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第二章 異世界交流と地球人たちと邪神討伐

#51 エピローグ 違法奴隷殲滅戦②

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~~~~ドストル商会side~~~~

「何だと!! 断られたのか!?」

ワシの名はドストル、『ドストル商会』の会長だ。
我が商会はザウス帝国でも五本の指に入るほどの規模だ。
ワシは商会を立ち上げてからは儲かるものなら何でも扱ってきた。
武器、嗜好品、日用品から果ては奴隷までも・・・・。
最も儲かっているのは違法奴隷だがこれは公に利益を発表出来ない、それでも五本の指に入るのだから、実際の売上を考えればザウス帝国1の商会と言っても良いだろう。

だが最近は顧客だった貴族の大半が前の『邪神戦争』で戦死したり、没落したりで違法奴隷の売買にも陰りが見え始めた。
まだまだ貴族や騎士の人脈もあるが、新規に顧客を得る為に、最近出来た『迷宮国家』にも渡りをつける為、ワシの右腕を送ってみたが、その返答が『断る』だった。

あそこの役人のトップはかつてトリカールを牛耳っていたマフィア『ケイオス』のボス、ランドだ。
少し前に捕まって、犯罪奴隷として働かされているらしい。
主に用心棒や、荒事で街を牛耳っていたらしく、違法奴隷や薬物の噂は聞かなかったが、奴隷からの解放を条件にすればこちらに靡くと思ったのだが・・・。

「犯罪奴隷からの解放は言ったのか?」
「はい、ですが「そんなものはいらない」と簡単に断られました」
「馬鹿な! 犯罪奴隷が自分達で身請けするには莫大な金と雇い主からの承認がいるんだぞ」
「それと・・・」
「なんだ?」
「その、違法奴隷からは足を洗った方が良い、と言われました」
「は?」
「それがランドが言うには「お前らは既にタツキ様の怒りを買っている」らしいです」
「なんだそのタツキとは?」
「分かりません、詳しく聞くことは出来ませんでした」

『バタンッ!』

扉が乱暴に開かれ、警備主任が駆け込んできた。

「騒々しい!! 何事だ!」
「大変です! 奴隷倉庫が何者かの襲撃を受けました!」
「何だと? 警備のものは何をしていた!」
「それが・・・部下たちは皆殺されていました、中の奴隷は全て逃げたと思われます!」
「何だと!? 騎士団が来ても対抗出来るだけ居ただろう」
「はい、手練れの者30名が警備にあたっておりましたが、突然連絡がとれなくなり確認に行ったところ全員が死んでいました」
「馬鹿な・・・1時間毎に連絡していたはずだ、そんなに短時間でやられたのか?」
「はい、しかも全員がミイラのように干からびて死んでおりました、恐らく相手は1人だと思われます」

『トン、ドスン』

そういうと警備主任は、突然背後に現れた執事?のような男に倒された。

「き、貴様何者だ!」

「初めまして、私はザウスと申します、迷宮国家にてタツキ様、テルミーナ様に仕える執事でございます」

ザウスとやらは、そう言うと綺麗な礼をして話始めた。

「この度は違法奴隷組織の殲滅を主に命ぜられた為、やって参りました、『ドストル商会』会長のドストル、それとその右腕ラインですね、それでは捕縛させてもらいます」

「ふざけるな! 誰かこいつを捕まえろ!」
「無駄ですよ、全員眠って貰いましたから」
「なっ!」

そしてワシの意識はそこで途絶えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

~~~~ザウスside~~~~

「もう終わっちゃったんですか? 流石ザウスさんですね」
「ミカエラですか、そちらも問題ないようですね」
「はい、倉庫にいた奴隷はうちのお屋敷に向かわせました、冒険者に護衛してもらってますから大丈夫でしょう」
「それにしても全員の血を抜いたのですか? やりすぎでしょう」
「無関係の人間には何もかもしてませんから、それに血は飲んでませんよ」
「そういえば貴女は自ら魔術と儀式で成った『真祖』の吸血鬼でしたね、血を扱うのはお手の物ですか」
「何言ってるんですか、ザウスさんこそ武術を極めに極めて『仙人』に成ったとか意味不明ですよ」
「昔の話ですよ、そう言えば最近は血を飲みたがりませんね? 血の渇望は無いのですか?」
「・・・タツキさんの血って凄く美味しいんです」
「まさか飲んだんですか?」
「はい、タツキさんは一度寝ると全然起きないんですよ、試しに飲んでみたら凄く美味しいんです」
「確か血を飲むと性欲も抑えられなくなりませんでしたか? まさかタツキ様を襲ったんですか?」
「それが・・・余りに美味しくて、そのまま満たされて果てちゃいました(照)」
「そ、そうですか(呆)」
「あの血を飲んだらその辺の人の血なんてもう飲めません、もう魔力がたっぷりで、複雑な味わいで、表現出来る言葉が見つからないんです」
「・・・まぁそれはいいとして、後はこの国の衛兵に任せましょう、今頃タツキ様が後ろ楯も潰してるでしょうし、国王にも話を通してますからね」
「それにどれだけ飲んでも起きないんですよ、だからもう止まらなくて」
「ミカエラ、行きますよ(怒)」
「はい、分かりました」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

~~~~カスタールside~~~~

「侵入者だと? 何処のもんだ? 人数は?」
「侵入者は1人なんですが、外から弓で援護されているようで詳しい人数は不明です、あと所属は不明です」
「1人だと? そんなもん、さっさと片付けろ、弓の野郎も早く手勢を率いて殺ってこいや」
「それが・・・外に出たとたん射ぬかれます、もう10人以上殺られました、侵入者も獣人なんですが恐ろしく強いようで」
「冒険者崩れの用心棒が居んだろうが! とっとと向かわせろや」
「もう殺られました」
「はぁ?」

『ドカンッ!ドカンッ!』

「ぎゃぁ!」「ぐわっ!」

俺が呆れていると、壁を貫通した矢が目の前の部下2人を射ぬいた、つーか何だよ壁を貫通ってよ! 逃げ場無しかよ!

「お前が『カスタール』のボスか?」

振り向くと、槍を担いだ狼の獣人がこちらに向かって来ていやがる。

「お前らは何処のもんだ? 誰に喧嘩を売ってるのか分かってんのか?」
「・・・そうだな、一応名乗るか、俺たちは『迷宮国家タツキ』の君主、タツキ殿が配下グレイ」
「そして私も同じくタツキ殿が配下クレア、主の命により『カスタール』の殲滅に来たの」

いつの間にかもう1人、弓を携えた獣人が現れやがった。

「俺らの後ろに誰が居るか分かってんのか? あぁん!」
「もちろん分かっている、そっちも対処済みだ、ではさようなら」

『ドスンッ!』

「畜生・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

~~~~グレイside~~~~

「こいつを衛兵につき出して終わりか、後は他に奴隷が居ないか確認しよう」
「そうね、それにしてもタツキの作った弓は凄いわね、強度もそうだけど、魔力の通りが段違いよ、お陰で狙撃が簡単、誘導も出来るし何より威力が段違い、全力で射ったらどうなるか分からないわね」
「それを言うならこの槍も凄いぞ、軽く試したがどれだけ魔力を込めても限界が無い、それに伸ばしたりも出来るしな」
「もう鍛冶の腕はジルベルトさんに並ぶわね」
「そうだな、さて、早く用事を済ませて屋敷に帰ろう」
「そうしましょう」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

~~~~テルミーナside~~~~

「ねぇジル? どうやって攻める? 魔法でまとめてぶっ飛ばす?」
「それは駄目じゃろう、あの屋敷には何も知らない使用人もおるしの、ワシは正面から行きますのでテルミーナ様は援護をお願い出来ますかのぅ?」
「オッケー!」
「それと無関係の者は殺さないようにせんとな」
「分かったよ!」
「では行きますか」

そのまま屋敷に向かっていき、邪魔する私兵たちは軽く薙ぎ払って突き進む。

「ねぇジル、何で柄で倒すの? 鎚は使わないの?」

『ゴゴンッ! ゴンッ!』

「鎚の部分だと手加減出来んからのぅ」

『ドッカン!』

「何で門じゃなくて壁に穴開けるの?」

「タツキの作った大鎚の性能を見たくてのぅ、人で試しても分からんのじゃ」
「それでどうだったの?」
「鍛冶の腕はワシと同じかそれ以上じゃ、ここまで成長しているとは嬉しいのぅ」

『ドッカーーーン!』

『ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!』

「そろそろ着きそうだね」
「逃げてないといいのじゃが」
「大丈夫だよ、ちゃんとこの屋敷全体に結界張ってあるから」
「それなら安心じゃ、どっこいしょっと!」

『ドッカーーーン!!』

「き、貴様ら! ここはムスカル伯爵の屋敷だぞ! 何のつもりだ!」
「ちゃんと知ってるよ、貴方は誰なの?」
「ムスカル伯爵私兵団長、トマス・ヘンドリクソンだ、貴様ら不敬罪で死罪だぞ!」
「五月蝿いのぅ、ほれ!」

『ゴゴンッ!』「ぐぎゃぁ」

「伯爵とやらは何処に居るのかのぅ?」

『バンッ!』

「逆賊どもめ! ここが貴様らの墓場だ! 全員かかれ!」

後ろの扉から騎士数人と太って偉そうなやつが入ってきた。

「やっと出て来おったか」
「火炎弾×10!!」

『ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!』

「「「「「ぎゃぁぁぁ」」」」」

「・・・・テルミーナ様、見も蓋もないですじゃ(汗)」
「だってもう飽きたよ、全然歯応え無いしつまんない、早く帰ってタッチャンとイチャイチャしたいんだもん」
「・・・では捕縛は外に控えている王国軍に任せて帰りますぞ」
「やった~、じゃあ『ゲート』で帰ろう!」
「一応説明してからにしましょう、少し待ってて下され」
「は~い」
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