溺愛三公爵と氷の騎士、と私。

あこや(亜胡夜カイ)

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いまさらですが火竜の君は絶倫でした。~オーディアル城滞在記~9.

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 小さめの寝室、と言ったって、なぜか寝台はやたらに大きい。
 どんな客人がどんな用途でこの寝室を使うのだろう、と思う。

 「あ、ああ、ああっ」
 「……リア、他所事を考えないで」

 現実逃避から引き戻され、私は声を上げた。
 オルギールの白い大きな手が背後から胸を掴み、揉みしだきながら責めるように先端を引っ掻く。
 もう片方はくにくにと摘まんで捏ねられる。 

 既に慣れ親しんだはずの刺激なのに、何度そうされても新たな快感を拾ってしまうらしい。
 私のからだは意志によらず波打ち、内側は滑りを帯びる。

 ぺちゃり、と自分の指先から水音がした。
 シグルド様が私の左手を掴み、頬張って舐め回している。
 右手はシグルド様の屹立を握らされている。大きな手のひらに包み込まれたまま、忙しなく上下させられる。
 
 怖いくらいに硬くて熱いシグルド様のそれが、私の手の中でさらに質量を増して。

 「く、ああ、姫っ……!」

 温かいものが私の内股にかけられた。
 
 ふ、と耳元で薄く笑んだ気配がした。
 全身敏感になっていて、当然耳も性感帯になっているから、吐息だけでびくりとからだが震えてしまう。
 ゆっくりと両胸への愛撫を繰り返しながら私の反応を楽しんでいるらしいオルギールは、今度はわざと私の耳に息を吹きかけて、

 「シグルド様、少々早くありませんか」

 と言った。
 
 ぼうっとした頭で「なんだかシグルド様に失礼なことを言ってないか」と思ったのだけれど。

 「はああっ、やあっ……!」
 
 無防備に晒されていた陰核を撫でられて、声が裏返った。
 一度果てたシグルド様だ。

 飛び出していた陰核に自分の愛液を塗りこめられ、ぐしょぐしょの蜜口に長い指を入れてかき混ぜられて、私はのたうった。
 
 「何とでも言え。昨日は姫に蹴られて泣かれておあずけだったんだ」
 「蹴られて?それはまた」
 「あん!」
 
 オルギールは私の耳朶をぱくりと咥えたまま、
 
 「それもまた楽しそうですが」
 「そういう趣向なら別だがな。拒絶されてしまって、あれには参った」
 「では今宵は存分に」
 「や、みみ、だめ、喋っちゃ、いや……っ!」
 「ああリア、耳だけじゃだめですよね」

 オルギールの顔が少し離れて、からだの位置を変えたようだ。
 同時に、ナカに突っ込んでいた指を引き抜いたシグルド様が、私の腰を抱えて引き寄せた。

 「リア」
 「リヴェア」

 快楽に霞む目を開けてみれば、凄絶なまでに色っぽく微笑むオルギールと、爽やかで綺麗な空色の瞳に激しい情欲を滲ませたシグルド様が覗きこんでいて。

 なんて美しいんだろうと自分の恥ずかしい状況も忘れて一瞬見とれた。
 でもそれも本当に一瞬のこと。
 彼らの静かな言葉に私は青ざめることになる。
 
 「……リア。何か私たちに秘密があるのですか?」
 「俺たちに対して秘密があるのかと思うと胸が妬ける」

 そろそろとまた彼らの手が私のからだに伸ばされる。
 左右から、それぞれ胸を持ち上げるように掴まれる。
 開かされていた足があらためて抱えられ、左右から限界まで開かされる。

 濡れそぼったそこに空気が当たってヒヤリとする。
 お尻まで垂れていたようで、そこも冷たくて居心地が悪い。それに恥ずかしい。胸を愛撫され、手でシグルド様のものを握らされていただけで、どれだけ濡らしていたんだと思う。

 「シグルド様、オルギール」
 
 ひどい恰好に羞恥を覚えつつも、多少の正気を保っていられる間に言っておかなくては。

 「何もない、私にそんな秘密はないの、私、男のひととうまくつきあえなくて、モテなくて、ひゃ!」

 シグルド様が私の片方の胸にむしゃぶりついた。
 掴んだ胸を揉んで握るようにして、先端をより尖らせながら舐め転がし甘噛みしながらしゃぶり上げる。

 「モテない?……あなたは、まったく」
 
 オルギールはのろのろと顔を寄せると、もう一方の胸の先をちゅ、と吸った。
 
 「あ!や、オルギール、私、なにも……っ」
 「なにも?……まあ、そうかもしれませんね。あなたは病的にニブいようですから」
 「びょう、てき、って、や、しつ、れい、ああん、や、シグルド、さま、オルギール!」
 
 右胸はシグルド様がものも言わずに口に含み、舐めて、吸って、噛んで、それを一度にして、食べられそうなほどの勢いだ。
 左胸はオルギールがわざとのように緩慢な愛撫を施している。揉んで、口に含んで、していることはシグルド様と同じなのにじれったいほどの丁寧さで刺激を送り続ける。

 「ああああ!」

 左右から二人の指が入ってきた。
 ぬるぬるのそこはとっくに解れていたから、すぐに遠慮なく指が増やされる。二本ずつ、合計四本もの長い指が巧妙に膣壁を擦り、バラバラに動いたり四本同時に抜き差しされたりして、彼ら自身の楔に貫かれるのとはまた異なる快楽を私に教え込む。
 
 「ああ、やあ、もう、だめ、あああ」
 
 代わる代わる、親指で釦を押すように陰核を嬲られ、絶頂を繰り返す。
 全身が痙攣してナカも同じく震えているのに、弛緩する暇もなくまた愛撫が始まる。

 「秘密はないのだな、リヴェア?」
 「やあああ!」

 右胸と陰核を同時に強く刺激され、またイった。
  
 「馬鹿正直に言ってほしいな、リヴェア。今のうちだぞ」 
 「そうですよ、リア」
 「や、もう、お願い、なにも……!」
 
 本当に何も無いのだ。
 あれは私の望みなのだから。
 遠い昔。あの上司に出会うよりももっと前。大学生になったばかりの頃。
 お付き合い未満、ほんのり好きになったひとにバレバレのウソをつかれ、不器用で恋愛知らずだった私は深く傷ついたのだ。今思えば、笑えるほどの青さ。でも初心だった私の恋愛はその記憶がスタートだ。
 こんなこと、わざわざ語るようなことですらないはずだ。
 なにも秘密などない。私に対して、「バレるような嘘をつかないでほしい」という願望なのだ。
 傷つきたくないから。それよりもはっきり言ってくれた方がマシ。

 「うそは、……うそを、つくなら、うまく、して」

 喘ぎながら、私は言った。
 何か言わなきゃ、この甘い責め苦は終わらないようだから。

 胸が解放された。
 指は入ったままだけれど。
 でも、動きは止まった。

 「きず、つけないで。きずつきたく、ないの。へんなうそ、つかないで。つくなら、つきとおして」
 「リヴェア」
 「リア」
 「ん!んん!!」

 いきなり、唇が塞がれた。
 シグルド様の厚い舌が咥内を暴れまわる。
 苦しくて呻き声を漏らすと、ようやく紙切れ一枚ほどの隙間を開けられて。
 
 「リヴェア。あなたに嘘などつかない。一生、つくようなことをしない。どうしたらわかってくれる?」
 「ふむぅ、ううん、うう……」

 言葉による返事など求められていないのかもしれない。
 シグルド様はいっそ苦し気に見えるような表情かおで言うと、また執拗なくちづけを再開した。

 「愛しいリア」
 
 二人の指がゆっくりと引き抜かれる。
 ぴちゃり、と生々しい音がする。濡れた指を舐めたのだろうか。

 「こんなに愛しているのに。……嘘を吐く?あなたを騙す?ありえないのに」
 「!?うぐ、むぅ!」
 
 濡れた秘所に吐息がかかる。
 両足を開いて担ぎ上げられる。見えなくてもわかる。オルギールがそこに顔を寄せている。

 「んんんん!!!」
 
 ぴちゃぴちゃと猫がミルクを飲むような音がする。
 ざらついた舌が柔肉の割れ目に沿うように這い回り、ナカに入れられ、溢れた蜜を吸い上げられる。
 指で大きく押し広げられ、舐め回されながら、「綺麗ですよ」、「可愛い」、「ああ、宝石が良く見える」、「ぷっくり膨れてよく光って」とかいやらしいことをさんざん言われて。

 激しいくちづけと、口淫と、言葉責めで何度絶頂したかわからない。
 どれほど時間が経過したのかも。

 やがて朦朧としたまま四つん這いにさせられ、腰を高く上げるよう促されて、言われた通りにすると、ずぶりと猛々しいものに貫かれた。

 「は、ああ……っ!……ふ、ん!!」
 
 掠れた声を上げながらのけぞったその顎を取られて、別の剛直が突き入れられる。
 喉奥まで一気に侵入され、えずきそうになったのがわかったのか。すぐにいったん引き抜かれて、一呼吸ののちまた突き込まれる。

 上からも下からも力強く突かれ、揺れる胸も弄り回され、「宝石」も容赦なく擦られて、私は朦朧としたまま腰を振り、舌と唇を滑らせて、ひたすら快感に酔いしれる。

 「わかるまで、抱くしか、ないのか?リヴェア?」

 私の腰を掴み、叩きつけるようにナカを穿ちながらシグルド様が言う。
 時折角度を変えて突かれ、片足を抱えあげられて責め立てられ。わずかな羞恥と圧倒的な快感に成す術もなく身を任せる。

 「リア。……あなた以外に、反応しないと、言ったでしょう?」

 オルギールの淫靡な声が囁きかける。
 頭を撫で髪を梳き、ときおり胸をいたずらしながら、怒張したもので私の咥内を蹂躙する。

 「覚悟してくれ、リヴェア、放さないし、帰さない」
 「ふん、んん、んんんん!」
 「これはあなただけのもの。覚えて、リア」
 「くううううううん!」
 
 喉とナカと。
 上下の最奥を激しく突きながら、二人は果てた。
 胎内に熱いものが広がる。
 飲みきれない白濁が唇から零れる。
 
 一度では終わらなかった。
 オルギールは、さっき私を抱いたけれど終わってはいなかったからやむを得ないとはいえ。
 シグルド様は二度目のはずなのに。
 執拗に何度も抱かれた。何度も何度も。
 オルギールに下から貫かれ、シグルド様のものを上の口で受け止める。
 それを繰り返した後、最後には香油を垂らして、後ろと前、同時にされた。
 私が後ろが苦手なのをわかっていてそうしたのだ。自分たちの気持ちを理解していない、あなたのせいだ、と言って。

 ……愛されている、と思う。もしかすると、私が愛しているよりも何倍も深く、激しく。
 ここまでされないと実感できない私はどこかおかしいのだろうか。
 そして、「わかるまで」と言って甘く責め立て、快楽に堕とす彼らは正しいのかもしれない。

 声を上げる体力も気力もなくなったころ、私は意識を手放した。
 



 ──気絶してそのまま寝台に突っ伏して眠ってしまったらしいが、不意に抱き起されて口移しに水を飲まされた。
 視界に紅いものがよぎる。シグルド様だ。

 上手く嚥下できなくて零してしまうと、丁寧に口元を拭ってくれて、もう一度水を飲ませてくれる。
 うっすら目を開けるとシグルド様は私を見下ろして甘く微笑んだ。

 「リヴェア、気分は?」
 「シグルド様……」

 声が出ない。喉がひりひりする。
 からだもだるい。
 
 けれど、病気でもケガでもないから、私は少し無理に笑んだ。
 
 「だいじょうぶ……」
 「よかった」

 シグルド様は破顔して私の頬にくちづけた。
 やわらかく私の片手を握っているけれど、この程度はいつものこと、想定内である。

 「オルギールは帰った。‘影’の報告を聞く用事があるのだそうだ」
 「そう……?」
 
 軽いくちづけをたくさん受けながら、私はうっとりと言った。
 事後に姿が見えないのは少し寂しいけれど、シグルド様がいてくれる。
 ひとりじゃないからいい。
 
 「シグルド様がいて下さるから、いい」

 とんでもなく甘えたことを口にしてしまい、自分で自分にびっくりしていると。
 
 「姫……!リヴェア……!!」

 シグルド様は空色の目を見たことがないほどに見開いて、私の名を呼んだきり絶句して。

 ぎゅううううう!と抱きしめられた。
 裸の胸がシグルド様の逞しい胸板に潰されてちょっと痛い。
 腕ごと抱きしめられているからろくに手が動かせないけれど、手首から下だけ必死に振り回してシグルド様の腰周りをぴたぴたと叩いた。
 
 「リヴェア……!」
 「シグルド様、痛いです、落ち着いて」
 「リヴェア、ああ、リヴェア!!」
 「シグルド様ってば!」

 もとより掠れ声しか出なくなっているのだ。抵抗は弱々しいだろうし、まるで説得力がない。
 腕の力は緩められたものの、せっかくついさっき抱き起してくれたばかりなのに、また押し倒された。

 「リヴェア。放さない、帰さない、と言ったのを覚えているか?」

 熱い息を吐きながら、シグルド様は言った。

 「え……?」

 最中の睦言に過ぎないのではなかったのか。
 さすがにそれを口に出す愚を犯すことはなかったのに、まるわかりだったらしい。
 シグルド様は彼にしては珍しく皮肉っぽく唇の端を釣り上げて。
 
 「戯言ではない。証明しよう、リヴェア」
 「あの、え、また、……!?」
 「優しくする、つもりだから」 
 「ちょっと、‘つもり’って、あ、シグルド様っ!」

 胸に手がかかる。お尻を撫でられる。
 喉元を舐められる。

 爽やかで優しい「火竜の君」との怒涛の数日が始まったのだ。
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