7 / 12
七話 記憶
しおりを挟む
ラクサの花がまた咲いて、そして散って、梢に葉が生い茂るころ。領主に代替わりがあり、俺と同年代の御子息が当主となられた。
年代が同じというだけで、俺とは比べるべくもない、優秀な方だ。騎士でもある。見識も深く情もある。これから長くお仕えしたい方だ。
その方が、代替わり直後の視察先で事故に遭われ、献身的な看護を受けたと連れ帰ったのは、「妹」だった。
確かにそれは、とても美しい女性だった。
健康的で、大輪の花のような明るい笑みを浮かべ、手入れのされた髪と肌と指、たおやかな所作。
すっかり大人になっている。けれど見間違えるはずがない。
「妹」だ。
「リゼ……」
俺の呟きに気がついたのか、女はこちらに視線を寄越して、そして、唇の端をほんの少しだけ持ち上げて見せた。
お兄ちゃん、と呼ばれた気がした。
ついに追いつかれた。ぶるりと体が震えた。
それから、俺は必死だった。
領主が籠絡されては、この領地も、俺たちの暮らしも、おしまいだ。「妹」の異質さもさることながら、後ろにいるはずの詐欺師の強欲さも際限なく、領地を干上がらせるまで吸い付くだろう。
俺は「妹」がいまだに詐欺師と繋がっていることを疑わなかった。「妹」が、俺に名乗り出ないことも、疑いに拍車をかけた。
俺は徹底して「妹」に張り付いて行動を探り、自ら街の暗がりを駆け回り、また情報屋の繋がりを駆使して、奴らに関する情報を探った。
どんな思惑があるのか、「妹」は俺のすることに何の反応も見せなかった。
ただ、時折目が合うと、その目が三日月に歪む。
お兄ちゃん。不幸そうね。嬉しいわ。
そう言われている気がしてならなかった。
目を離すのが恐ろしく、俺は家にも帰らず、ただ「妹」にだけ全神経を向けるようになっていた。
半年ほどかけて、「妹」が詐欺師と結託をして、裕福な家に入り込み、当主や周りの人間を絡め取り、洗いざらいの財産を差し出させるのを繰り返してきていたことを、はっきりと掴んだ。
被害にあった者の中には、一家離散や一家心中をした家が多く、直接の証人を見つけるのに苦労をした。情報屋たちでさえ、眉を顰めた程だった。
読みと違ったのは、その詐欺師は既に被害者の一人に刺されて、死んでいたこと。ただそのおかげで、財産の動きを示す物証は溢れるほど見つかった。「妹」は証拠隠滅に詐欺師ほど熱心ではなかったらしい。
主犯の一人は死亡していたが、証言と証人は手に入れた。
俺はそこに至って初めて、領主に懇願してこのことを直訴し、俺の全て経歴を晒して「妹」の危険性を訴えた。
そのころには、「妹」はすっかり領主のお気に入りの客分として、領地でも破格の待遇を受け、本館に部屋を与えられ優雅な生活を送っていたので、この直訴が功を奏すかどうかは、分の悪い賭けだと思っていたのだが。
聡明な領主は、すでに「妹」の本質に勘づいておられたらしい。
「お前があまりに必死だったので、お前に任せてみようと思っていたのだ。素人にしてはなかなかよく調べた。これがあれば、今すぐ捕らえて問題なかろう」
なんと、日頃親しくなさっている王太子殿下のご協力までいただいて、被害の全貌把握と被害者の救済、端下な協力者の洗い出しと捕縛まで約束してくださった。
目の前で次々と指令が下され、騎士や兵士たちのみならず、多くの文官たちがすぐさま動き出すのを見た。彼らの優秀さは、領民としてよく知っている。
俺は、抜け殻のようになった。
「奥方に感謝せよ」
と領主はおっしゃった。
「彼女の家は、代々当家の家財管理の一端を担って来た。彼女とも親睦の会場などで話をしたことが一、二度ある。執事見習いとして堅実に努めてきたお前が、かの家に入ったのは、お前にとって喜ばしいことだった。
その奥方から、お前の不謹慎な噂について謝罪の手紙を何度も受け取った。知っているか?——知らないか。そうだろうな。
今回は許容したものの、本来の職分も家庭もそっちのけで調査にのめり込むなど、己の大切なものを疎かにする人間は、信用し難いものだ。心を改め、奥方を大切にせよ。
奥方には何の事情も話してはいないようだが、弱っている心には、魔が付け込むぞ。早急に、よく互いに話をせよ」
理解は、できていなかったと思う。
精神の緊張が切れて、俺は抜け殻で、しかもふやけていた。
領主のお言葉のどれほども頭に入らず、ともかくも、ようやく家に帰れると領主の屋敷を辞したのだ。
だが俺の足取りは、家に近づくにつれ次第にトボトボとなり、しまいには、家へと曲がる最後の角で、立ち止まってしまった。
俺は、もう長く、妻の顔を見ていなかった。
歩きながら反芻していた領主のお話が本当なら。妻の家に俺との結婚で得るものはないのだ。この結婚はきっと妻が、俺を救おうとして持ちかけてくれたのだ。俺に負担をかけないようにと、結婚によって彼女の家が得る、ささやかな利の話などして。
なのに俺は、最後のチャンスを失いたくないとそればかりで、彼女の思いやりに気づきもせず。
しかもちっぽけなプライドで格好付けたがって、三年はお試し期間だ、契約結婚にしようなどと言い出した俺は、とんだチンケな勘違い男だ。
俺は、ただ、彼女と結婚できるなんて、夢のように嬉しいと、正直にそう言えばよかったのに。
日が沈んで、吹き寄せる冷たい風が、薄汚れた季節外れの服を着た俺を、芯から凍えさせた。
職場の泊まり込みはいい顔をされない。設備もない。空き部屋の床を借りて眠り、住み込みの同僚たちに無理を言って、時に洗い場を借りて身体と衣服を洗って過ごしていたのだ。
自分の見窄らしさに、愕然とした。
領主屋敷の執事の一人として、あり得ない服装だ。これでまともに勤めていたと思っていたのだから、俺は相当に追い詰められていたらしい。
領主が俺に任せてみようと思って下さらなければ、きっとすぐさま解雇になり追い出されていたはずだ。
いかに周囲が見えていなかったのか。思い至って、羞恥に倒れ込みそうになった。
領主が、「妹」を連れて屋敷の玄関に立たれた時から、記憶の細部が曖昧だ。
あれは、夏のことだった。
いつの間にか、冬。
いや、曲がり角の家の庭に、ラクサの木が大きく道まで枝を張っている。その枝にたくさんついた蕾が、既にふたつみっつ、綻んでいる。
冬どころか、春が来ているのだ。
ぼんやりと妻の柔らかな笑顔を思い浮かべる。だがそれは、春の雨に霞むラクサの並木のように、おぼろで頼りない。
会いたい。
会いたくてたまらない。
だが、まだ彼女は、待っていてくれるだろうか。
立ち竦む俺の耳に、角の向こうから、近づいてくる小さな足音が届いた。
妻だろうか。そう思って、日の落ちたこの時間にあり得ないと打ち消した。
その時、背後に人の気配が突然現れて、俺は冷たい手で心臓を掴まれた心地で振り返った。
『お兄ちゃん』
「妹」が、感情のうかがえない冷たい笑みを浮かべて、そこに一人で立っていた。
いや果たしてそれは、実体なのか。「妹」の体を透かして、向こうの暗い道が見える気がして、俺は目を擦った。
「旦那様?」
さらに背後から呼びかけられて、俺は今度こそ、飛び上がった。
会いたかった人の声。
振り返った先には、なぜか手に箒を持った、妻。妻、妻だ。
妻の名を呼ぼうとした時。
風が吹いた、と思ったのは、ラクサの木がざわざわと揺れたからだ。
粘っこい響きの音が、俺の耳に届いた。
『私の愉しみを、邪魔するなんて。ひどい人よね。私は、幸せだったのに。みんなが不幸になって、幸せだった。どうして邪魔したの…? 昔一緒に逃げなかったことを、許せなかったのかしら。もう飽きたからと放っておいたからかしら……?
でも、いいことを知ったわ。相変わらず不幸そうだと思ったのに、また隠してたのね。結婚していたなんて。最高だわ。
——ねえ、知ってる? 手に入れた幸せを失う時が、一番不幸なのよ…?』
気づけば、いつの間に近づいたのか、妻を覗き込むようにする「妹」の姿を見た。手を伸ばして、妻の体に触れようとしている。
心臓が縮み上がった。
俺は、ばね仕掛けのように走り出しがむしゃらに二人を引き離した。
「きゃあっ」
衝撃で妻がよろめいた時。
今度こそ、強い風が吹いて。
ふつりと、「妹」の姿は描き消えた。
「リゼ?」
昔呼んでいた「妹」の名を呼んでも、通りはしんとして、こそとも音がしない。
「リゼ?」
もう一度呼ぶ。
なにやら奇妙に焦りを感じて、俺は走り出した。
領主のもとに行かなければならない。
「妹」が逃げ出したなら、知らせなければならない。
それだけが、頭を占めた。
年代が同じというだけで、俺とは比べるべくもない、優秀な方だ。騎士でもある。見識も深く情もある。これから長くお仕えしたい方だ。
その方が、代替わり直後の視察先で事故に遭われ、献身的な看護を受けたと連れ帰ったのは、「妹」だった。
確かにそれは、とても美しい女性だった。
健康的で、大輪の花のような明るい笑みを浮かべ、手入れのされた髪と肌と指、たおやかな所作。
すっかり大人になっている。けれど見間違えるはずがない。
「妹」だ。
「リゼ……」
俺の呟きに気がついたのか、女はこちらに視線を寄越して、そして、唇の端をほんの少しだけ持ち上げて見せた。
お兄ちゃん、と呼ばれた気がした。
ついに追いつかれた。ぶるりと体が震えた。
それから、俺は必死だった。
領主が籠絡されては、この領地も、俺たちの暮らしも、おしまいだ。「妹」の異質さもさることながら、後ろにいるはずの詐欺師の強欲さも際限なく、領地を干上がらせるまで吸い付くだろう。
俺は「妹」がいまだに詐欺師と繋がっていることを疑わなかった。「妹」が、俺に名乗り出ないことも、疑いに拍車をかけた。
俺は徹底して「妹」に張り付いて行動を探り、自ら街の暗がりを駆け回り、また情報屋の繋がりを駆使して、奴らに関する情報を探った。
どんな思惑があるのか、「妹」は俺のすることに何の反応も見せなかった。
ただ、時折目が合うと、その目が三日月に歪む。
お兄ちゃん。不幸そうね。嬉しいわ。
そう言われている気がしてならなかった。
目を離すのが恐ろしく、俺は家にも帰らず、ただ「妹」にだけ全神経を向けるようになっていた。
半年ほどかけて、「妹」が詐欺師と結託をして、裕福な家に入り込み、当主や周りの人間を絡め取り、洗いざらいの財産を差し出させるのを繰り返してきていたことを、はっきりと掴んだ。
被害にあった者の中には、一家離散や一家心中をした家が多く、直接の証人を見つけるのに苦労をした。情報屋たちでさえ、眉を顰めた程だった。
読みと違ったのは、その詐欺師は既に被害者の一人に刺されて、死んでいたこと。ただそのおかげで、財産の動きを示す物証は溢れるほど見つかった。「妹」は証拠隠滅に詐欺師ほど熱心ではなかったらしい。
主犯の一人は死亡していたが、証言と証人は手に入れた。
俺はそこに至って初めて、領主に懇願してこのことを直訴し、俺の全て経歴を晒して「妹」の危険性を訴えた。
そのころには、「妹」はすっかり領主のお気に入りの客分として、領地でも破格の待遇を受け、本館に部屋を与えられ優雅な生活を送っていたので、この直訴が功を奏すかどうかは、分の悪い賭けだと思っていたのだが。
聡明な領主は、すでに「妹」の本質に勘づいておられたらしい。
「お前があまりに必死だったので、お前に任せてみようと思っていたのだ。素人にしてはなかなかよく調べた。これがあれば、今すぐ捕らえて問題なかろう」
なんと、日頃親しくなさっている王太子殿下のご協力までいただいて、被害の全貌把握と被害者の救済、端下な協力者の洗い出しと捕縛まで約束してくださった。
目の前で次々と指令が下され、騎士や兵士たちのみならず、多くの文官たちがすぐさま動き出すのを見た。彼らの優秀さは、領民としてよく知っている。
俺は、抜け殻のようになった。
「奥方に感謝せよ」
と領主はおっしゃった。
「彼女の家は、代々当家の家財管理の一端を担って来た。彼女とも親睦の会場などで話をしたことが一、二度ある。執事見習いとして堅実に努めてきたお前が、かの家に入ったのは、お前にとって喜ばしいことだった。
その奥方から、お前の不謹慎な噂について謝罪の手紙を何度も受け取った。知っているか?——知らないか。そうだろうな。
今回は許容したものの、本来の職分も家庭もそっちのけで調査にのめり込むなど、己の大切なものを疎かにする人間は、信用し難いものだ。心を改め、奥方を大切にせよ。
奥方には何の事情も話してはいないようだが、弱っている心には、魔が付け込むぞ。早急に、よく互いに話をせよ」
理解は、できていなかったと思う。
精神の緊張が切れて、俺は抜け殻で、しかもふやけていた。
領主のお言葉のどれほども頭に入らず、ともかくも、ようやく家に帰れると領主の屋敷を辞したのだ。
だが俺の足取りは、家に近づくにつれ次第にトボトボとなり、しまいには、家へと曲がる最後の角で、立ち止まってしまった。
俺は、もう長く、妻の顔を見ていなかった。
歩きながら反芻していた領主のお話が本当なら。妻の家に俺との結婚で得るものはないのだ。この結婚はきっと妻が、俺を救おうとして持ちかけてくれたのだ。俺に負担をかけないようにと、結婚によって彼女の家が得る、ささやかな利の話などして。
なのに俺は、最後のチャンスを失いたくないとそればかりで、彼女の思いやりに気づきもせず。
しかもちっぽけなプライドで格好付けたがって、三年はお試し期間だ、契約結婚にしようなどと言い出した俺は、とんだチンケな勘違い男だ。
俺は、ただ、彼女と結婚できるなんて、夢のように嬉しいと、正直にそう言えばよかったのに。
日が沈んで、吹き寄せる冷たい風が、薄汚れた季節外れの服を着た俺を、芯から凍えさせた。
職場の泊まり込みはいい顔をされない。設備もない。空き部屋の床を借りて眠り、住み込みの同僚たちに無理を言って、時に洗い場を借りて身体と衣服を洗って過ごしていたのだ。
自分の見窄らしさに、愕然とした。
領主屋敷の執事の一人として、あり得ない服装だ。これでまともに勤めていたと思っていたのだから、俺は相当に追い詰められていたらしい。
領主が俺に任せてみようと思って下さらなければ、きっとすぐさま解雇になり追い出されていたはずだ。
いかに周囲が見えていなかったのか。思い至って、羞恥に倒れ込みそうになった。
領主が、「妹」を連れて屋敷の玄関に立たれた時から、記憶の細部が曖昧だ。
あれは、夏のことだった。
いつの間にか、冬。
いや、曲がり角の家の庭に、ラクサの木が大きく道まで枝を張っている。その枝にたくさんついた蕾が、既にふたつみっつ、綻んでいる。
冬どころか、春が来ているのだ。
ぼんやりと妻の柔らかな笑顔を思い浮かべる。だがそれは、春の雨に霞むラクサの並木のように、おぼろで頼りない。
会いたい。
会いたくてたまらない。
だが、まだ彼女は、待っていてくれるだろうか。
立ち竦む俺の耳に、角の向こうから、近づいてくる小さな足音が届いた。
妻だろうか。そう思って、日の落ちたこの時間にあり得ないと打ち消した。
その時、背後に人の気配が突然現れて、俺は冷たい手で心臓を掴まれた心地で振り返った。
『お兄ちゃん』
「妹」が、感情のうかがえない冷たい笑みを浮かべて、そこに一人で立っていた。
いや果たしてそれは、実体なのか。「妹」の体を透かして、向こうの暗い道が見える気がして、俺は目を擦った。
「旦那様?」
さらに背後から呼びかけられて、俺は今度こそ、飛び上がった。
会いたかった人の声。
振り返った先には、なぜか手に箒を持った、妻。妻、妻だ。
妻の名を呼ぼうとした時。
風が吹いた、と思ったのは、ラクサの木がざわざわと揺れたからだ。
粘っこい響きの音が、俺の耳に届いた。
『私の愉しみを、邪魔するなんて。ひどい人よね。私は、幸せだったのに。みんなが不幸になって、幸せだった。どうして邪魔したの…? 昔一緒に逃げなかったことを、許せなかったのかしら。もう飽きたからと放っておいたからかしら……?
でも、いいことを知ったわ。相変わらず不幸そうだと思ったのに、また隠してたのね。結婚していたなんて。最高だわ。
——ねえ、知ってる? 手に入れた幸せを失う時が、一番不幸なのよ…?』
気づけば、いつの間に近づいたのか、妻を覗き込むようにする「妹」の姿を見た。手を伸ばして、妻の体に触れようとしている。
心臓が縮み上がった。
俺は、ばね仕掛けのように走り出しがむしゃらに二人を引き離した。
「きゃあっ」
衝撃で妻がよろめいた時。
今度こそ、強い風が吹いて。
ふつりと、「妹」の姿は描き消えた。
「リゼ?」
昔呼んでいた「妹」の名を呼んでも、通りはしんとして、こそとも音がしない。
「リゼ?」
もう一度呼ぶ。
なにやら奇妙に焦りを感じて、俺は走り出した。
領主のもとに行かなければならない。
「妹」が逃げ出したなら、知らせなければならない。
それだけが、頭を占めた。
15
お気に入りに追加
361
あなたにおすすめの小説

クレアは婚約者が恋に落ちる瞬間を見た
ましろ
恋愛
──あ。
本当に恋とは一瞬で落ちるものなのですね。
その日、私は見てしまいました。
婚約者が私以外の女性に恋をする瞬間を見てしまったのです。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

【完結】小さなマリーは僕の物
miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。
彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。
しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。
※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)

極悪皇女が幸せになる方法
春野オカリナ
恋愛
ブルーネオ帝国には、『極悪皇女』と呼ばれる我儘で暴虐無人な皇女がいる。
名をグレーテル・ブルーネオ。
生まれた時は、両親とたった一人の兄に大切に愛されていたが、皇后アリージェンナが突然原因不明の病で亡くなり、混乱の中で見せた闇魔法が原因でグレーテルは呪われた存在に変わった。
それでも幼いグレーテルは父や兄の愛情を求めてやまない。しかし、残酷にも母が亡くなって3年後に乳母も急逝してしまい皇宮での味方はいなくなってしまう。
そんな中、兄の将来の側近として挙がっていたエドモンド・グラッセ小公子だけは、グレーテルに優しかった。次第にグレーテルは、エドモンドに異常な執着をする様になり、彼に近付く令嬢に嫌がらせや暴行を加える様になる。
彼女の度を超えた言動に怒りを覚えたエドモンドは、守る気のない約束をして雨の中、グレーテルを庭園に待ちぼうけさせたのだった。
発見された時には高熱を出し、生死を彷徨ったが意識を取り戻した数日後にある変化が生まれた。
皇女グレーテルは、皇女宮の一部の使用人以外の人間の記憶が無くなっていた。勿論、その中には皇帝である父や皇太子である兄…そしてエドモンドに関しても…。
彼女は雨の日に何もかも諦めて、記憶と共に全てを捨て去ったのだった。

近すぎて見えない
綾崎オトイ
恋愛
当たり前にあるものには気づけなくて、無くしてから気づく何か。
ずっと嫌だと思っていたはずなのに突き放されて初めてこの想いに気づくなんて。
わざと護衛にまとわりついていたお嬢様と、そんなお嬢様に毎日付き合わされてうんざりだと思っていた護衛の話。

私の完璧な婚約者
夏八木アオ
恋愛
完璧な婚約者の隣が息苦しくて、婚約取り消しできないかなぁと思ったことが相手に伝わってしまうすれ違いラブコメです。
※ちょっとだけ虫が出てくるので気をつけてください(Gではないです)

嘘だったなんてそんな嘘は信じません
ミカン♬
恋愛
婚約者のキリアン様が大好きなディアナ。ある日偶然キリアン様の本音を聞いてしまう。流れは一気に婚約解消に向かっていくのだけど・・・迷うディアナはどうする?
ありふれた婚約解消の数日間を切り取った可愛い恋のお話です。
小説家になろう様にも投稿しています。
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?

婚約者が他の令嬢に微笑む時、私は惚れ薬を使った
葵 すみれ
恋愛
ポリーヌはある日、婚約者が見知らぬ令嬢と二人きりでいるところを見てしまう。
しかも、彼は見たことがないような微笑みを令嬢に向けていた。
いつも自分には冷たい彼の柔らかい態度に、ポリーヌは愕然とする。
そして、親が決めた婚約ではあったが、いつの間にか彼に恋心を抱いていたことに気づく。
落ち込むポリーヌに、妹がこれを使えと惚れ薬を渡してきた。
迷ったあげく、婚約者に惚れ薬を使うと、彼の態度は一転して溺愛してくるように。
偽りの愛とは知りながらも、ポリーヌは幸福に酔う。
しかし幸せの狭間で、惚れ薬で彼の心を縛っているのだと罪悪感を抱くポリーヌ。
悩んだ末に、惚れ薬の効果を打ち消す薬をもらうことを決意するが……。
※小説家になろうにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる