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第二章 異世界交流と地球人たちと邪神討伐

#26 関所とローザとエルア

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『エルニア』への行程はまずサイファン山脈へ向かう。
そして山を越えて森に入る前に『エルニア』への関所があり、そこから先はひたすら森が広がっている。

ぶっちゃけ浮遊バイクでずっと行こうと思っていたが、サイフォン山脈に着いてから予定を変更して歩く事にした。

エルフの国への道は山と山の間の裂け目、もしくは谷間に道があり人目を避けて走るのが無理だった。
なので今俺は早めに歩いて谷間を進んでいる。
谷間の幅は大体10mから30mくらい、両方にそびえる岩肌は岸壁なのだが、人の手が入っているのようである程度整っている。
岸壁の高さは100m以上ありそうだな。

こうして歩いているが馬車や人はそれほど多くないので軽く走って、人の気配を感じたら徒歩に切り替えてる。
ぶっちゃけ普通に走っても『車かよ!』って速度になるから人前では歩いている。
山の方を浮遊バイクで飛んでくことも考えたが噂では『エルニア』が若干ピりついてる様なので正規の方法で目立たないように行くことにした。
つーか谷間に入る時に関所の門番にも心配されたしな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2日目の昼頃谷間の切れ目にたどり着いた。

道中色々作ったがそれは置いておこう。

目の前の関所は谷間を塞ぐ形で木材で建てられていて、高さは50mくらいかな?
大きな門があるが今は閉じられている。
つーかどこから入るんだ?
衛兵も見当たらない。

良く見てみると関所の2階ぐらいの位置に人影が見える、取り敢えず話しかけるか。

「すいませ~ん、誰か居ませんか~?」

しばらく待つと関所の端にある普通のドアからエルフの男性が出てきた。

「何か用か?」

なんかえらい不機嫌っぽいな。

「『エルニア』に行きたいんで通りたいんですが、通っていいですか?」
「あ~駄目だ駄目だ、今はエルフ以外は特例でも無い限り通れない!」
「何でですか?知り合いに会いに行きたいんです、それでも駄目なんですか?」
「駄目だ!紹介状や事前に連絡が入って無い限り通せない!」

困ったな、連絡方法は無いし、そもそもエリーさんが『エルニア』の何処に住んでるかも知らないしな。
強行突破は不味いよな(汗)

「ちなみに勝手に入ったら罪になりますか?」
「なるに決まってるだろう!」

う~ん、どうしよう(汗)
夜中にこっそり行くかな?でもバレた時エリーさんに迷惑かかるしな~~。

どうするか悩んでいるとエルフの男性が聞いてきた。

「そもそも誰に会いに行くんだ?相手はエルフなのか?」
「エリーさんです、確かエリザベートって名前だったと思いますよ」
「・・・良くある名前だな、どんな人なんだ?」
「?えっとエリーさんは錬金術が得意ですよ、2年前に教えてもらっていました、髪は金髪で見た目は20才くらいですね」
「・・・(汗)」
「どうしました?」
「何かそのエリザベート様の教え子である証拠はあるのか?」
「エリザベート様?証拠ですか?う~ん参考書くらいかな」
「見せてくれ」

マジックバッグからエリーさんにもらった参考書を出す。

「これです」
「ちょっと確認させてくれ、あと君の名は?」
「タツキです、それとその本は大事なものだから返して下さいよ」
「わかった、ちょっと待っていてくれ」

そう言うとエルフの男性は関所に戻って行った。

~関所のエルフ~

「おい大変だ!」
「どうしたんだよ、外の女の子がお偉いさんだったのか?」
「違う、近いけど違う、エリザベート様の弟子の様なんだ」
「はぁっ!エリザベート様って先代の女王様のか?」
「そうだよ!確か2年前にしばらく留守にしたことあったろ、その時に錬金術を習ったらしいぞ」
「何言ってるんだよ、エリザベート様は魔法の弟子は数人いるけど錬金術は誰に頼まれても教えないことで有名だろ、お前知らないのか?」
「そんなこと知ってるよ!でも時期が合ってるし、それにこの本を見ろよ!」
「・・・なぁ、この本の裏にある紋章って王家の紋章じゃないよな?見間違いだよな?」
「間違いなく王家の紋章だよ!少し中見てみたけど全く内容がわからないぞ」
「本当だ、なんだこれ読めないぞ、何なんだよ」
「それに最後のページにエリザベート様の署名らしきものまであるんだよ(汗)」
「おいおいおいどうすんだよ!これが本物でも偽物でもあの女の子とんでもないぞ」
「そうだよな、取り敢えずどうするよ?」
「・・・すぐに上司に確認しよう、魔法を飛ばせば2時間あればわかるだろう、女の子には少し時間がかかるって伝えて来いよ、あと本も返してこい、こんなもん手元に置いとくのが怖い」
「それしかないな、わかった」

3時間後

「おい、返事が来たぞ!」
「何て書いてある」
「待て待て・・・・・・失礼の無いようにお通ししろ、だと」
「何だと!じゃあ本物なのか?」
「多分そうなんだろうな、すぐに開門だ!」

~タツキ~

『ゴゴゴゴゴゴゴゴ、ゴン』

「おっ、開いた」

「お待たせしました、確認がとれましたのでどうぞお通り下さい」

関所の中からエルフの男性が二人門の両端から話しかけてくる。

「ありがとう、それとエリーさんの居場所ってわかるかな?」
「それでしたら森の中心に向かって下さい、大樹のもとに行かれれば自ずと分かるかと思います」
「???取り敢えず、大樹に行けばいいんだな、じゃあな」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

『エルニア』の森は屋敷付近の森とは少し違っていた。
魔物は少ないし、森に人の手が入っている様で下草が少なく歩きやすい。
ジャングルと森林公園の違いみたいなものだな。
石畳を引いた街道は無いが、土が固められた道はある。
道から森を見ると奥の方は鬱蒼としている所もあり、木々は一様に大きく逞しい。
至るところに日本でなら大樹と言われてもおかしくない大木が生えている。

「つーか大樹『エルア』ってどっちだ?この道進めば良いのかな?」

分からないのでちょっと木に登ってどっちか見てみよう。


・・・・デケェ!
ヤベェ、ファンタジー舐めてた、何だあのデカさ!
これまで直径50mくらいのものを想像してたよ。
何だあれ、『アトラン』の街くらいデカイじゃん!
何だあれ!山か?どうなってんだ?

・・・・・取り敢えず行くか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

人目が無かったので浮遊バイクをすっ飛ばして次の日の昼頃には大樹に着いた。

着いたんだけどどうしよう(汗)

大樹の周りに街があるんだと思っていたんだが無かった。
そのまま大樹の前まで着いた。
大樹の大きさは良くわからん、まぁ街の外壁みたいな大きさだな。
そして一番分からんのが目の前の扉?だ。
何で木に扉?上の方を見ると窓の様に穴もいくつか空いている。

訳が解らずボケーとしていると扉が開く。

「お久しぶりですタツキ様!」
「ローザ!何でここにいるんだ?」

扉から出てきたのは屋敷にいるはずのローザだった。
エルフの女の子で年は18才なのだが、エルフは成長が遅いらしく、見た目は12才くらいかな。
耳は尖っていて金髪のロングヘアー、瞳はグリーンで非常にエルフらしい外見だ。
ローザは昔助けた奴隷の1人だ。
もちろん今は奴隷なんかじゃない。

「私は今『エルニア』で錬金術の修行をしてるんです」
「そうだったのか、エリーさんに教わってるのか?」
「はい、エリザベート様も連絡を受けてからずっと待ってますよ」
「連絡?関所からか、じゃあ案内してくれるか?ちょっとここ訳分からん」
「ふふふっ、私も最初はビックリしました、ここ『エルア』のことも道すがらお話しますね」
「頼んだ!」

道中聞いた話はこうだ。
『エルア』は大樹の名前であり、大樹の中の街の名前でもある。
『エルア』は内部は空洞になっているのでエルフは中に街を作っている。
『エルア』はこんな感じで内部は空洞だが、今も成長しているらしい。
そしてエリーさんは『エルニア』の先代の女王様!

『エルア』の中は思いの外明るかった。
採光の窓が至るところにあるし、所々魔法の光が灯されている。
歩いている人々はエルフが圧倒的に多い。
人族や獣人はあまり見かけない。
家は木造が大半だな、だが木の中なのに木が至るところに生えてるのは何だろう、変な感じだ。

案内されるまま進んでいくと大きな屋敷に着いた。

「ここがエリザベート様のお屋敷です」

それはダンジョンの屋敷以上に大きな家だった。
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