる子供たちを見て、クレイ家に静かな注目が集まりました。
そしてニックたちや彼らの両親との何気ない会話から、クレイ家族が、イエス様に感謝の気持ちを込めてクリスマスの特別な贈り物をしていることが、知れ渡っていきました。
共感した家庭では、クリスマスツリーの飾りつけは終わっていましたが、クリスマスオーナメントの残りを使って同じように取り組み、飾りつけを増やしていきました。
冬の寒さの厳しいこの季節に人に親切にするというこの取り組みは、地域の人々の心を照らしました。
「うう寒い。今日も仕事、大変だった。あれはクレイ家の子供たちだな。挨拶をしようか。」
ショーンさんは疲れていましたが、子どもたちと挨拶をすると気分が明るくなるのを感じました。
「私ももう少し笑顔でいようかね。」
気難しさで有名なメアリーおばあちゃんもそう呟きました。
「わしにもあんな時期があった・・・。」
奥さんを亡くして気難しくなっていたヨハンさんは、3人からの手紙をもらい、いろんなことを考えました。
ヨハンさんのもらった手紙にはこう書いてありました。
ヨハンさんいつもありがとう
ヨハンさんは昔、子どもたちのために道路を綺麗にしてくれたすごい人です
ヨハンさんはとっても働き者だってメアリーおばあちゃんが言ってました
「お手伝いをした時にヨハンさんに褒められて嬉しかった」とお父さんとデイビットおじさんが言ってました
お父さんに優しくしてくれてありがとうございます
ヨハンさんの笑顔は好きです
ヨハンさんメリークリスマス
妻のジェーンと子供たちと過ごした時間を思い出しました。
どれも大事な思い出です。
「ジェーン。ごめんよ。君に心配をかけたね。」
ヨハンさんは奥さんの写真に話しかけると立ち上がり、久々に子供たちに電話をしました。
ニックとナターシャは挨拶や手紙を渡す時に、たくさんの人の笑顔が見れてとても温かい気持ちになりました。
ルークは、年の離れたニックとナターシャと一緒に行動できてとても満足していました。
そして、時々近所の人に貰えるクッキーやミートパイといった差し入れの美味しいこと!
それからしばらくした12月20日 グレン家のもみの木は、立派なクリスマスツリーとして完成しました。
今年はお父さんとお母さんは、クリスマスオーナメントをたくさん準備しておきましたが全部ツリーに飾られています。上からにライトが当たっていくつものボールがきらきらと輝いています。
「ニック、ナターシャ、ルーク。3人とも本当に素晴らしいよ。見てごらんこのツリーを。みんなの優しさが目で見て分かるよ。本当に本当に素晴らしい。」
お父さんは目をうるませて褒めてくれました。
「あなたたちは、本当に素晴らしいわ。お父さんとお母さんの誇りよ。」
お母さんはツーと涙を流して、にっこりそう言いました。
お父さんもお母さんも、子供たちが想像以上に素晴らしいことをしてくれたことに驚き、楽しんで取り組む子どもたちの姿に深い感銘を覚えました。
(「子どもたちの優しさを目にすることができてわたしは何て幸せな父親なのだろう。神様、こんなに素敵な子供たちを与えてくださってありがとうございます。」)
(「イエス様に喜ばれる贈り物は子供たちのしたような贈り物なんだわ。」)
お父さんとお母さんの喜ぶ姿を見て、ニックもナターシャもルークも心に良い気持ちを感じました。
「さあ、仕上げの星を付けよう。今年はだれがする?」
お父さんは涙を拭うとそう尋ねました。
3人は困りました。自分が飾りたいのは変わりませんけど、他の2人もよく頑張ったのを知っていたからです。
(「「「ケンカしないで決めたい(な)。」」」)
「僕は5回くらいしたことがあるから今年はいいや。」
ー僕は何回もやったことあるから、今年は譲ろう。
ニックがまず譲りました。
「私は、2回したことがあるから、今年はルークの番だよ。」
ー私も飾りたいけど、でもルークはまだ1回もしたことがないわ。
ナターシャもルークの為に譲ることにしました。
「いいの!?」
毎年【小さいからもう少し大きくなってからね】と言われてきたルークは大喜びです。
星を持ってお父さんと一緒に、家の階段を、ツリーのてっぺんくらいまで登ります。
お父さんが両手でしっかりとルークを支える中、ルークは穴に星の付いた棒を差し込みました。
完成です。
「僕の入れたお星さま、綺麗だねえ。」
ルークは誇らしげにいいました。
「そうだね。ルークありがとう。」
「綺麗だわ。ルーク、ありがとう。」
ニックとナターシャはルークに優しくそう言いました。
「今日は特別に今からデザートを食べるわよ。」
「「「やったあ。」」」
「あ!プリンだ。キャラメルポップコーンもある。」
「アイスクリームもあるよ~」
「僕ねえ、ぜーんぶだいすき~♪」
クレイ家には、笑顔と楽しい会話が満ち溢れました。
♪~
きよしこの夜 星は光
救いの御子(みこ)は
御母(みはは)の胸に
眠りたもう 夢やすく ♪~
ナターシャは、
兄弟げんかになりそうな時に、3回に1回我慢できました。
「ふー我慢できたあ。ステッキのをつけよっと。」
お父さんの背中の上を歩いてマッサージしてあげました。
ふみふみふみふみ
「いい力加減だ。ナターシャありがとう。」
「ふふふ。どういたしましてー。」
ふみふみふみふみ
庭の掃除をしたり、食事のお皿を並べたり、洗った食器を拭いたりしてお母さんの手伝いをしました。
「ナターシャが手伝ってくれて大助かりだわ。ありがとう。」
「うん!」
ナターシャは、何かいいことをしたり、頑張ったりする度にクリスマスオーナメントをツリーに飾れるので、やりがいを感じました。
ニックは、宿題を早く終わらせてお母さんが注意しなくていいようにしました。
「ニック、宿題は?」
「終わってるよ。」
「そう。頑張ったわね。」
お母さんは優しくそう言ってくれました。
弟と妹と遊ぶ時は、最初は楽しく兄弟3人ですごしていても、ニックが2人をからかい過ぎるとケンカになるので、からかい過ぎないように気を付けました。
前は家の中で「お兄ちゃんがいじめる~。」「お兄ちゃんなんでそんなこと言うの!」という泣き声や怒った声がよく聞こえたのに、この頃は、笑い声がよく聞こえます。
ナターシャとルークは、お兄ちゃんのことがますます好きになりました。
お手伝いはお風呂の掃除をしたり、お父さんのワイシャツのアイロンをかけたりしました。
「ニックは几帳面にしてくれるから助かるわ。ありがとう。」
「ニックがアイロンをかけてくれたのか。よーし、仕事頑張るぞ~。」
お母さんもお父さんもニックのお手伝いにとても喜んでくれました。
【何だかいい感じだ。いい気持ちがする。】とニックは思いながら、氷のモチーフの飾りをツリーに付けました。
ルークはというと、
歯磨きを嫌がらないようにしました。
「ルーク歯を磨くわよ。」
「はーい。」
シャカシャカ
「これ終わったらツリーに馬のをつけていい?」
「いいわよ。最後まで磨きましょうね。」
シャカシャカシャカ
遊んだおもちゃを自分で片付けました。
「ルーク、1人で片づけたのね。すごいわあ。」
「うん!こんなの簡単だよ。」
「立派なお兄ちゃんになってきたね。」
「うん。ぼく、ニックお兄ちゃんみたいになるんだあ。」
夜は約束の時間に眠るようにしました。
眠ることでツリーを飾れることをルークは気に入りました。
「(モグモグ。)僕ねえ、きのうも早くベッドに入ったんだよ。だから、今日は馬のをツリーに付けるんだ。」
朝食の時間に、ルークがパンを食べながら誇らしげに言いました。
「お母さん、わたしも早く眠ったら、ツリーに飾りをつけてもいい?」
ナターシャが朝の準備で台所に立っているお母さんを見上げて聞きました。
「ええ、もちろんいいわよ。」
ー【早く寝なさい!】って注意しなくて済むのは助かるわ。
「やったあ。」
「じゃあ、ぼくもそうするよ。」
こうして3人は、早く眠って朝起きてツリーに飾りを1つずつ付けるのが習慣になりました。
もみの木は徐々にクリスマスツリーらしくなっていきます。
1週間経った時、ニックは友だちのマイクの家に遊びに行きました。
「ちょっと集まって。」
ルークが遊びから帰ってくると手招きをしてナターシャとルークを呼びました。
「何お兄ちゃん?」「どうしたのー。」
ナターシャ読んでいた本に栞をはさみました。
ルークはおもちゃを持ったままニックのところへ行きました。
「マイクの家のクリスマスツリーは、すっごい立派だったんだ。僕たちのも飾りつけを頑張ろうぜ。」
「どうしたらいいの?もういっぱい頑張ってるよ。」
ナターシャが困ったように言いました。
「僕もがんばってる~。」
ルークが車のおもちゃを前後に動かしながら、呑気なかんじで言いました。
「考えたんだけどさ。近所の人にも親切にするのはどうかな?」
「近所の人に?」
「冬は寒くて、大人は大抵難しい顔をしているだろ?」
「うん。」
「寒い寒いっていつも言ってる。」
「そういう人に笑顔で挨拶するんだ。」
「そっか。元気を分けてあげるんだね。」
ナターシャたちが通っている教会で挨拶すると、とても喜ばれます。
「子どもたちの笑顔を見ると癒されるわあ。」とクリス姉妹も言ってました。
そのことをナターシャは思い出しました。
「そうそう。そうすれば、きっと喜んでくれると思うんだ。」
「しかめっ面より笑顔の人と話す方が、楽しいものね。」
「よし決まりだな。笑顔の練習をしよう。」
ニックは、決め顔の笑顔を2人に見せました。
なかなかいい笑顔です。
「ナターシャ、顔がひきつってるぞ。」
「だって意識して笑うの難しいよ。」
ナターシャは手で口角を上げて苦戦しています。
ニックはルークの顔もちらりと見て噴き出しました。
「あははは。ルークを見て見ろ。」
ルークは、茶色い目を大きく開き、目をくりくりさせて、とってもかわいい笑顔です。
「ふふふ。ルークの笑顔かわいい。最高だわ。」
「うん!僕の笑顔、最高!」
さあいよいよ本番です。最初は3人で、挨拶して回りました。繰り返す内に、慣れてきて1人でも挨拶できるようになりました。
近所の人に笑顔の挨拶をすると、近所の人たちも笑顔で挨拶を返してくれました。
その内、3人のことを見かけると向こうから挨拶をしてくれるようになりました。
笑顔の挨拶に慣れてきたころ、ナターシャがニックとルークに言いました。
「あのね。近所の人にお手紙をあげるのはどうかな?」
「クリスマスカードを作るってこと?」
ニックが尋ねました。
「ううん。そんなに時間がかかるのじゃなくて、もっと簡単なお手紙。」
「どんなことを書くの?」
「例えばねえこんなの。
ジャネットさんへ
いつもありがとうございます
ジャネットさんの笑顔が好きです
こどもたちをほめてくれるところがすきです
ジャネットさんてづくりのクッキーはお店のクッキーみたいです
ジャネットさん、メリークリスマス
「いいんじゃないか。3人で一緒に考えて後で、みんなに配ろうぜ。」
お母さんに紙をもらい、3人でメッセージを考えます。
「エイブラハムさんには何て書こうか。」
「エイブラハムさんは犬のジョンと仲良しだよ。」
「おひげが立派。」
「背が高い。」
ニックがまとめました。
エイブラハムさんへ
いつもありがとうございます
背が高くてかっこいいです
エイブラハムさんのひげはりっぱです
手入れが上手で、すごいです
犬のジョンと仲良しです
エイブラハムさん、メリークリスマス
こんな風にどんどん書いていきました。
そして「郵便で~す」と言って配っていきました。
近所の人に向けた、子どもたちの笑顔や元気のいい挨拶は効果がありました。
そしてかわいい手紙も喜ばれました。
「あの子たちの笑顔を見ると、心が温かくなるよ。」
クーベルおばあちゃんが嬉しそうに言いました。
「最近は安全の為に、挨拶する子どもも減ってきたから、挨拶を聞くと懐かしい気持ちになるよ。ありがとう。」
マイケルおじさんは、そう言って3人にキャンディーをくれました。
「私にもこんないいところがあったのね。」
裏の家のジョセフィーヌさんは手紙を何度も読み返しました。
こんな風に楽しそうに取り組んでいる子供たちを見て、クレイ家に静かな注目が集まりました。
そしてニックたちや彼らの両親との何気ない会話から、クレイ家族が、イエス様に感謝の気持ちを込めてクリスマスの特別な贈り物をしていることが、知れ渡っていきました。
共感した家庭では、クリスマスツリーの飾りつけは終わっていましたが、クリスマスオーナメントの残りを使って同じように取り組み、飾りつけを増やしていきました。
冬の寒さの厳しいこの季節に人に親切にするというこの取り組みは、地域の人々の心を照らしました。
「うう寒い。今日も仕事、大変だった。あれはクレイ家の子供たちだな。挨拶をしようか。」
ショーンさんは疲れていましたが、子どもたちと挨拶をすると気分が明るくなるのを感じました。
「私ももう少し笑顔でいようかね。」
気難しさで有名なメアリーおばあちゃんもそう呟きました。
「わしにもあんな時期があった・・・。」
奥さんを亡くして気難しくなっていたヨハンさんは、3人からの手紙をもらい、いろんなことを考えました。
ヨハンさんのもらった手紙にはこう書いてありました。
ヨハンさんいつもありがとう
ヨハンさんは昔、子どもたちのために道路を綺麗にしてくれたすごい人です
ヨハンさんはとっても働き者だってメアリーおばあちゃんが言ってました
「お手伝いをした時にヨハンさんに褒められて嬉しかった」とお父さんとデイビットおじさんが言ってました
お父さんに優しくしてくれてありがとうございます
ヨハンさんの笑顔は好きです
ヨハンさんメリークリスマス
妻のジェーンと子供たちと過ごした時間を思い出しました。
どれも大事な思い出です。
「ジェーン。ごめんよ。君に心配をかけたね。」
ヨハンさんは奥さんの写真に話しかけると立ち上がり、久々に子供たちに電話をしました。
ニックとナターシャは挨拶や手紙を渡す時に、たくさんの人の笑顔が見れてとても温かい気持ちになりました。
ルークは、年の離れたニックとナターシャと一緒に行動できてとても満足していました。
そして、時々近所の人に貰えるクッキーやミートパイといった差し入れの美味しいこと!
それからしばらくした12月20日 グレン家のもみの木は、立派なクリスマスツリーとして完成しました。
今年はお父さんとお母さんは、クリスマスオーナメントをたくさん準備しておきましたが全部ツリーに飾られています。上からにライトが当たっていくつものボールがきらきらと輝いています。
「ニック、ナターシャ、ルーク。3人とも本当に素晴らしいよ。見てごらんこのツリーを。みんなの優しさが目で見て分かるよ。本当に本当に素晴らしい。」
お父さんは目をうるませて褒めてくれました。
「あなたたちは、本当に素晴らしいわ。お父さんとお母さんの誇りよ。」
お母さんはツーと涙を流して、にっこりそう言いました。
お父さんもお母さんも、子供たちが想像以上に素晴らしいことをしてくれたことに驚き、楽しんで取り組む子どもたちの姿に深い感銘を覚えました。
(「子どもたちの優しさを目にすることができてわたしは何て幸せな父親なのだろう。神様、こんなに素敵な子供たちを与えてくださってありがとうございます。」)
(「イエス様に喜ばれる贈り物は子供たちのしたような贈り物なんだわ。」)
お父さんとお母さんの喜ぶ姿を見て、ニックもナターシャもルークも心に良い気持ちを感じました。
「さあ、仕上げの星を付けよう。今年はだれがする?」
お父さんは涙を拭うとそう尋ねました。
3人は困りました。自分が飾りたいのは変わりませんけど、他の2人もよく頑張ったのを知っていたからです。
(「「「ケンカしないで決めたい(な)。」」」)
「僕は5回くらいしたことがあるから今年はいいや。」
ー僕は何回もやったことあるから、今年は譲ろう。
ニックがまず譲りました。
「私は、2回したことがあるから、今年はルークの番だよ。」
ー私も飾りたいけど、でもルークはまだ1回もしたことがないわ。
ナターシャもルークの為に譲ることにしました。
「いいの!?」
毎年【小さいからもう少し大きくなってからね】と言われてきたルークは大喜びです。
星を持ってお父さんと一緒に、家の階段を、ツリーのてっぺんくらいまで登ります。
お父さんが両手でしっかりとルークを支える中、ルークは穴に星の付いた棒を差し込みました。
完成です。
「僕の入れたお星さま、綺麗だねえ。」
ルークは誇らしげにいいました。
「そうだね。ルークありがとう。」
「綺麗だわ。ルーク、ありがとう。」
ニックとナターシャはルークに優しくそう言いました。
「今日は特別に今からデザートを食べるわよ。」
「「「やったあ。」」」
「あ!プリンだ。キャラメルポップコーンもある。」
「アイスクリームもあるよ~」
「僕ねえ、ぜーんぶだいすき~♪」
クレイ家には、笑顔と楽しい会話が満ち溢れました。
♪~
きよしこの夜 星は光
救いの御子(みこ)は
御母(みはは)の胸に
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