王族に拾われましたがまわりの人はよく思ってないみたいです

ルー

文字の大きさ
上 下
3 / 17
1章

3

しおりを挟む
「はい。どうぞ、入って。」
ハルシルフィが扉の方を向いて言った。
「失礼します。」
5人の女性が入ってきた。
「わたくし達はリリン様の専属侍女をさせていただきます、フレン、アイカ、ユウ、エリカ、ミウと申します。よろしくお願いいたします。」
そして洗練された動きで礼をした。
「よ、よろしくお願いいたします!」
「ちょっとリリン。あなたは仮にも一国の王女よ?丁寧にしゃべらなくてもいいのよ?」
「は、はい。」
コクンと頷いたリリンを見てハルシルフィはため息をついた。
「そういうことでリリン様をお貸しください。部屋へ案内させていただきます。」
「分かったわフレン。その代わり終わったらわたくしの部屋に連れてきてね。」
「かしこまりました。」
リリン専属の侍女はリリンを連れて去って行った。
「いかがでしたか?」
「あら。スノー。いたの?」
「ええ。わたくしは、存在そのものが薄いですから。」
「まあ!そんなこと言わないの。」
「リリン様はいかがでしたか?」
「リリンね。・・・素直な子ね。他の人達に気に入られるといいんだけど。」
「そうですね。」
ハルシルフィは壁際に立つスノーを見た。
「リリンも貴女みたいに端っこによっていたのよ。なのに、邪魔と言われた。おかしくない?」
「そうですね。」
「一応リリンを邪魔と言って貴族を探してちょうだい。」
「かしこまりました。」
スノーは主であるハルシルフィに一礼して部屋から退室していった。


















しばらくするとリリンが戻ってきた。
「どうだった?」
リリンはハルシルフィの問に答えられなかった。
「・・・。」
「どうしたの?」
ハルシルフィは心配そうにリリンを見つめた。
「もしかしてあの侍女達に何か言われたのかしら?それにフレン達はリリンについて来なかった。なぜ・・・?そんなにリリンは嫌い?平民だからダメなの?ごめんねリリン。私がついて行けばこんなことにはならなかったのに。ごめんねごめんね。」
返答のないリリンを横目にハルシルフィはベルを鳴らした。
『リンリン』
すぐにハルシルフィ専属侍女が現れた。
「いかがなさいましたか?」
「リリン専属侍女を呼んでいただける?」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
ハルシルフィ専属侍女はすばやく去って行った。ハルシルフィは悲しげに下を向いた。と、その時、リリンの声がした。
「バカに・・・された。平民の・・・くせにって・・・。」
小さな声だった。しかし耳のいいハルシルフィにはしっかりと聞こえていた。
「バカにされた?平民のくせにって?信じらんない!」
リリンは涙をこぼした。平民だから・・・ダメ。あまりの理不尽さにハルシルフィは腹が立った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ここは貴方の国ではありませんよ

水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。 厄介ごとが多いですね。 裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。 ※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...