溺愛三公爵と氷の騎士 異世界で目覚めたらマッパでした

あこや(亜胡夜カイ)

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9.-31

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 頭の片隅でずっと思っていた。

 ユリアスはグラディウスの良識派。理性のひと。きっと「そういう行為」もあっさりというか、少なくとも肉体的なつながりを強く求めるタイプではないのだろうと。

 そしてそれは私の勝手な思い込みだったらしい。



 ******



 ……彼の寝室に納められてから、何刻たったのだろう。時間の観念がなくなっている。
 ずっと貪り喰われている。緑の宝石の瞳をした獣に。

 全身をくまなく這いまわる滑らかな指。貴公子然としたきれいなしなやかな指は巧妙で執拗だ。どこもかしこも性感帯となっている(そのように開発されている)私だけれど、特に反応を示したところは徹底的に責められる。声を上げ、からだを波打たせる私を言葉で、視線で、指でさらに高め、仕上げにねっとりと舌が這わされる。

 彼がもっとも時間をかけたのは、やはりというべきか胸とその谷間と、そしてとても恥ずかしいことにお尻の割れ目への愛撫だった。降参した私が早く欲しいとねだらなければ、まだ続いていたかもしれない。
 
 立ちあがった胸の先端を捩じり、舐め回し、口に含み、歯で扱き、音をたてずに強く吸い上げる。寄せて持ち上げた胸の間に頬を寄せて双丘で挟みこみ、そしてまたべたべたになるまでそこらじゅうに唇を押しあて、唾液を纏わせる。

 胸への愛撫だけで何度も達した私を満足そうに見下ろしながらからだを抱えられ、ゆっくりとうつぶせにされた。

 既に傷の癒えた腕を気遣われながらも、がっしりととらえられた腰を高く持ち上げられ、お尻を突き出した格好をさせられる。そしてそれに羞恥を覚えるよりも早く、尻肉を左右に割られ、ありえないところに彼の吐息を吹きかけられる。

 ゆりあす、という舌足らずな自分の声を、なんという情けない声だろうと思いつつも、続く舌と指の愛撫にひとたまりもなく陥落して啼いて応えてしまう。とっくに濡れそぼったところから後孔のあたりまでを蜜と唾液でみっちりと塗りこめられ、指が突っ込まれ、抜き差しの感触と音でさらに濡れる私の名をひたすら優しく呼ばれる。息が詰まるほど恥ずかしくて鋭敏になったそこは、お尻の割れ目に沿うユリアスの高い鼻梁までもしっかりと感触をとらえていて、その光景を脳内で映像化してしまいなおもとめどなく私のからだを内部から潤してゆく。

 恥かしくて気持ちよくて物足りなくて、啼いて彼自身を求めた私はもう一度ひっくり返され、元の仰向けの状態にされて、ユリアスにしっかりと抱き締められた。

 私を抱く片手はそのままに、もう一方の手は片足を抱え上げ、その間に彼の屹立をあてがわれる。

 期待と、この期に及んでのわずかな怯えにからだを硬くしたのを悟られ、リヴェア、愛してると何度も何度も耳元で囁かれ、抱え上げられた足を羽のように柔らかく指で撫でられる。

 やがてわずかな強張りが抜けたのがわかったのだろう。押しあてられたものが最奥まで一気に突き進み蜜道をこじ開けた。誰にも抱かれずに過ごしたここしばらくの生活に慣れたからだには強烈過ぎる刺激で、嬌声すら上げられないほど激しく絶頂し、身を震わせる。

 その後も続けられる緩急をつけた突き上げに理性は飛び意識は霞み、啼いて喘いでユリアスの引き締まったからだにしがみつく。抽送の卑猥な水音、激しさとは正反対の優しい穏やかなユリアスの囁き。俺の妻、俺のリヴェアと繰り返すその声は私を蕩かす呪歌のようだ。我ながら淫らに膣壁がざわめいて、彼の剛直を絡め、締め上げ、もっと奥へと誘うのがわかる。幾度も彼の声が途切れ、堪りかねたような低い呻きがその唇から洩れ、胎内の彼自身がさらに硬化する。

 高まる熱、飛び散る互いの汗、私の蜜。
 薄く目を開ければ、私を喰らう美しい獣が見える。汗を浮かべた額に黒褐色の髪が張りつき、あんなにも冷たく、きついと思っていた暗緑色の瞳は色気と欲情を湛えて夜空に浮かぶ一等星のように鮮やかに煌めいている。

 腰を支える指の力はいよいよ強まり、痛みは無いけれどきっと指の痕がついてしまうことだろう。最後の高まりに向けて彼の動きはより速く激しく、先ほどまでは穏やかに私に睦言を囁いていたその口は、揺れてたわむ私の胸を頬張り、しゃぶりつくす。
 
 やがて私も彼も同時に達したその時、リヴェア、と一言だけ彼は私の名を呼んだ。
 
 ずっとずっといやらしい声しか上げられなくなっていた私も、その時だけゆりあすと呼ぶことができた。いや、できたと自分で思っただけかもしれないが、そうしたかったから私も想いを込めて必死に彼の名を呼んだのだ。

 奥深く注ぎ込まれる熱を受け止めながら、私はゆっくりと目を閉じた。視界が暗くなる直前、ユリアスは微笑んでくちづけてくれたから、きっと私の声を聞き取ってくれたのだと思う。



 ******



 ……突然、俺の膝に乗り上げてきた彼女はあろうことか威勢よく唇を押し付けてきて、俺を仰天させた。

 唇を通して感じる彼女の甘い吐息、俺の足を挟み込む大腿の感触、薄絹を通してもはっきりわかる彼女の体温と押し付けられる豊満な胸。

 それらは俺が今まで培った自制心を木っ端微塵に破壊した。

 レオンにもルードにも、あのオルギールにまで溺愛され、激し過ぎる愛情を一身に受けながら、いつまでたっても男ずれしていない、できないらしい彼女は、あとが続かなくて固まってしまったようで、そんな彼女は食い殺してやりたいほど可愛らしい。べたべたに甘やかしてやりたくなると同時に、怖がらせない程度に支配して、俺の力を、俺という存在を知らしめてやりたいというどうしようもない男の欲望が体を突き動かす。

 気がつけば俺は彼女の薄絹を剥ぎ、下穿きも取り去ると、ゆたかでハリのある胸にむしゃぶりついていた。
 硬くしこる果実を、弾力のある胸全体を、目で、舌で味わい尽くし、自らの頬を挟んで揉みしだき思うさま堪能する。
 
 他の男に抱かれる彼女はそれは美しかったが、やはり見るのと触れるのとでは天と地ほどの差がある。

 指で触れる彼女の肌は吸い付くようになめらかで、口に含めば紅い果実は甘く、コリコリと素晴らしい感触を味わうことができる。
 真珠色の肌は柔らかな光を帯び、本当に今日の衣裳も装飾品も彼女を引き立て、まさしく海の女神のように際立たせていたなと心から思う。
 足を開かせれば艶めく黒い茂みの奥に赤い割れ目が蜜に濡れて光り、目を焼くようだ。
 
 胸への愛撫に没頭し、その後うつぶせにして羞恥を煽る姿勢をとらせ、彼女の尻とその隙間の奥の奥まで愛でるうちに、時間をかけ過ぎたらしい。俺にしてみればまだまだ胸と尻だけで愉しめるし、彼女を昇天させることもできたのだが、焦れた彼女はとうとう啼いてその先を、俺自身をねだってきた。
 
 可愛い。愛しい。どうしてやろうか。

 ……その後は理性と本能の戦いだった。

 激しく思い切り腰をぶつけるかと思えば、このままでは壊してしまう、怖がらせてしまうと我に返ってゆっくりと彼女の中で自身を泳がせる。
 彼女の中は温かくて締りがいい。
 聴覚を犯す彼女の可愛らしい甘えた喘ぎに煽られ、突き上げるたびに蠕動し、ざらざらの感触と共に締め付け、奥へ引き込む彼女はまさしく魔性のからだだ。 
 
 とりあえず一度俺も吐精させておかないと彼女を抱き潰してしまう。
 
 そう考えた俺はまず一度、彼女を抱く手に力を加え、突き上げを速めて自らを追い込み。

 同時に果てることができた。


 ……俺の名を口にして目を閉じた彼女にくちづけを落した後、俺はいったん自身を引き抜いた。

 俺は彼らとは違う。発熱させるほど無理をさせてはならない。休ませてやらなくては。

 そう思う自分の理性をあざ笑うかのように、一度精を放ったそれはまったく萎えることなく強度を保ったままだ。
 まだ足りないと主張する分身を宥め、俺は起き上がった。

 ゆりあす、と目を閉じたまま呟く彼女の瞼にくちづけて、少し休むようにと自分でもこんな声が出せるのかと笑いがこみ上げるほど甘い声で言い聞かせる。

 あどけないと言ってよいほど素直に頷き、程なくして規則正しい寝息を立て始めるところまで見守ってから、俺は寝所を後にした。



 ******



 脱ぎ散らかした上衣だけをぞんざいに羽織り、俺の居室に入ってから、二度、天井に向けて指笛を鳴らす。

 三公爵おれたち、オルギール、そして「影」たちのみが知る、特殊な音だ。

 俺がたてた音よりわずかに小さく、しかし同じ音が返されたのを確認してから、

 「レオン、シグルド、そしてオルギールへ伝えよ」

 俺はゆっくりと、姿を見せぬ彼らに刻み付けるように言った。

 「今日を含め三日。俺は姫を部屋から出さぬ。四日目には必ずエヴァンジェリスタ城へ戻す故、それまでは邪魔をするなと。そう、申し伝えよ」

 一度、了解を意味する音を確認してから、そういえば、と俺は続けた。

 「……特に、お前たちの主、‘ヘデラ侯爵’へ、な」

 付け加えたひとことは多少嫌味をこめてやったのだが、「影」はまさしく「影」であり、こちらの物言いに対する彼らの感情はわからない。必要ではない、とも言えるが。

 以上、と言い、俺は命令の終了を伝える合図を二度、鳴らした。
 応えがあり、かすかにひとの気配が動くのがわかる。

 これでいい。

 俺はもう一度寝所に向かうことにした。

 愛しい姫を抱いてひと眠りするとしよう。
 そして、目覚めたらまた姫を抱こう。

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