リアル無人島でRPG(ロールプレイングゲーム)! 参加費は150万円!? この島で最強の魔法使いに俺はなる! —RPG ISLAND—

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LV-43:デビラ(前編)

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 2度目となったガーディアンタイタンとの対戦も、前回同様、2体に挟まれる形になった。グラウの話を聞いていた俺たちは、茶色のガーディアンタイタンには目もくれず、緑色のガーディアンタイタンに集中攻撃を仕掛けた。

「背後から大岩食らっても、一発くらいじゃ即死は無い! 総攻撃の後は、ナイリ! サーシャ! 回復を頼む!」

 作戦通り、俺たちは初手で緑色のガーディアンタイタンを葬り去った。回復の手段を失った茶色のガーディアンタイタンは、俺たちの敵では無い。最後はティシリィの斬撃の前に、大きな音を立てて倒れ込んだ。

「お疲れさまでした。さて、肝心のドロップアイテムは……『命の書』です! あとは……『魔除けの水晶』ですか」

「魔除けの水晶を持ってる人が、即死かHPが0になったときに、一度だけ無効にしてくれるんだって。使った時には割れちゃうみたい」

「おお、いいアイテムじゃんか! とりあえずは廊下に出て、エクラウスに報告しよう!」

 俺たちは新しいアイテムを手に、ガーディアンタイタンと対戦した部屋を出た。あまりに早く出てきた俺たちに、エクラウスさんは驚いている様子だった。

「おおー! 流石じゃな!! もう勝ったのか!」

「茶色には目もくれず、速攻で緑を倒したからな。それと、手に入れたぞ『命の書』!」

「これでエクラウスさんと一緒に進むことが出来ます!」

 エクラウスさんは「ありがとう、ありがとう」と、何度も礼を言った。



「それでは、新しいアイテムを誰が持つか決めましょうか」

「そんなの話し合うまでも無い。『命の石』を持ってるナイリを死なせるわけにはいかないからな。よって、ナイリが『魔除けの水晶』を持ってくれ。『命の書』は、サーシャだ。MPがギリギリまで減ったタイミングで、エクラウスを生き返らせる。そこで真っ新まっさら僧侶の出来上がりだ」

「ハハハ、真っ新僧侶って面白いね。私もそれでいいと思うよ。ちなみに、ヴァントスさんたちのパーティーは、まだ『魔除けの水晶』を使ってないの?」

「ああ。カイが『魔除けの水晶』も『命の書』も持っておるな。まあ、次の戦いでグラウを蘇生させるだろうから、『魔除けの水晶』は他の誰かに渡すかもしれんが……」

「次に戦うモンスターが何か分かりませんが、戦闘中に僧侶のMPが0になるのは厳しいでしょうね……どのタイミングで蘇生させるのでしょうか……」

「こうなるなら、ガーディアンタイタンの時に蘇生させておくべきだったろうの。今更言っても仕方ないが」

「まあ、他所のパーティーの事はいい。先を急ごう」


 解錠された扉を開けると、大きな階段が現れた。どうやら、1階へ向かっているようだ。そしてそこを上りきると、今度は大きな広間に出た。

「ホント、デカイ城だな……次はあの扉か」

 両開きの大きな扉の上には、バトル中を示すマークが点灯していた。ヴァントスさんたちのパーティーが戦闘中なのだろう。しばらく待っているとマークの点灯は消え、ヴァントスさんたちのパーティーが部屋から出てきた。

「おう、エクラウスか……」

 ヴァントスさんはじめ、全員が肩を落としている。全滅してしまったのだろうか。

「……ダメだったのか?」

「ベテルデウスに会うこと無く、全滅してしまったよ。この部屋の敵も厄介だぞ。頑張ってこい」

 そう言ってヴァントスさんは、エクラウスさんの肩を叩き、俺たちが来た道を戻っていった。

「ヴァントス……俺はインディたちと先へ行く。もし俺たちも負けたときは……また、バーで飲もうじゃ無いか」

 ヴァントスさんはこちらを振り向くこと無く、無言で右手を上げた。



「やはり、一度村に戻るべきじゃったな……グラウが生き返っても、僧侶のMPが無ければ勝てるものも勝てんじゃろう。まあ、何度もこの城に足を踏み入れたくない気持ちは分からんでもないが……」

「まあ、アイツらも次頑張ればいいさ……じゃ、気持ちを切り替えて、この部屋の敵をやっつけるか! エクラウスはもうイロエスの一員だ。そのつもりでな」

「ハハ、そうじゃったな、すまんすまん。ワシは後ろで戦闘状況を見ておく。何かあったら伝えるからの」

「はい、お願いしますエクラウスさん! それでは行きましょうか、みなさん!」

 そして、いつものようにティシリィが扉を開け、俺たちは中へと入っていった。

——————————
◆インディ(魔法使い)LV-85
右手・希望の剣[ETA]
左手・神秘の盾
防具・希望のローブ
アクセ・守りの指輪/神秘のネックレス
——————————
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◆ティシリィ(戦士)LV-84
右手・神秘の盾
左手・光りの剣[ETA]
防具・光りの鎧
アクセ・幸運のブレスレット/ツインイヤリング/神秘のネックレス
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——————————
◆ナイリ(賢者)LV-84
右手・ブレイブソード[ETA]
左手・神秘の盾
防具・ブレイブアーマー
アクセ・神秘のネックレス
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◆サーシャ(僧侶)LV-80
右手・氷塊の杖[ETA]
左手・聖母の杖
防具・聖母の法衣
アクセ・祝福の指輪/神秘のネックレス/雨の恵
——————————
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◆エクラウス(僧侶)LV-69
右手・銀河の杖
左手・神秘の盾
防具・神秘の鎧
アクセ・祝福の指輪/神秘のネックレス/雨の恵
——————————


「チッ、また部屋は空っぽか。どいつもこいつも、勿体ぶりやがる。さっさと出てこいってんだ」

 1階のはずなのに、この部屋も他の部屋同様、とても暗かった。特に天井は黒く塗りつぶされており、紫色に光っている何かだけが異様に目立っていた。

 ん……? あの紫色……

「あ、あれ……アイツの目じゃないか……?」

 俺が天井を指さすと、全員が一斉に天井に目を向けた。次の瞬間、ソイツは背中の羽を羽ばたかせ、ゆっくりと降りてきた。

「久しぶりだな、あの村で会って以来か……そこのジジイは初顔だな。ハハッ、えらく老いぼれた新人じゃないか」

「お、お前……なんだか変わったな……話し方も……そして、体もデカくなったんじゃないか……?」

 そうだ、コイツの名前はデビラ。確かに話し方も、体の大きさも以前と変わっている。端的に言うと、賢くなった上に強くなっているように見える。

「お前たちがアスドレク様……いや、もう『様』を付けるまでも無いか。アスドレクを倒したと聞いて、更に捕食に力を入れたよ。頭が良さそうなモンスターや、力がありそうなモンスターを食ってな。そして俺もとうとう、ベテルデウス様に一人前として認められた。
——そうだ、そろそろ俺も自分の城を持つのもいいな……南にもあるよな? 手頃なのが一つ」

「い……いい加減になさい! カウロや、クロトワの人々を皆殺しにした悪魔が!! あなただけは絶対に許さない!!」

「ああー……あの小汚い小さな村か。そう言えば、ワザと逃がした女と子供は生きて村に辿り着いたか? 目の前で男を殺した時の、女の目。思い出すだけでウケる……クククク……」

「お、お前は、絶対許さないから……! 戦士を選ばなかった事……ちょっと後悔してる……ティシリィ! 私の分も思いっきり、ぶっ叩いて!!」

「分かってるさ、サーシャ……コイツだけは粉々になるまで、ぶった切ってやる……覚悟しろ、デビラ!!」

 ティシリィはそう言うと、デビラに斬りかかった。
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