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第一章 出会いと修行と旅立ち
#11ー3 アトランに現れた妖精
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俺はアトランの街の冒険者ギルドのギルドマスター、ゴルディアスだ。
冒険者時代はSランクまで上り詰めた実績もある。
今でも鍛練は怠っていないので、その辺のAランク冒険者くらいには負けない自信もある。
まぁその話は今はいいな。
最近この街には2年前から妙な噂が流れている。
ある噂は、何ヵ月に一度どこからともなく妖精の様な美少女が街に現れる。
他には、鬼のような強さの美少女が、森からやって来ては魔物の素材を換金していく。
更には悪どい奴隷商人から奴隷を解放し、悪人を再起不能にしていく聖女がいる。
これらは全て同一人物の話だ。
2年前にふらっと冒険者ギルドにやって来た『タツキ』という少女の話だ。
『タツキ』はある日この街に現れた。
何故か猫の耳を着けた短めのコートに身を包み、真っ直ぐギルドのまでやって来た。
冒険者の中には新入りなどに因縁をつけたり、女と見れば見境無く口説くものなど様々いる。
いわゆる半端者も多い。
だがフードを取り、コートに身を包んだ『タツキ』に話しかけに行くものはいなかっらしい。
皆一様に見守るだけだった。
素材買取の受付に並びコートを脱ぎ、腰に着けた小さなポーチから数十体分の魔物の素材を出したと聞いた。
その後実際に取り出す様子を見ていたが、あんなに高性能なマジックバッグは長い冒険者生活の中でも数回しか見たことがなかった。
ギルドマスターとして『タツキ』が何者なのか確認する必要があると思い、俺の部屋に案内させた。
目の前で見た『タツキ』の容姿は控えめに言って美少女で間違いなかった。
深紅に染まった髪と揃いの色の瞳。
少し目付きが鋭いが整った顔立ちをしている。
肌は絹のように白く貴族の令嬢と言われても信じられる。
見慣れぬ服に身を包んでいるが、非常に似合っている。
恐らく100人中95人は美少女と思うだろう。
俺も若ければ惚れていたかもしれん。
しかし俺はギルドマスターとして『タツキ』の実力を計らねばならない。
少し可哀想だが弱めに『威圧』してみた。
しかし全く変化がない。
少し弱すぎたか、もう少し『威圧』を強くしよう。
・・・・おかしい?効いていない。
その後も『威圧』を強くするが全く効かない!
馬鹿な!
俺の『威圧』はオークすらも怯ませるぐらいなんだぞ。
その後話さない俺を不審に思ったのか、不穏な空気になってきたので『威圧』を止め普通に会話することにした。
話してみると礼儀正しいが世間の常識に疎いといった印象だった。
あれだけの魔物を狩れるのなら冒険者へと薦めたが断られたのは残念だったな。
しかし『タツキ』の実力が全く計れない。
街に害があるような感じは無いが、どの程度の腕なのか把握しておきたい気持ちはある。
領主には街に何か変化があったら報告するよう言われているので確認は必須だ。
『タツキ』が帰った後、調査専門の冒険者に連絡をとり『タツキ』の調査を頼んだ。
調査内容は『拠点』と『強さ』の2点だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日の昼頃冒険者から報告があった。
なんと尾行が『タツキ』に気づかれたとのことだった。
今回雇った冒険者のランクはA。
しかも調査に特化した冒険者だ。
ゴブリンの巣にも気づかれずに入り込み、巣の規模等を容易く調査できる腕がある。
しかも冒険者の感覚では最初から気づいていて、游がされていた気がするらしい。
・・・・・とんでもないな。
調査内容は『強さ』に関しては、街周辺の魔物は瞬殺とのこと。
『拠点』に関しては『タツキ』自身が森の奥に帰ると言っていたらしい。
そして冒険者の背後に瞬時に回り込み森の奥は危険だと警告して素早く森の奥に向かって行ったらしい。
冒険者も追いかけたが、すぐに引き離され見失ったとのことだった。
とりあえず領主には強さは不明だが悪人では無さそうだと報告しておいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから数ヶ月してまた『タツキ』が素材の買取窓口にやって来た。
もし尾行の事を追及されたら素直に認めて謝罪しようと思っていたが、全くその事には触れずに買取を済ませて去っていった。
それから2年、『タツキ』の服が女子たちの話題に上がったり、奴隷を解放した話が広まったり、何故か『タツキ』ファンクラブが密かに出来上がったりしてきている。
因みにギルドの職員も相当数がファンクラブに入っているらしい。
それにしても『タツキ』の正体は一体・・・・・。
冒険者時代はSランクまで上り詰めた実績もある。
今でも鍛練は怠っていないので、その辺のAランク冒険者くらいには負けない自信もある。
まぁその話は今はいいな。
最近この街には2年前から妙な噂が流れている。
ある噂は、何ヵ月に一度どこからともなく妖精の様な美少女が街に現れる。
他には、鬼のような強さの美少女が、森からやって来ては魔物の素材を換金していく。
更には悪どい奴隷商人から奴隷を解放し、悪人を再起不能にしていく聖女がいる。
これらは全て同一人物の話だ。
2年前にふらっと冒険者ギルドにやって来た『タツキ』という少女の話だ。
『タツキ』はある日この街に現れた。
何故か猫の耳を着けた短めのコートに身を包み、真っ直ぐギルドのまでやって来た。
冒険者の中には新入りなどに因縁をつけたり、女と見れば見境無く口説くものなど様々いる。
いわゆる半端者も多い。
だがフードを取り、コートに身を包んだ『タツキ』に話しかけに行くものはいなかっらしい。
皆一様に見守るだけだった。
素材買取の受付に並びコートを脱ぎ、腰に着けた小さなポーチから数十体分の魔物の素材を出したと聞いた。
その後実際に取り出す様子を見ていたが、あんなに高性能なマジックバッグは長い冒険者生活の中でも数回しか見たことがなかった。
ギルドマスターとして『タツキ』が何者なのか確認する必要があると思い、俺の部屋に案内させた。
目の前で見た『タツキ』の容姿は控えめに言って美少女で間違いなかった。
深紅に染まった髪と揃いの色の瞳。
少し目付きが鋭いが整った顔立ちをしている。
肌は絹のように白く貴族の令嬢と言われても信じられる。
見慣れぬ服に身を包んでいるが、非常に似合っている。
恐らく100人中95人は美少女と思うだろう。
俺も若ければ惚れていたかもしれん。
しかし俺はギルドマスターとして『タツキ』の実力を計らねばならない。
少し可哀想だが弱めに『威圧』してみた。
しかし全く変化がない。
少し弱すぎたか、もう少し『威圧』を強くしよう。
・・・・おかしい?効いていない。
その後も『威圧』を強くするが全く効かない!
馬鹿な!
俺の『威圧』はオークすらも怯ませるぐらいなんだぞ。
その後話さない俺を不審に思ったのか、不穏な空気になってきたので『威圧』を止め普通に会話することにした。
話してみると礼儀正しいが世間の常識に疎いといった印象だった。
あれだけの魔物を狩れるのなら冒険者へと薦めたが断られたのは残念だったな。
しかし『タツキ』の実力が全く計れない。
街に害があるような感じは無いが、どの程度の腕なのか把握しておきたい気持ちはある。
領主には街に何か変化があったら報告するよう言われているので確認は必須だ。
『タツキ』が帰った後、調査専門の冒険者に連絡をとり『タツキ』の調査を頼んだ。
調査内容は『拠点』と『強さ』の2点だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日の昼頃冒険者から報告があった。
なんと尾行が『タツキ』に気づかれたとのことだった。
今回雇った冒険者のランクはA。
しかも調査に特化した冒険者だ。
ゴブリンの巣にも気づかれずに入り込み、巣の規模等を容易く調査できる腕がある。
しかも冒険者の感覚では最初から気づいていて、游がされていた気がするらしい。
・・・・・とんでもないな。
調査内容は『強さ』に関しては、街周辺の魔物は瞬殺とのこと。
『拠点』に関しては『タツキ』自身が森の奥に帰ると言っていたらしい。
そして冒険者の背後に瞬時に回り込み森の奥は危険だと警告して素早く森の奥に向かって行ったらしい。
冒険者も追いかけたが、すぐに引き離され見失ったとのことだった。
とりあえず領主には強さは不明だが悪人では無さそうだと報告しておいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから数ヶ月してまた『タツキ』が素材の買取窓口にやって来た。
もし尾行の事を追及されたら素直に認めて謝罪しようと思っていたが、全くその事には触れずに買取を済ませて去っていった。
それから2年、『タツキ』の服が女子たちの話題に上がったり、奴隷を解放した話が広まったり、何故か『タツキ』ファンクラブが密かに出来上がったりしてきている。
因みにギルドの職員も相当数がファンクラブに入っているらしい。
それにしても『タツキ』の正体は一体・・・・・。
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