もう誰も愛さない

ルー

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物件

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昼食を取った後、アメリアとルイはアルカンレティアの中心部にある洒落た店に入った。そこがお目当ての不動産屋だった。窓にはたくさんの紙が貼られていて物件の内容が書かれている。

「いらっしゃいませー。」

カウンターにいた男性がにこやかに挨拶する。ルイとアメリアは男性のいるカウンターの目の前にある椅子に座った。

「本日はどのようなご用件でしょうか?」

「菓子屋を開きたいんですがそれにあった物件はありますか?」

アメリアが尋ねると男性は後ろの棚から資料がファイリングされたファイルを取り出した。

「予算の方はお決まりですか?」

男性に聞かれアメリアは首を振った。

「いえ、見てから決めたいと思いまして。」

男性は何ページかめくった後例えばですがと前置きしてファイルをアメリア側に向けた。

「こちらの物件は築5年になるのですが表通りに面していて周りには服飾店が多いので帰りがけにお菓子を買うお客様もいると思います。前の持ち主が菓子屋を営んでいたので業務用の冷蔵庫やオーブンなどはすべてそろっています。ただその点と表通りという好立地ということからお値段がかなり高くなります。金貨7枚となります。いかがですか?」

アメリアは尋ねた。

「まだこの家に決めるわけではないのですが一度内装を見ることは可能ですか?」

「はい、可能です。いつになさいますか?」

「ええっといつなら大丈夫ですか?できるだけ早く見たいのですが。」

男性は手帳を取り出した。

「そう、ですね。一番早い日程で明日の午後1時からでしたらあいております。」

「じゃあ、それでお願いします。」

「他にも菓子屋に合いそうな物件がありましたら当日資料を持ってまいりますね。」

「お願いします。」

アメリアは頭を下げた。

「明日の午後1時に当店にお越しくださいませ。」

男性は深々と頭を下げた。

「はい。」

アメリアちルイは店を出た。

「アメリア、大きくなったんだな。」

ルイが感嘆する。

「えへへ、すごいでしょ。」

アメリアは胸を張る。

「少し緊張したよ。こういうやり取りはいつもお父さんがしてくれたからね。」

ルイはほほ笑んだ。

「少し・・・いや、かなり早く終わったな。これからどうする?」

「服を見たいかな。持ってきた服はそんなに多くないし毎日洗うとしても足りない気がするから。」

アメリアの言葉にルイはうなづいた。

「その通りだな。」

アメリアは周りを見渡して、どこの服飾店に入るか考える。

「お父さん、あそことかどうかな?」

不意にアメリアは道の先にある服飾店を指さした。





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