1 / 49
01_俺、誕生
しおりを挟む
「宅配でーす」
チャイムと共に、玄関先から声がした。そう、俺の家はオンボロハイツ。集合エントランスみたいな洒落たものは無い。宅配だって勧誘だって、ドアまで直通だ。
最近インターネットで買ったものは全て届いている。一体、何が届くんだ……? そんな思いでドアを開けた。
「海外からのお届けものですね、斉藤さんでお間違いなければサインお願いします」
ああ、あの時買ったアレか——
サインをし、大きな段ボール箱を受け取る。近頃の配達員は愛想がいい、笑顔で「ありがとうございました」と言うと、軽やかに階段を降りていった。
注文してから、二ヶ月は経っていただろうか。購入をした事なんて、すっかり忘れていた。面白い商品は無いだろうかと、中国のオンラインモールを見ていたときに見つけたものだ。
『RC-AVATAR(リアル コピー アバター)』
確かそんな商品名だったと思う。ブランド不明のスマートウォッチなどに混じって、ポツンと一点だけ販売されていたものだ。
キャッチコピーは、「ワンタッチで、もう一人の貴方を作ろう!」というもの。
日本円にして4万円程だったと思う。未だかつて無いほどにFXで大勝し、その喜びでベロベロに酔っていたはずだ。そうで無ければ、こんなデタラメグッズを買うのは、有名動画配信者くらいのものだろう。
だが、段ボール箱を開封して驚いた。商品が入っているケースがとても立派だったからだ。質感、光沢、デザイン、どれを取っても申し分無かった。思わず「おお!」と声を上げてしまった程だ。
そのケースを開けるとまず、真っ白でマットな光沢を放つ人形が出てきた。サイズは40cmくらいだろうか、手に取ってみるとズッシリと重い。裏返してみると、背中部分に指がすっぽりとハマりそうな、指紋認証リーダーらしきものがついている。深く考える事無く、人差し指を当ててみた。
『ピピッ』という甲高い電子音が聞こえた直後、人形は重さを増し、手から滑り落ちてしまった。床に落ちた人形は仰向けに転がり、グングンと大きくなっていく。驚きのあまり、思わず後ずさってしまう程だ。
人形の拡大が止まると、今度は体のパーツが少しずつ形成され始めた。鼻や性器の部分が盛り上がり始め、目の辺りはくぼみ始める。白いボディは徐々に肌の色味を帯び、頭髪や体毛が生えだした。
こ、これは……完全に……
俺だ……
チャイムと共に、玄関先から声がした。そう、俺の家はオンボロハイツ。集合エントランスみたいな洒落たものは無い。宅配だって勧誘だって、ドアまで直通だ。
最近インターネットで買ったものは全て届いている。一体、何が届くんだ……? そんな思いでドアを開けた。
「海外からのお届けものですね、斉藤さんでお間違いなければサインお願いします」
ああ、あの時買ったアレか——
サインをし、大きな段ボール箱を受け取る。近頃の配達員は愛想がいい、笑顔で「ありがとうございました」と言うと、軽やかに階段を降りていった。
注文してから、二ヶ月は経っていただろうか。購入をした事なんて、すっかり忘れていた。面白い商品は無いだろうかと、中国のオンラインモールを見ていたときに見つけたものだ。
『RC-AVATAR(リアル コピー アバター)』
確かそんな商品名だったと思う。ブランド不明のスマートウォッチなどに混じって、ポツンと一点だけ販売されていたものだ。
キャッチコピーは、「ワンタッチで、もう一人の貴方を作ろう!」というもの。
日本円にして4万円程だったと思う。未だかつて無いほどにFXで大勝し、その喜びでベロベロに酔っていたはずだ。そうで無ければ、こんなデタラメグッズを買うのは、有名動画配信者くらいのものだろう。
だが、段ボール箱を開封して驚いた。商品が入っているケースがとても立派だったからだ。質感、光沢、デザイン、どれを取っても申し分無かった。思わず「おお!」と声を上げてしまった程だ。
そのケースを開けるとまず、真っ白でマットな光沢を放つ人形が出てきた。サイズは40cmくらいだろうか、手に取ってみるとズッシリと重い。裏返してみると、背中部分に指がすっぽりとハマりそうな、指紋認証リーダーらしきものがついている。深く考える事無く、人差し指を当ててみた。
『ピピッ』という甲高い電子音が聞こえた直後、人形は重さを増し、手から滑り落ちてしまった。床に落ちた人形は仰向けに転がり、グングンと大きくなっていく。驚きのあまり、思わず後ずさってしまう程だ。
人形の拡大が止まると、今度は体のパーツが少しずつ形成され始めた。鼻や性器の部分が盛り上がり始め、目の辺りはくぼみ始める。白いボディは徐々に肌の色味を帯び、頭髪や体毛が生えだした。
こ、これは……完全に……
俺だ……
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる