幽閉された元王妃の平民侍女ですが国王陛下に求婚されています

ルー

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農家の三女

一か月後

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「おお、ユリカから手紙が来たぞ!」

ユリカが発ってから一か月が過ぎた。

その間、ユリカからは手紙の一通もなく家族は皆心配していた。

「お父さん、なんて書いてあるの?読んで読んで!」

せがむメイにシュンは手紙の内容を読み上げる。




お父さん、お母さん、メイ、ユナへ
手紙を書くのが遅くなってごめんなさい。
私は町で元気に暮らしています。
最初の一週間はお父さんの親戚の家にいたけどバイトをしながらお金をためて、アパートをかりることができました。
私は親戚の家の近くのパン屋で働いています。
パン屋で働くことが夢だったので採用してもらえた時はすごくうれしかったです。
毎日がすごく楽しみです。
そして皆に報告があります。
私は今お付き合いしている人がいます。
すごく優しくて、頭が良くて、強くて、でも根っからの商売人で。
とにかく全部が良い人です。
付き合い始めて二週間になります。
お付き合いしている人は私たちの従兄のサイモン・ノッガーです。あの日私に会ったときに一目惚れしたと言ってくれました。
今は同棲中です。
もしよかったら会いに来てください。
いつでも大丈夫です。
私とサイモンの家は冒険者ギルドのすぐ隣にあります。
白くて綺麗な建物なのですぐにわかると思います。
皆が来てくれるのを楽しみにしています。





「お姉ちゃん、彼氏できたんだ!」

良かったじゃん、とメイが言う。

「最後に一言ついてるぞ。メイ宛だ。ええと『ユナとは仲直りできた?』だとさ。」

シュンがニヤニヤと笑いながら言う。

「仲直りしたもん!ね、ユナ。」

メイは頬を膨らませながら言う。

「うん。」

ユナはうなずいた。

ユリカがここを発った日、メイは話したいことがあるとリイカとシュン、シュウそしてユナを夕食後に集めたのだ。

そしてユナに今までしたことを全て謝罪し、こんな私でよかったら仲良くしてほしいと頼んだのだ。

ユナは前々から仲良くしたいと思っていたメイの頼みにこころよくうなずいた。

「よし、じゃあいつ行くか?リイカは・・・どうするか?悪阻大丈夫か?」

シュンが尋ねる。

「そうね、前よりはよくなったから大丈夫よ。いざというときは町のお医者さんに診てもらえばいいんだし。」

リイカはにっこりとほほ笑む。

そう、ユリカが発った日から一週間後、母リイカの妊娠が発覚したのだ。











「お母さん、顔色悪いよ。少し休む?」

町行きの馬車に揺られ少し顔色が悪くなっているリイカにメイが声をかける。

「大丈夫よ。あと少しでしょ?我慢するわ。」

「我慢だなんてやめてよ。お腹の子供にも悪いし、何よりお母さんが大変だよ。休みたいなら言ってね?」

リイカの返事にメイは念を押す。

「まあ、あと少しだからがんばれ。」

「ええ。」

シュンの言葉にリイカはうなずいた。

「お客さん、着きましたよって大丈夫ですか?」

町について、御者が扉を開けて、中の様子に驚く。

「あの、近くの病院どこか知ってますか?」

ユナが尋ねると、御者はうなずいた。

「へ、はい。知ってます。じゃあ、そこまで馬車走らせますね。お代はいいですから。」

御者は扉を閉めると馬車を走らせる。

「大丈夫?お母さん。だから無理しないでって言ったのに。」

リイカは悪阻がひどくなり、馬車の座席に横になっていた。

「お父さん、薬は?」

「あるにはあるんだがこんな状態で飲めるか?」

「飲ませるんでしょ!」

メイが怒鳴る。

「そもそも水がない。」

「なに胸はってんのよ。ユナ、水の精霊と契約してたよね?」

メイはユナに尋ねる。

「うん、コップ一杯分出せばいい?」

「よろしく。」

メイはユナの前にコップを置く。

『この世に存在する水の精霊よ。我が声に耳を傾け、力を貸してほしい。ウォーター』

ユナがコップに手をかざして唱える。

するとコップになみなみと水が注がれた。

「すっごい。何回見てもすごいわー。」

メイが言う。

「ほんとありがとう。ほらお父さん薬どこ?早く出して。」

「はい。」

シュンは鞄から薬の錠剤を取り出す。

「お母さん、聞こえる?口開けて欲しいの。薬飲もう。」

メイはリイカに呼びかける。

「メイ・・・。」

かすれた声でつぶやくリイカ。

リイカは少しだけ口をあける。

「お母さん、のみこんで。」

メイはリイカの口の中に薬と水を入れる。

ーゴクン

リイカは飲み込むと目を閉じる。

それから十分して御者が声をかけた。

「病院、着きましたよ。」

リイカを支えながら病院に入るユナとメイ。

シュンは御者にお金を払った。

シュウはユリカの家に行き、今のことを伝えに行った。

「リイカさん、三番診察室にお入りください。」

受付をして、順番待ちをしていると案外すぐに呼ばれた。

「ええと、悪阻がひどいそうですね。何かお薬は飲んでいますか?」

「この薬を一日一回飲んでます。」

メイはシュンから渡された薬を見せた。

「これは・・・!強力であるが故に副作用が強いことである意味有名なあの薬では!?」

医者は驚愕し、叫んだ。







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