もう誰も愛さない

ルー

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兄上の件sideシオン

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あの日、ルイさんと話した後次の日朝起きて、部屋に2人がいないという話を側近から聞いてほっとした。少なくともしばらくはあの侯爵令嬢にばれないだろう。そのまま王宮に戻り父上に謁見した。

「ああ、シオン。帰ったか。」

「ただいま戻りました。兄上の件について詳しい話はすでに受けています。」

「ああ、それは良かった。クリスは王位継承権剥奪の上北の塔に幽閉することになった。」

「例の男爵令嬢はどうなりましたか?」

「ああ、処刑した。」

随分と軽くおっしゃる。まぁ、父上が判断したことだ文句は何もない。

「それで手紙で送った通りエミリア嬢はヴィンセントとの婚約を望んだ。エミリア嬢にはクリスの件で迷惑をかけてしまった。それにヴィンセント自身がエミリア嬢を望んだこともあり婚約が決定した。」

その話は手紙でも読んだ。

「それによりヴィンセントのもともとの婚約が解消された。相手がオレリア・バーンズ侯爵令嬢なのだが、彼女がシオン、お前との婚約を望んでいる。」

「お断りしたいのですが。」

死んでもあの我儘娘とだけは婚約を望んでやるものか。

「わかっておる。そなたがオレリア嬢との婚約を望んでいないことは知っている。だからこそオレリア嬢よりもそなたが選んだ女性の方が価値があることを証明してみせろ。・・・オレリア嬢が婚約を望んでいる手前何かしらしっかりとした理由をつけなばならないのだ。」

「わかりました。」

「半年以内に証明するのだ。侯爵令嬢が納得しなかろうと私が納得すれば許可する。忘れるな、手紙に書いてあることが本当だ。」

最後だけ小声で周りにいる臣下たちにばれないように言った。父上は演技が本当にお上手だ。騙されてしまいそうだ。

「かしこまりました。必ずや証明してみせます。」

謁見を終えた私はそのまま自室に戻った。父上には事前に側近を入れ替える旨を伝えている。あんな侯爵の息がかかった側近を誰が受け入れるか。

「殿下、新しく側近になりましたエミリオ・リクゼスと申します。」

ああ、彼が新しい側近か。

「ああ、リクゼス伯爵家の次男か。よろしく頼む。」

「他の側近たちは明日ご挨拶に伺うそうです。」

「わかった。」

とりあえず資料を持ってきてもらわなければ。

「バーンズ侯爵家の収支報告書を持ってきてくれ。10年分全てだ。」

「かしこまりました。」

まずは収支報告書から確認だ。そもそも黒い噂がなんなのかを判明させなければ。

「お持ちしました。」

さすが学園を首席で卒業しただけあるな。

「ありがとう。」

内訳は・・・。なんだ、これは。



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