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第一章 出会いと修行と旅立ち

#6 森と魔物とハンター

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今日から1ヶ月ほど、森で狩りをする。

グレイさんとクレアさんがいつもは森で狩りをしていたが、この4ヶ月ほど放置だったらしいのでかなり魔物が増えている。

なので森での狩りのついでに、ハンターとしての技術を教えてくれる。

「グレイさん、クレアさん今日からよろしくお願いします」
「おう、よろしくな」
「よろしくね、魔物と戦うことになるけど大丈夫?」
「多分、大丈夫かなぁ?ダンジョンでは何とかなりましたよ」
「じゃあ森に深くまで入らなければ、戦いは大丈夫だろう、あとは色々教えるよ」
「はい、よろしくです」
「でもやっぱり違和感がかなりあるわね」
「何がですか?」
「その格好よ、狩りに行く格好じゃあ無いわよ」
「まぁ、そうだな、事情はわかっているのだが・・・」
「まぁそうですね」

今日も防具は無い、つーか可愛い防具なんて解らん!

水色のブラウスに、ホットパンツ。
蜘蛛糸の黒タイツにブーツ、そして猫耳コート。
今日は腰にベルトを通し、左に小太刀、右にポーチを着けている。
ポーチはジルさんと作ったもので、中が拡張してある。
空間拡張はまだ出来ないのでジルさんにお願いしたが、ビックリするほど入るし、時間も止まり劣化しないらしい。
細々した道具はポーチに全部入った。
髪は最近は動き回る事が多いので、後ろでまとめている。
ポニーテールかな。
つーか、かなりのショートにしようとしたら、ミカさんとテルさん、クレアさんにまで反対された。
ゴムは無かったから蜘蛛糸を編んで、小さい輪にして多少伸び縮みするものを作った。
そしたら女性陣はみんな欲しがったのでかなりの数作るはめになった。

「一応武器はありますよ、服も並の防具より頑丈ですし」

小太刀を見せ、小太刀で軽く服を斬って見せるが、斬れない。

「うん、そういう問題じゃ無いな」
「そうね、街で遊んでる感じね」
「それは諦めましょう、文句は『可愛い呪い』に言って下さい、もしくはテルへお願いします」
「しょうがないな、無駄だし」
「そうね、今さら言ってもね」

そんなこんなで雑談しながら森に行く。

森はそこまでうっそうとしてないが、見通しが悪い。

「じゃあまずは魔物を探しましょう、魔力の放出は出来るの?」
「はい、こうですよね?」

いつも通り混ぜて光らせる。

「・・・テルミーナ様に教わったの?」
「はい、でも俺は放出量少ないらしいのでこれが限界です」
「何度も出来る?」
「はい、回数は大丈夫です」
「じゃあ、私がやってみるから、良く見ててね」

そういうと、クレアさんは自分を中心にしてドーム状に薄い魔力の膜を広げていった。

「こんな感じ、これが『索敵』の基本よ、やってみて」

やってみるが、どうしても穴が開く。
とりあえず薄く均一に伸ばす。

「まぁ最初からは無理だ、森にいる間は常に練習するんだ」

その後は魔法を使わない索敵方法も聞いた。
気配?を察知するらしい。

なんかふわっとした説明だったが、詳しく聞くと息づかいや体温、生命反応のようなものらしい。
なるほど・・・わからん。

これも何となく教えてもらったので、これから試して行く。
索敵も気配もそうだがやればすぐ出来る訳じゃない。
経験を積み重ねないと判断力が身に付かない。
これは自分の気配を隠す方法、体運びや息づかい、魔物の痕跡の探し方にも言えることだ。

その後は植物や薬草、魔物素材などの説明。

ぶっちゃけ覚えることが多い。

大半は慣れらしいので、慣れるまでがキツイ。
ただ森を抜けることや、植生を知ることは、俺の目的に必要なので頑張ろうと思う。

そんなこんなで森に入ってから2週間たった。

グレイさんとクレアさんにたくさん話を聞いた。
森の近くの街や、お金のこと、国や風習などだ。
わかった内容はこんな感じ

・森の近くに【アトラン】という街がある。
森が近いので、冒険者が多く活気のある街だ。
・冒険者とは魔物退治や、素材採取、ダンジョンや遺跡の探索などの依頼をこなしていく人々。
様々な街に冒険者ギルドの支部があり、登録する事で依頼を受ける事が出来る。
・お金は硬貨で別れており、
・鉄貨・銅貨・銀貨・金貨・白金貨
となっていて100枚で繰り上がる。
因みに物価は詳しくはわからない。
・グレイさんとクレアさんは冒険者登録はしてないが、時々素材をギルドに買い取ってもらい、小麦や調味料など必要なものを買っている。
・街に入るには預け金で銀貨2枚、ギルドカードがあれば無料らしい。

ちなみにお二人はラブラブだ。

バカップルじみた所は無いが、通じあってる感じが凄いわ。
何をするにしても、お互いの分かってる感が凄い。

俺も・・・・・彼女ほしいな、イチャイチャしたいな~。

まあそれは後でいいや。

あとは魔物は凄い居た。

試しに戦ってみたが、まぁ出てくる出てくる。
殴って、蹴って、斬って、殴られて、みんなで倒して解体してると、匂いと音でまた集まる。
4回ぐらい繰り返してやっと落ち着いたので、すぐに目立った素材を回収してすぐにその場を離れた。
因みに残った不要な素材は燃やした。

あとは街の方に行くと、街の冒険者に会うことがあるので、気を付ける様に言われた。

「そういえば、タツキは何故そんなに訓練するんだ?」
「何かやりたいこととかあるの?」
「う~ん、やりたい事も何もこの世界のことをまだ何も知らないですからね、まずは色々知りたいですね、なので死なない程度にはなりたいですよ」

((死なない程度?あれだけ攻撃受けても無傷なのに?))

「あとはもっと丈夫な服を作らないと駄目そうですね、何度か魔物の攻撃で破れましたから、まぁ自動修復で直りましたけどね」
「タツキ君は呪いがあるからね、動けなくなるんだっけ?」
「はい、戦闘中になったらヤバいですから」

最悪パンツ一丁になれば何とかなるけど、そこまで突き抜けた変態はごめんだ。

・・・あれ?

今も女装した変態か?

・・・・やめよう、考えない方がいいな。

「まぁ訓練は大体終わった、あとは慣れていくだけだ、そこで相談なのだが、私達は屋敷に戻ろうと思う」
「タツキ君はどうする?まだ2週間程残ってるから、森に残る?それとも一緒に帰る?」

どうしよう、できれば街に行ってみたい。
この世界の服とか、食べ物とか、家とか、どんな世界なのか知りたい。
あとは地球のこととか?

「街に行ってみてもいいですか?」
「街か、少しなら大丈夫じゃないか?」
「そうね、1日くらいなら大丈夫でしょ」
「じゃあちょっと行ってみます」
「それならこれを持って行くといい」

そう言うと小さな革袋を2つ渡された。
中を見ると金貨と銀貨が入っていて、もうひとつは薬瓶?が3つ入っていた。

「これはお金ですか?それと薬?いいんですか?」
「いいわよ、私達はあんまりお金も薬も使わないし、まだまだ屋敷にあるしね、それに無いと街に入れないし、あと薬2つは中級ポーションで1つが特級ポーション、効果は知ってるわよね?」

確か中級ポーションが骨折くらいなら治って、特級は軽い部位欠損まで治るって言ってたな。
つーかこの世界の薬は凄いよな、魔力があるからかな?

「はい、大丈夫です、ありがとうございます」
「それとこの通信魔道具も持っていってね、映像と音声を送ったりするから」
「了解です、首にかけときます」

通信魔道具は短い首飾りだった。

「あとお金が足りなくなったら、この森の魔物素材を売るといい、冒険者ギルドで買い取ってくれるぞ」
「了解です、試しに売ってみます、お邪魔虫は消えますので、お二人は思う存分イチャイチャして下さい(笑)」

ちょっと怒られた(笑)
でも二人とも赤くなってたな。

その後今の場所からの街の方向、森で気を付けること、あと薬草図鑑?みたいなものももらった、絵がついていて分かりやすい。
そして街のことは二人もあまり知らないので、気を付ける様に言われた。

それから2日、やっと街が見えてきた。
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