もう誰も愛さない

ルー

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職人

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次の日、約束の時間より少し早くアメリアは家に向かった。ルイは他に約束があるからと今日は別行動だ。家に入り軽く掃除をした後時間までのんびりと休憩していた。時間ピッタリに扉がノックされた。

「はぁーい。」

アメリアが扉を開けるとそこには昨日約束した職人が立っていた。

「あ、ゼイスさん。今日はよろしくお願いします。」

アメリアがゼイスを中に通す。

「それじゃあさっそく測っていきましょう。」

ゼイスが道具を魔道具の鞄の中から取り出す。

「まずこの商品棚ですがどこに設置する予定ですか?」

「こことここに。」

「かしこまりました。測っていきますね。」

ゼイスは手早く計っていく。

「ここまでで大丈夫ですか?もう少し長くしますか。」

「いえ、それで大丈夫です。」

ゼイスは手元の紙に素早く長さを記入していく。

「高さはどうしますか?」

「ここの窓よりも低いくらいで。」

「かしこまりました。それでは商品棚の方はこちらの型から長さと高さのみ変更ですね。色と柄はどうしますか?」

「色は白で柄は花柄でお願いします。」

「かしこまりました。色は白、柄は花柄で注文いたしますね。」

ゼイスは注文書に書き込む。

「次に机ですがいくつ必要ですか?」

「とりあえず・・・2つ。うーんいや、3つでお願いします。」

「机はそれぞれ違うものにしますか?」

「はい。」

「それぞれ用途をお聞きしても?」

「えっと机2つがそれぞれの部屋に置くもので1つがここに商品を置くようにと思っています。」

「かしこまりました。ではまず商品を置くようの机から測っていきましょう。どこら辺に置きますか?」

「えっと、ここで。」

アメリアが場所を指定しゼイスが長さを測っていく。

「これくらいですか?」

「あ、はい。」

その時扉が開けられた。

「あ、お父さん。用事終わったの?」

アメリアが驚いたように言う。

「夕方までかかるって言ってたのに。」

「いや、あー。とにかく詳しいことは聞かないでくれ。アメリアに会いたいという人がいるからあってきてほしい。断り切れなくて。すまない。」

「え、えっ!?ちょ、ちょっとまってよ。」

慌てふためくアメリアにルイは言う。

「こっちは任せろ。昨日言ってた内容でいいんだろう?」

「そ、それはそうだけど。」

「相手を待たせているから。中央公園3本目の樹の下にいる。」

「え、ちょっと相手は誰なの?」

「いいから!」

半ば強引に家から出されたアメリアは途方に暮れる。

「とにかく行くしかないか。誰なんだろう私に会いたい人って・・・。」







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