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フラン森で白竜に会う 1
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「ちょっと?フラン遅いんだけど!」
「遅れたらあんたのせいだからね!」
朝っぱらから叩き起こして朝ごはんを作らせているのにフランは文句も言わずに働いていた。
「ごめんなさい!すぐ作り終わります!」
フランは台所でいそいで食器に盛り付けた。
「終わりました。」
フランはお皿を持ってリビングの姉達のところに行った。
「いい匂い。」
「フランはトロイけど料理はすっごく美味しいよね!」
ピーチクパーチク小鳥のように喋っている姉達を横目にフランはせっせと掃除を始めた。
普通の人なら魔法で掃除をするのだがフランはそうはいかない。
魔力は桁違いにあるのだが、封印されているのだ。
「フラン。このお皿洗っといてね。」
「行ってきます!」
「気を付けて。」
うるさい姉達が行ったかと思うと、次は暴力女が降りてきた。
「今日は友達と食べるのよ。だから朝ごはんは要らないから。これはフランが食べなさい。」
「は、はい。」
「あと、食べ終わったら食器を洗って、掃除して、森に野菜を取りに行ってね!」
「はい。」
暴力女は鼻歌を歌いながら去っていった。
朝ごはんを食べたフランはせっせとお皿を洗い始めた。
━パリン!!
「・・・!?どうしよう!」
フランは姉達の大切なお皿を割ってしまった。
「怒られるよ。」
フランはお皿を新聞に包み、台所の端っこに置いた。
「次は掃除!」
リビングはまだきれいな方だが、姉達の部屋はひどい。
「な、なにこれ。昨日も掃除したはずなのに。」
フランは思わず顔をしかめた。せっせと雑巾で窓を拭いた。
「掃除は終わった!休みたいけど、もう10時だし。野菜取りに行くか。」
フランがよそゆきの服に着替えて下に降りていくと玄関の扉がノックされた。
「フランさん。いる?」
「リアナさん。どうしたのですか?」
「貴女。今から森に行く予定だったでしょ?どうしても言いたくて来たのよ。」
「?」
「あの森、フランさん以外に入れないんでしょ?結界で弾かれるって。それに、子竜も。見つけたら気をつけてね。」
「教えてくれてありがとうございます!」
フランはリアナが去るのを見送って、籠を持って森へと向かった。
この森は他の森とは違って森の主がいるらしい。
「にんじん、にんじんっと。あったあった。それにしても何でここにはこんなにたくさん野菜があるんだろう?」
かれこれ一時間。
「どうしよう!道に迷っちゃったかも。」
その日はにんじんとじゃがいもしか取れずもっと取らなくてはと思いフランはどんどん奥へと行ってしまったのだ。
目の前に大きな洞窟が見えた。
洞窟に向かって走り中に入った。
目を凝らすと奥に緑色の光が2つ見えた。
まるで、何かの目のようだ。
バサバサと羽ばたく音が聞こえた。
パッと光が洞窟の上に浮かんだ。
前を見ると、そこには巨大な白竜がいた。
近くには狼にも見える動物がいる。
「狼?」
『何を言う!我は狼ではない!フェンリルと言うのだ!』
「フェンリル?」
「リィ。やめなさい。私のリィがすまなかった。」
「あ、いえ。リィ、というのは?」
「リィはこの森に住むフェンリルの長の通称だ。どうした?道にでも迷ったのか?」
「はい。人族の国の。」
「そう言えば。そなた、よくここに入れたな?」
「え?普通に入れましたけど?」
白竜は考え込んだ。
「貴女の心。とても澄んでいる。この森で狩りをしなかったこと礼を言う。お礼だ。困っているのだろう?これをあげよう。」
「いいんですか?」
渡されたのは、たくさんの野菜だった。
「ありがとうございます!」
フランは白竜に教えられたとおりに森の中を歩いた。
「遅れたらあんたのせいだからね!」
朝っぱらから叩き起こして朝ごはんを作らせているのにフランは文句も言わずに働いていた。
「ごめんなさい!すぐ作り終わります!」
フランは台所でいそいで食器に盛り付けた。
「終わりました。」
フランはお皿を持ってリビングの姉達のところに行った。
「いい匂い。」
「フランはトロイけど料理はすっごく美味しいよね!」
ピーチクパーチク小鳥のように喋っている姉達を横目にフランはせっせと掃除を始めた。
普通の人なら魔法で掃除をするのだがフランはそうはいかない。
魔力は桁違いにあるのだが、封印されているのだ。
「フラン。このお皿洗っといてね。」
「行ってきます!」
「気を付けて。」
うるさい姉達が行ったかと思うと、次は暴力女が降りてきた。
「今日は友達と食べるのよ。だから朝ごはんは要らないから。これはフランが食べなさい。」
「は、はい。」
「あと、食べ終わったら食器を洗って、掃除して、森に野菜を取りに行ってね!」
「はい。」
暴力女は鼻歌を歌いながら去っていった。
朝ごはんを食べたフランはせっせとお皿を洗い始めた。
━パリン!!
「・・・!?どうしよう!」
フランは姉達の大切なお皿を割ってしまった。
「怒られるよ。」
フランはお皿を新聞に包み、台所の端っこに置いた。
「次は掃除!」
リビングはまだきれいな方だが、姉達の部屋はひどい。
「な、なにこれ。昨日も掃除したはずなのに。」
フランは思わず顔をしかめた。せっせと雑巾で窓を拭いた。
「掃除は終わった!休みたいけど、もう10時だし。野菜取りに行くか。」
フランがよそゆきの服に着替えて下に降りていくと玄関の扉がノックされた。
「フランさん。いる?」
「リアナさん。どうしたのですか?」
「貴女。今から森に行く予定だったでしょ?どうしても言いたくて来たのよ。」
「?」
「あの森、フランさん以外に入れないんでしょ?結界で弾かれるって。それに、子竜も。見つけたら気をつけてね。」
「教えてくれてありがとうございます!」
フランはリアナが去るのを見送って、籠を持って森へと向かった。
この森は他の森とは違って森の主がいるらしい。
「にんじん、にんじんっと。あったあった。それにしても何でここにはこんなにたくさん野菜があるんだろう?」
かれこれ一時間。
「どうしよう!道に迷っちゃったかも。」
その日はにんじんとじゃがいもしか取れずもっと取らなくてはと思いフランはどんどん奥へと行ってしまったのだ。
目の前に大きな洞窟が見えた。
洞窟に向かって走り中に入った。
目を凝らすと奥に緑色の光が2つ見えた。
まるで、何かの目のようだ。
バサバサと羽ばたく音が聞こえた。
パッと光が洞窟の上に浮かんだ。
前を見ると、そこには巨大な白竜がいた。
近くには狼にも見える動物がいる。
「狼?」
『何を言う!我は狼ではない!フェンリルと言うのだ!』
「フェンリル?」
「リィ。やめなさい。私のリィがすまなかった。」
「あ、いえ。リィ、というのは?」
「リィはこの森に住むフェンリルの長の通称だ。どうした?道にでも迷ったのか?」
「はい。人族の国の。」
「そう言えば。そなた、よくここに入れたな?」
「え?普通に入れましたけど?」
白竜は考え込んだ。
「貴女の心。とても澄んでいる。この森で狩りをしなかったこと礼を言う。お礼だ。困っているのだろう?これをあげよう。」
「いいんですか?」
渡されたのは、たくさんの野菜だった。
「ありがとうございます!」
フランは白竜に教えられたとおりに森の中を歩いた。
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