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二周目のハルはずる賢いside兄ディオン

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「偽の招待状では入れませんもの。そこでお断りをするのです。半頃でしたらまだ庭に何名か残っているでしょうし。どんなところで騒げば招待状が偽であることすら気づかない能無しということになります。」

・・・私はその言葉を聞いて一瞬固まった。

ん?

今なんて言った?

「・・・それ、いいね。」

それしか言えなかった。

ニコニコ笑いながらも目が笑っていなかった。

それだけあいつに恨みがあるということ。

あいつは一体ハルに何をしたんだ?

いつも温厚でまったく怒らないハルをこんなに怒らせるだなんて・・・。

とりあえず父上に報告に行くか・・・。






私はハルの部屋から出て、外に待機していた二人の侍女に目配せする。

そのまま廊下を進み、父上の執務室の前まで来た。

一周目の時間軸と何も変わらない屋敷。

ほんの一瞬ここがまだ一周目の時間軸だと勘違いしてしまうほど、同じだった。

ここが二周目だと確信できるのは、記憶があるだけが理由じゃない。

執務室の扉・・・。

見慣れた紋章がなかった。

皇室への忠誠を誓う印として刻んでいた紋章が変わっていた。

皇室を示す虎の紋章から我が家の紋章、龍の紋章に変化していた。

これは、父上にも記憶が戻ったと、そう見た方がいいな。

「父上、ディオンです。今、いいですか?」

そう尋ねれば、すぐに返事が返ってきた。

「ディオンか。ちょうどいい所に。入りなさい。」

父上からの話・・・?

もしかして、やはり・・・?

早とちりはよくない。

きちんと話を聞いたうえで判断しよう。

「失礼します。」

・・・母上も、いる・・・。

母上、まさか。

泣いている・・・?

「まずはお前の話から聞こう。」

「ありがとうございます。」

私はハルとの話を全て父上と母上に伝えた。

「そうか。ハル記憶が戻っているのか・・・。」

・・・にも?

つまり父上も?

「父上も記憶が?」

「ああ。私はなんて最低なことをしてしまったんだと後悔したよ。執務室の扉の紋章を見ただろう?」

ああ、あの。

やっぱりあれの意味は・・・。

「我が公爵家はもう二度と皇家に従わない。表は従うが裏では皇家の敵として動く。」

・・・反皇家派は大喜びだろうな・・・。

「ええ、あなた。私も賛成しますわ。あの子を傷つけた皇家を許しませんわ。もちろん私たちも。してしまったことをハルに謝罪しなければなりませんわ。」

母上も記憶があるのか・・・。

「ディオン。お前の話も許可しよう。偽の刻印だな。いっそのこと手紙の上の刻印も偽にしよう。さらに恥をかくぞ・・・。」

「ええ。そうね。それがいいわ!!」

・・・父上。

母上・・・。

ハルは本当に父上にそっくりですね。

・・・悪知恵が働くところとか・・・。

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