15 / 64
‘万能のひと’の回想と現実。(上)
しおりを挟む
ずっと独りだった。
物理的に。そして精神的に。
それが辛いとも心地よいとも何も感ずることなく、紛うことなき事実だった。ただそれだけのこと。
特段、好んで周囲と一線を画していたわけではない。
気が付けばそうなっていた。自分の特異性は幼少時にすぐに気づいていたから。
誰もが口を極めて絶賛する自分の容姿。ずいぶんと優れたものらしいと他者の評価によって自覚した。
学習能力、理解力、記憶力、身体能力。芸術の分野に至るまで。
幼少からつけられた教師達はそれぞれの分野の一流だったはずだが、彼らいわく「ひとの領域ではない速さで」学び、吸収し、自分のものとし、やがて私は軽々と彼らを超えたようだ。
学ぶことに最果てはない。教師達を超えたからどうというものではなく、私は手あたり次第に気が向いた分野の研究に没頭し今に至っている。
武術は神技と称賛され、薬剤の開発に成功して莫大な個人財産を得、グラディウス領各地において農産、畜産、漁業などの生産性向上させ、養殖技術を編み出して食料の安定供給を可能とし、……いちいち数え上げるつもりはないが、まあ私は興味を持ったことは極めなくては気が済まない気性らしい。いつしか、人々は私を「万能のひと」と呼び始めたが、その名の陳腐さには苦笑を禁じ得ない。
しかし、祖父は違った。私の異能とも言うべき特質が顕著になり、「万能のひと」とまで呼ばれるようになったころには、祖父はこの陳腐な呼び名を誇らしげに至る所で語った。
はた迷惑なことと私は眉をひそめたが、私の心情を汲み取ってくれるべき両親は既にいなかった。
そう。両親との縁はとても薄かった。
母はからだが弱く、私を産んでまもなく亡くなった。その母を溺愛していた父も、妻を亡くして一年もたたないうちに、風邪をこじらせたのがきっかけであっさりとこの世を去った。
私には揺籃の頃からの記憶があるが、私は父に抱かれたことはない。父には母が全てだった。その母が産んだ私など、彼にとっておそらくただの副産物に過ぎなかっただろう。父のすべての愛情と関心は母にあった。出産によって母は衰弱し、死に至ったのだから、虐待されなかっただけましなのかもしれない。邪険にされた記憶はないが、私に対して清々しいほど無関心を貫き父は逝った。
寂しい、という感情は一度もない。父母からの愛情を得られなかっただけで私は誰からも大切にされていることを知っていたから。明確な爵位はなくとも、グラディウス家、特に、エヴァンジェリスタ公爵家において公爵に次ぐ実権を有し、何より‘影’を率いる一族の筆頭として、私の周りには常にたくさんの人々が溢れ、争って私の面倒をみようとしていた。
その頂点にいたのが祖父。
そして、蠢く一族の女たち。
祖父のことは嫌いではなかった。幼い頃限定だが。
両親を亡くした私を、彼は溺愛した。神童、天才、と無責任に人々が噂するようになってからはさらに私という存在にのめりこみ、歪んだ愛情と野望を持つようになった。
お前がエヴァンジェリスタ公爵家に入ればよい。
遡ればカルナックは公爵家と縁続きなのだ。
お前にもエヴァンジェリスタ公爵家の相続権がある。
繰り返し囁くようになった祖父は、自分で自分の言葉に酔い、妄想し、ついには本気で主家をのっとろうとした。
エヴァンジェリスタ公爵家には、穏やかだが明敏な当主と、彼をいずれは凌駕すると言われ、将来を嘱望されるレオン様がいらっしゃるというのに。
計算と推測。何をどう考えても、祖父の反乱は成功するはずがないのに、‘影’のほとんどは私に従ったのに、彼は諦めなかった。既に耄碌していたのだろうか。そもそも、彼の希望の星たる私自身が、公爵家をのっとることなど全く望んでいないと言うのに、何度そう言っても聞かなかった。無駄な血が流れる。祖父はもちろん、旗印の私だって命はない。くりかえし訴えても首を縦に振らなかった。「いずれわかる」と。
……だから。私は、祖父を。
後悔はしていない。
ただ、正しいことをしたとも思ってはいない。
あんなにも私を溺愛した祖父を手にかけたのだから。
説得し、思いとどまらせることこそが「正しいこと」だったと思う。それができなかったからそうするしかなかっただけだ。
十五歳だった。
祖父を手にかけた私の「血生臭い」記憶と同時期に思い出す、男女の生々しい香り。
少なくとも私にとっては獣同様、いや、種の保存を目的としないだけ獣以下と言える浅ましい交わり。
祖父のことがあってからというもの、私が頼んでもいないのに、夜ごと一族の女が「お慰めする」と言い張って寝所へやってくるようになっていた。「おかわいそうに」と表向きの薄っぺらな同情に、滴るような情欲を匂わせて。
もともと、十を迎えたあたりから、次代の‘影’一族を率いる者として、当然の如く房事の指南を受けてはいた。
指南役は一族の女性が担う。一人ではなく、少なくとも三名以上。複数で行為をする「訓練」のためでもあると同時に、指南する者、受ける者、親密になり過ぎて互いに恋愛感情を持たないようにするためだ。
私は学問や武術の一環として淡々とその指南を受けたのだが、どうやら指南役たちにとっては淡々と、どころの話ではなかったらしい。傷心の私を慰めると称して、多数の女が(少ないが男たちも)入れ代わり立ち代わり添い寝を務めたがった。というより、祖父の死を口実にして、私と関係を持とうとしたのだ。
どの女も、どんなきれいごとを並べても結局は彼女ら自身の欲を満たすためだけの行為だった。
同情と共感を囁き、性技を尽くして私を篭絡しようとした。
女たちが必死になればなるほど、私は冷めていった。
初めのうちこそ、勝手に反応する自分のからだの変化と、女たちの痴態を観察していたのだが、いくらも経たないうちにそれにも飽きてしまった。
飽きたのと馬鹿馬鹿しいのとでやがてからだも反応しなくなり、それで余計に女たちが躍起になり、煩わしくてそろそろ権力で追い払おうかと思っていた矢先、‘影’たちの自浄能力の賜物と言うべきか、突然、女たちの襲来はぱたりと止んだ。
‘影’の幹部数名が見かねて強制的に止めさせたらしい。
聞けば、女同士で刃傷沙汰が起きる寸前だったとのこと。「十五歳ではまだお判りにならないかもしれませぬが」と苦い顔で‘影’一番からの報告と、かつ指導を受けたことを思い出す。「あなた様が眉一つ動かさなくても、勝手に恋情を抱き、狂うものがいる。それをわきまえて人あしらいをするように」と。
甚だ不本意だったが、私自身にも自覚と自省をせよとの趣旨だった。
以降、私は寝所にひとを寄せ付けなくなった。
房事のあれこれは好むと好まざるとにかかわらず知り尽くした感があったし、無駄に整いすぎた容姿のせいで、私の一挙手一投足によって勝手に道を踏み外す人々を見るのも不快だったし、何より学問と武術と、公爵家の三人の公子たちとの交流が私の生活の全てとなっていったから。
私が救った形になったエヴァンジェリスタ公爵家の長子、レオン様とはさらに打ち解けた。
四つ年長の彼は、さすがに私が早熟過ぎて「兄」という認識にまでは至らなかったが、少なくともほとんどいない「同世代の」友人に近い存在となった。
太陽の光を集めたような輝かしい髪と、金色の瞳。男の私から見ても他を圧する美貌の彼と一緒にいると、私ばかりが目立たずに済むという打算も多少はあったが。
彼は飛びぬけて賢かったし、武術などは私に匹敵するほどの腕前だった。
そして、私にはないおおらかさと人当たりの良さがあった。他人にはめったに見せない腹黒さも十二分にあったが、聖人君子では統治者になどなれはしない。生まれながらに帝王学を習得している。彼こそは公爵にふさわしい。誰もがそう言ったし、私も心からそう思った。他の二人、次代の公爵たちも然り。それぞれに切磋琢磨し、将来有望な彼らと過ごす時間は、私にとってとても有意義なものだった。
政治も学問も武術も。
彼らとともに学び、あるいは私が教え、そして私自身が好む分野の研究にも没頭する。
彼らのいずれかとともに大小の戦に出陣する。
充実した十数年が経ち、やがて「あの日」を迎えた。
私の命よりも大切な女性。
至高の存在。
リア。……リヴェア・エミールに出会った「あの日」。
******
「あの日」は千年、万年に一度もあり得ないほどに稀な「星の並び」となることがわかっていた。
古来からの万巻の書を紐解いても記録などない。計測、計算によって天体の奇跡が起こる夜を割り出していたとはいえ、どんな光景になるのか見当もつかない。「この世ならぬことが起こるかもしれませんぞ」と、日頃沈着な星見の塔の長ですら口にしていた、その日、その夜。
目も開けていられないほどの光に包まれた数十秒。
天体の事象としてはただそれだけだったが、「この世ならぬこと」は確かに起こっていた。
彼女がレオン様の寝台に現れたのだ。
これ以上ないほど厳重な警備の敷かれたレオン様の寝室に現れた女性。
天井裏に控える‘影’もこう報告した。「目の前が白くなって、次の瞬間ひとの気配があった」と。
超常現象としか言えない出現の仕方をした彼女に引き合わされた時のことは、その後何度でも思い出す。
艶やかな黒髪。黒い瞳。真珠色の肌。
レオン様のものを借りたらしい、からだに合わない寝衣を纏っただけなのに、一瞥してそれとわかる見事な肢体。
「身一つで」という表現があるが、まさにあの時の彼女がそうだった。
何も持たず、レオン様の寝衣以外は何も身に着けていないというのに、彼女は着飾ったどんな美女も適うまいと思うほどに美しかった。一瞬、私を目にして呆けたような表情も見せたが、すぐに立ち直ったのか、冷静に、臆することなく私を真っ直ぐに見つめていた。
気が付けば、私は頭を下げて騎士の礼をとっていた。レオン様が「珍しいな」と呟くのが聞こえたが、そのとおり。私自身、驚いていたのだから。公爵方以外に対しては、私は外交時ですらめったに自ら頭など下げはしない。
強い光を宿す、その黒曜石の瞳。
「異世界転移」ゆえか。浮世離れしたその気配。
気高ささえ感じる、その清廉な美貌。
理由は後付けに過ぎない。
出会った瞬間に、私の魂に刻印されたのだ。
場所を移して打ち合わせをする間中、レオン様の膝に載せられた彼女を観察し、話しぶりを聞いていたが、頭の良い女性であることはすぐにわかった。それに、相当な手練れであろうことも。ちょっとした目配り、身ごなしですぐにわかる。‘影’を束ね、自らも極限までからだを鍛えてある身であれば当然のことだ。彼女は只者ではない。それが唯一、彼女の持つ清廉さとは相反する。
間者の類では、とわずかばかりの疑念がないでもなかったが、見たところレオン様は既にこの女性に並々ならぬ関心を持ったらしく、身元の詮議をするどころか手放す気は毛頭ないようだった。明敏な方だ。彼女の出現は「説明のできないこと」とさっさと見極め、その先のこと……手元に置く段取りを考えている。
膝に乗せた彼女の腰を抱き、たまに黒髪の匂いを嗅いでいるレオン様はすこぶる上機嫌だった。
特定の女性と付き合っていたレオン様を見たことはない。何より、人前でここまで女性を近寄せることなどあり得ない。そんなレオン様が見せた、この女性への眼差し、仕草。
レオン様は、彼の「唯一」を見つけたのだろう。
……そして、私も同時に。レオン様の「唯一」と同じ女性を。
彼女を絨毯の中に隠し、客間へ移動した後のこと。
技量を測るため、彼女にわざと手をあげてみたが、思った通り、それ以上に彼女の体術は素晴らしかった。
もっと手合わせをしたいとあの時ほど強く感じたことはなかった。
見惚れるほど美しく、無駄のない動き。
すんなりと伸びた長い手足、ムチのようにしなるからだ。緩い寝衣から覗くゆたかな胸。
手合わせをしたいというだけではない。記憶にある限り、初めての感情。男としての「欲」を自覚したのだ。
もっと見たい。知りたい。着衣を取り去って、彼女のすべてを目に焼き付けたい。
後転して飛び退った彼女は、口を尖らせ、盛大にあれこれ文句を言っていたが、本当に可愛らしかった。
素の感情を向けられることが、こんなにも心地よいものだとは。
超一流の戦士の身体能力。生真面目で、臆することのない物言い。魅惑的な肢体とは相反する、もの慣れぬ青さ。
彼女の抗議も戸惑いも無視して抱き上げ、寝台へ横たえて顔を近づけて。
私の名を呼ぶように釘を刺し、他にもやりようはあっただろうに、くちづけて睡眠薬を飲ませた。
やわらかな唇、甘い吐息。得も言われぬ芳香と、味わったことのない幸福感に酔いながら逃げを打つ舌を追いかけ、あまりに怯えさせてもと考え直し、もっと彼女を味わいたいのを堪えて薬を落とし込む。
とんでもなく初心な反応だった。間者であろうはずがない。
ようやく私も確信した。初心を装う者などすぐに見破ることができるから。
口もきけないほど吃驚しているらしい彼女の唇を名残惜しくもう一度だけ舐めて、私はかなり苦労して身を起こしたのだった。
完璧な身分を、足場を整えた。彼女が、誰からも侮られたりなどされぬように。
そして自ら望んで彼女の副官となった。
その時のレオン様の表情も声も、昨日のことのように覚えている。
長い沈黙の後、読めない表情のまま「まあ、仕方ないか」と呟いたのだ。
その後のあれこれを──彼女がグラディウスの表舞台で生きることを望み、それをきっかけとして三公爵で妻を共有すること、私がそれに加わること──それらを予想した沈黙であったのか、どうか。
知るすべはないが、彼には感謝している。そして、最上級の、心からの忠誠を尽くしている。
彼女の次に、だけれど。
──その後の日々、つまり彼女に出会ってからの日々は、私にとって新たな人生が始まったとも言えるほどだった。
輝かしい毎日。愛しい女性と共に過ごす心地よさ。
あらゆる武術に長け、何を教えても砂に水が吸い込むように学び、ものにしてゆく彼女の側にいるだけで心が弾んだ。もっともっと教えてやりたい。存分に実力を発揮できるよう守ってやりたい。
なんでもしてやりたい。
けれど、どれだけ距離を詰めて甘やかそうとしても、苦笑しながらようやく遠慮がちに身を委ねるか、またあるときはやんわりきっぱりと首を横に振る。「オルギール、やり過ぎ」と。
口は悪いし言いたいことを言う女性だが、決してひとを不快にさせない。それどころか、極めて律儀で礼儀正しい。律儀すぎるほどに。
それがまた好ましくて、けれどじれったくて。
勿論、甘やかすなと言われておとなしく引き下がる気はない。
指を咥えてレオン様だけのものになる彼女を見ているつもりはない。
公爵様と一対一で女性を争うなど愚の骨頂。実際、あっという間にレオン様は彼女に骨抜きになり、溺愛っぷりを隠そうともしなくなった。初心な彼女もそれはそれは幸せそうだ。それはいい。最高権力者が彼女を大切にする。それを彼女も受け入れる。その流れは一向にかまわない。
けれど。
私も彼女が欲しい。
寝取るのではない。無防備な彼女を抱くことなどたやすいことだが、そんなやりかたをしては彼女は私を決して許さないだろう。それは本意ではない。
正々堂々と彼女を抱く。
そのためには、方法は一つ。
グラディウスの妻の共有、を数百年ぶりに実現させればよい。
私も爵位を手に入れ、四人目の夫となればよい。
……事あるごとに彼女に触れた。
抱きしめて、くちづけて。時には一糸纏わぬ姿にして快楽を刷り込んでゆく。
レオン様によってようやく開花し始めたからだに、手管を尽くして淫靡な記憶を刻み込む。
無理矢理に近い行為だったと自覚している。それでも、やめるつもりはなかった。
初めて、唯一、私が望んだ存在なのだ。
戸惑いながら、理性と戦いながら、彼女は私の手を取ってくれた。
生真面目な彼女が複数の男性に身を任せることについてどんなに悩んだか、わかっている。
その彼女が、ウルブスフェルで、初めて自ら私の首に手を回してくれたとき。
そして、初めて本当の意味でからだを重ねたとき。私も「夫」になるのだと。……恋人でも情人でもない、四人目の夫となると告げたときの、嬉しそうで安心しきった、蕩けるような笑顔。
幸せだった。
私のすべて。命よりも大切な女性。
その彼女は、今、私の腕の中にいる。
物理的に。そして精神的に。
それが辛いとも心地よいとも何も感ずることなく、紛うことなき事実だった。ただそれだけのこと。
特段、好んで周囲と一線を画していたわけではない。
気が付けばそうなっていた。自分の特異性は幼少時にすぐに気づいていたから。
誰もが口を極めて絶賛する自分の容姿。ずいぶんと優れたものらしいと他者の評価によって自覚した。
学習能力、理解力、記憶力、身体能力。芸術の分野に至るまで。
幼少からつけられた教師達はそれぞれの分野の一流だったはずだが、彼らいわく「ひとの領域ではない速さで」学び、吸収し、自分のものとし、やがて私は軽々と彼らを超えたようだ。
学ぶことに最果てはない。教師達を超えたからどうというものではなく、私は手あたり次第に気が向いた分野の研究に没頭し今に至っている。
武術は神技と称賛され、薬剤の開発に成功して莫大な個人財産を得、グラディウス領各地において農産、畜産、漁業などの生産性向上させ、養殖技術を編み出して食料の安定供給を可能とし、……いちいち数え上げるつもりはないが、まあ私は興味を持ったことは極めなくては気が済まない気性らしい。いつしか、人々は私を「万能のひと」と呼び始めたが、その名の陳腐さには苦笑を禁じ得ない。
しかし、祖父は違った。私の異能とも言うべき特質が顕著になり、「万能のひと」とまで呼ばれるようになったころには、祖父はこの陳腐な呼び名を誇らしげに至る所で語った。
はた迷惑なことと私は眉をひそめたが、私の心情を汲み取ってくれるべき両親は既にいなかった。
そう。両親との縁はとても薄かった。
母はからだが弱く、私を産んでまもなく亡くなった。その母を溺愛していた父も、妻を亡くして一年もたたないうちに、風邪をこじらせたのがきっかけであっさりとこの世を去った。
私には揺籃の頃からの記憶があるが、私は父に抱かれたことはない。父には母が全てだった。その母が産んだ私など、彼にとっておそらくただの副産物に過ぎなかっただろう。父のすべての愛情と関心は母にあった。出産によって母は衰弱し、死に至ったのだから、虐待されなかっただけましなのかもしれない。邪険にされた記憶はないが、私に対して清々しいほど無関心を貫き父は逝った。
寂しい、という感情は一度もない。父母からの愛情を得られなかっただけで私は誰からも大切にされていることを知っていたから。明確な爵位はなくとも、グラディウス家、特に、エヴァンジェリスタ公爵家において公爵に次ぐ実権を有し、何より‘影’を率いる一族の筆頭として、私の周りには常にたくさんの人々が溢れ、争って私の面倒をみようとしていた。
その頂点にいたのが祖父。
そして、蠢く一族の女たち。
祖父のことは嫌いではなかった。幼い頃限定だが。
両親を亡くした私を、彼は溺愛した。神童、天才、と無責任に人々が噂するようになってからはさらに私という存在にのめりこみ、歪んだ愛情と野望を持つようになった。
お前がエヴァンジェリスタ公爵家に入ればよい。
遡ればカルナックは公爵家と縁続きなのだ。
お前にもエヴァンジェリスタ公爵家の相続権がある。
繰り返し囁くようになった祖父は、自分で自分の言葉に酔い、妄想し、ついには本気で主家をのっとろうとした。
エヴァンジェリスタ公爵家には、穏やかだが明敏な当主と、彼をいずれは凌駕すると言われ、将来を嘱望されるレオン様がいらっしゃるというのに。
計算と推測。何をどう考えても、祖父の反乱は成功するはずがないのに、‘影’のほとんどは私に従ったのに、彼は諦めなかった。既に耄碌していたのだろうか。そもそも、彼の希望の星たる私自身が、公爵家をのっとることなど全く望んでいないと言うのに、何度そう言っても聞かなかった。無駄な血が流れる。祖父はもちろん、旗印の私だって命はない。くりかえし訴えても首を縦に振らなかった。「いずれわかる」と。
……だから。私は、祖父を。
後悔はしていない。
ただ、正しいことをしたとも思ってはいない。
あんなにも私を溺愛した祖父を手にかけたのだから。
説得し、思いとどまらせることこそが「正しいこと」だったと思う。それができなかったからそうするしかなかっただけだ。
十五歳だった。
祖父を手にかけた私の「血生臭い」記憶と同時期に思い出す、男女の生々しい香り。
少なくとも私にとっては獣同様、いや、種の保存を目的としないだけ獣以下と言える浅ましい交わり。
祖父のことがあってからというもの、私が頼んでもいないのに、夜ごと一族の女が「お慰めする」と言い張って寝所へやってくるようになっていた。「おかわいそうに」と表向きの薄っぺらな同情に、滴るような情欲を匂わせて。
もともと、十を迎えたあたりから、次代の‘影’一族を率いる者として、当然の如く房事の指南を受けてはいた。
指南役は一族の女性が担う。一人ではなく、少なくとも三名以上。複数で行為をする「訓練」のためでもあると同時に、指南する者、受ける者、親密になり過ぎて互いに恋愛感情を持たないようにするためだ。
私は学問や武術の一環として淡々とその指南を受けたのだが、どうやら指南役たちにとっては淡々と、どころの話ではなかったらしい。傷心の私を慰めると称して、多数の女が(少ないが男たちも)入れ代わり立ち代わり添い寝を務めたがった。というより、祖父の死を口実にして、私と関係を持とうとしたのだ。
どの女も、どんなきれいごとを並べても結局は彼女ら自身の欲を満たすためだけの行為だった。
同情と共感を囁き、性技を尽くして私を篭絡しようとした。
女たちが必死になればなるほど、私は冷めていった。
初めのうちこそ、勝手に反応する自分のからだの変化と、女たちの痴態を観察していたのだが、いくらも経たないうちにそれにも飽きてしまった。
飽きたのと馬鹿馬鹿しいのとでやがてからだも反応しなくなり、それで余計に女たちが躍起になり、煩わしくてそろそろ権力で追い払おうかと思っていた矢先、‘影’たちの自浄能力の賜物と言うべきか、突然、女たちの襲来はぱたりと止んだ。
‘影’の幹部数名が見かねて強制的に止めさせたらしい。
聞けば、女同士で刃傷沙汰が起きる寸前だったとのこと。「十五歳ではまだお判りにならないかもしれませぬが」と苦い顔で‘影’一番からの報告と、かつ指導を受けたことを思い出す。「あなた様が眉一つ動かさなくても、勝手に恋情を抱き、狂うものがいる。それをわきまえて人あしらいをするように」と。
甚だ不本意だったが、私自身にも自覚と自省をせよとの趣旨だった。
以降、私は寝所にひとを寄せ付けなくなった。
房事のあれこれは好むと好まざるとにかかわらず知り尽くした感があったし、無駄に整いすぎた容姿のせいで、私の一挙手一投足によって勝手に道を踏み外す人々を見るのも不快だったし、何より学問と武術と、公爵家の三人の公子たちとの交流が私の生活の全てとなっていったから。
私が救った形になったエヴァンジェリスタ公爵家の長子、レオン様とはさらに打ち解けた。
四つ年長の彼は、さすがに私が早熟過ぎて「兄」という認識にまでは至らなかったが、少なくともほとんどいない「同世代の」友人に近い存在となった。
太陽の光を集めたような輝かしい髪と、金色の瞳。男の私から見ても他を圧する美貌の彼と一緒にいると、私ばかりが目立たずに済むという打算も多少はあったが。
彼は飛びぬけて賢かったし、武術などは私に匹敵するほどの腕前だった。
そして、私にはないおおらかさと人当たりの良さがあった。他人にはめったに見せない腹黒さも十二分にあったが、聖人君子では統治者になどなれはしない。生まれながらに帝王学を習得している。彼こそは公爵にふさわしい。誰もがそう言ったし、私も心からそう思った。他の二人、次代の公爵たちも然り。それぞれに切磋琢磨し、将来有望な彼らと過ごす時間は、私にとってとても有意義なものだった。
政治も学問も武術も。
彼らとともに学び、あるいは私が教え、そして私自身が好む分野の研究にも没頭する。
彼らのいずれかとともに大小の戦に出陣する。
充実した十数年が経ち、やがて「あの日」を迎えた。
私の命よりも大切な女性。
至高の存在。
リア。……リヴェア・エミールに出会った「あの日」。
******
「あの日」は千年、万年に一度もあり得ないほどに稀な「星の並び」となることがわかっていた。
古来からの万巻の書を紐解いても記録などない。計測、計算によって天体の奇跡が起こる夜を割り出していたとはいえ、どんな光景になるのか見当もつかない。「この世ならぬことが起こるかもしれませんぞ」と、日頃沈着な星見の塔の長ですら口にしていた、その日、その夜。
目も開けていられないほどの光に包まれた数十秒。
天体の事象としてはただそれだけだったが、「この世ならぬこと」は確かに起こっていた。
彼女がレオン様の寝台に現れたのだ。
これ以上ないほど厳重な警備の敷かれたレオン様の寝室に現れた女性。
天井裏に控える‘影’もこう報告した。「目の前が白くなって、次の瞬間ひとの気配があった」と。
超常現象としか言えない出現の仕方をした彼女に引き合わされた時のことは、その後何度でも思い出す。
艶やかな黒髪。黒い瞳。真珠色の肌。
レオン様のものを借りたらしい、からだに合わない寝衣を纏っただけなのに、一瞥してそれとわかる見事な肢体。
「身一つで」という表現があるが、まさにあの時の彼女がそうだった。
何も持たず、レオン様の寝衣以外は何も身に着けていないというのに、彼女は着飾ったどんな美女も適うまいと思うほどに美しかった。一瞬、私を目にして呆けたような表情も見せたが、すぐに立ち直ったのか、冷静に、臆することなく私を真っ直ぐに見つめていた。
気が付けば、私は頭を下げて騎士の礼をとっていた。レオン様が「珍しいな」と呟くのが聞こえたが、そのとおり。私自身、驚いていたのだから。公爵方以外に対しては、私は外交時ですらめったに自ら頭など下げはしない。
強い光を宿す、その黒曜石の瞳。
「異世界転移」ゆえか。浮世離れしたその気配。
気高ささえ感じる、その清廉な美貌。
理由は後付けに過ぎない。
出会った瞬間に、私の魂に刻印されたのだ。
場所を移して打ち合わせをする間中、レオン様の膝に載せられた彼女を観察し、話しぶりを聞いていたが、頭の良い女性であることはすぐにわかった。それに、相当な手練れであろうことも。ちょっとした目配り、身ごなしですぐにわかる。‘影’を束ね、自らも極限までからだを鍛えてある身であれば当然のことだ。彼女は只者ではない。それが唯一、彼女の持つ清廉さとは相反する。
間者の類では、とわずかばかりの疑念がないでもなかったが、見たところレオン様は既にこの女性に並々ならぬ関心を持ったらしく、身元の詮議をするどころか手放す気は毛頭ないようだった。明敏な方だ。彼女の出現は「説明のできないこと」とさっさと見極め、その先のこと……手元に置く段取りを考えている。
膝に乗せた彼女の腰を抱き、たまに黒髪の匂いを嗅いでいるレオン様はすこぶる上機嫌だった。
特定の女性と付き合っていたレオン様を見たことはない。何より、人前でここまで女性を近寄せることなどあり得ない。そんなレオン様が見せた、この女性への眼差し、仕草。
レオン様は、彼の「唯一」を見つけたのだろう。
……そして、私も同時に。レオン様の「唯一」と同じ女性を。
彼女を絨毯の中に隠し、客間へ移動した後のこと。
技量を測るため、彼女にわざと手をあげてみたが、思った通り、それ以上に彼女の体術は素晴らしかった。
もっと手合わせをしたいとあの時ほど強く感じたことはなかった。
見惚れるほど美しく、無駄のない動き。
すんなりと伸びた長い手足、ムチのようにしなるからだ。緩い寝衣から覗くゆたかな胸。
手合わせをしたいというだけではない。記憶にある限り、初めての感情。男としての「欲」を自覚したのだ。
もっと見たい。知りたい。着衣を取り去って、彼女のすべてを目に焼き付けたい。
後転して飛び退った彼女は、口を尖らせ、盛大にあれこれ文句を言っていたが、本当に可愛らしかった。
素の感情を向けられることが、こんなにも心地よいものだとは。
超一流の戦士の身体能力。生真面目で、臆することのない物言い。魅惑的な肢体とは相反する、もの慣れぬ青さ。
彼女の抗議も戸惑いも無視して抱き上げ、寝台へ横たえて顔を近づけて。
私の名を呼ぶように釘を刺し、他にもやりようはあっただろうに、くちづけて睡眠薬を飲ませた。
やわらかな唇、甘い吐息。得も言われぬ芳香と、味わったことのない幸福感に酔いながら逃げを打つ舌を追いかけ、あまりに怯えさせてもと考え直し、もっと彼女を味わいたいのを堪えて薬を落とし込む。
とんでもなく初心な反応だった。間者であろうはずがない。
ようやく私も確信した。初心を装う者などすぐに見破ることができるから。
口もきけないほど吃驚しているらしい彼女の唇を名残惜しくもう一度だけ舐めて、私はかなり苦労して身を起こしたのだった。
完璧な身分を、足場を整えた。彼女が、誰からも侮られたりなどされぬように。
そして自ら望んで彼女の副官となった。
その時のレオン様の表情も声も、昨日のことのように覚えている。
長い沈黙の後、読めない表情のまま「まあ、仕方ないか」と呟いたのだ。
その後のあれこれを──彼女がグラディウスの表舞台で生きることを望み、それをきっかけとして三公爵で妻を共有すること、私がそれに加わること──それらを予想した沈黙であったのか、どうか。
知るすべはないが、彼には感謝している。そして、最上級の、心からの忠誠を尽くしている。
彼女の次に、だけれど。
──その後の日々、つまり彼女に出会ってからの日々は、私にとって新たな人生が始まったとも言えるほどだった。
輝かしい毎日。愛しい女性と共に過ごす心地よさ。
あらゆる武術に長け、何を教えても砂に水が吸い込むように学び、ものにしてゆく彼女の側にいるだけで心が弾んだ。もっともっと教えてやりたい。存分に実力を発揮できるよう守ってやりたい。
なんでもしてやりたい。
けれど、どれだけ距離を詰めて甘やかそうとしても、苦笑しながらようやく遠慮がちに身を委ねるか、またあるときはやんわりきっぱりと首を横に振る。「オルギール、やり過ぎ」と。
口は悪いし言いたいことを言う女性だが、決してひとを不快にさせない。それどころか、極めて律儀で礼儀正しい。律儀すぎるほどに。
それがまた好ましくて、けれどじれったくて。
勿論、甘やかすなと言われておとなしく引き下がる気はない。
指を咥えてレオン様だけのものになる彼女を見ているつもりはない。
公爵様と一対一で女性を争うなど愚の骨頂。実際、あっという間にレオン様は彼女に骨抜きになり、溺愛っぷりを隠そうともしなくなった。初心な彼女もそれはそれは幸せそうだ。それはいい。最高権力者が彼女を大切にする。それを彼女も受け入れる。その流れは一向にかまわない。
けれど。
私も彼女が欲しい。
寝取るのではない。無防備な彼女を抱くことなどたやすいことだが、そんなやりかたをしては彼女は私を決して許さないだろう。それは本意ではない。
正々堂々と彼女を抱く。
そのためには、方法は一つ。
グラディウスの妻の共有、を数百年ぶりに実現させればよい。
私も爵位を手に入れ、四人目の夫となればよい。
……事あるごとに彼女に触れた。
抱きしめて、くちづけて。時には一糸纏わぬ姿にして快楽を刷り込んでゆく。
レオン様によってようやく開花し始めたからだに、手管を尽くして淫靡な記憶を刻み込む。
無理矢理に近い行為だったと自覚している。それでも、やめるつもりはなかった。
初めて、唯一、私が望んだ存在なのだ。
戸惑いながら、理性と戦いながら、彼女は私の手を取ってくれた。
生真面目な彼女が複数の男性に身を任せることについてどんなに悩んだか、わかっている。
その彼女が、ウルブスフェルで、初めて自ら私の首に手を回してくれたとき。
そして、初めて本当の意味でからだを重ねたとき。私も「夫」になるのだと。……恋人でも情人でもない、四人目の夫となると告げたときの、嬉しそうで安心しきった、蕩けるような笑顔。
幸せだった。
私のすべて。命よりも大切な女性。
その彼女は、今、私の腕の中にいる。
32
お気に入りに追加
2,531
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
目が覚めたら男女比がおかしくなっていた
いつき
恋愛
主人公である宮坂葵は、ある日階段から落ちて暫く昏睡状態になってしまう。
一週間後、葵が目を覚ますとそこは男女比が約50:1の世界に!?自分の父も何故かイケメンになっていて、不安の中高校へ進学するも、わがままな女性だらけのこの世界では葵のような優しい女性は珍しく、沢山のイケメン達から迫られる事に!?
「私はただ普通の高校生活を送りたいんです!!」
#####
r15は保険です。
2024年12月12日
私生活に余裕が出たため、投稿再開します。
それにあたって一部を再編集します。
設定や話の流れに変更はありません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる