レベルMAXのプレイヤー、心機一転レベル１からがんばります！

第１章 グラスディテにて

天帝会議（1）

３時間後。謁見の間に５人の弟子たちがセリアによって集められた。それぞれ城内で各々の仕事をしていたらしくセリアに呼ばれて謁見の間に来たときは全員機嫌が悪そうだった。しかし、リリィが現れた瞬間その目が生き生きとし、その表情が輝いた。
「リリィ様！」
その内の1人で金髪の妖艶な美女はうっとりと笑った。久しぶりにリリィの姿を見ることができて５人とも嬉しそうだった。
「ちょっとセリア。リリィ様のお呼びならちゃんと言いなさいよね！」
「リリィ様の前です。少しは大人しくできませんか、リリカさん。」
すぐさまセリアの叱りの声がとぶ。
「久しぶりなのだもの。はしゃぎたくなるのも分かるわ。」
リリィは見かねたように声をかけた。
「しかしリリィ様。リリカさんは少しでも気を許すと調子に乗りますから！」
セリアが困ったように言うと、リリィがクスクスと笑った。
「次、いつ会えるか分からないんだもの。今回くらいは許してあげましょう。」
「リリィ様がそえおっしゃられるなら。分かりました。」
セリアが頷くとリリィがリリカを含む５人の顔をひとりひとり見た。
「突然呼び出してごめんね？」
リリィが申し訳なさそうに言うと黒髪の美しい青年、アーサーが首を振る。
「そのようなことはありません。リリィ様のお呼びだしでしてたら喜んでいつ何時でも参ります。皆もそう思っています。」
「ありがとう。」
リリィはほほえむ。リリィが真面目な表情をする。
「私が今日皆を呼んだのはね、ちょっとやり直したいと思ったからこの城をねしばらくあけることにしたの。だからそれにともなって皆に話しておきたいこともあるから。」
リリィの言葉に５人全員が硬直する。
「正気ですか？」
思わず３人目の弟子、クラリスが言う。
「正気だよ。びっくりするよね。ごめんね、突然こんな話して。でも、皆心当たりはあるよね？私がレベル１からやり直したいと思った理由について。」
リリィの次の言葉に５人は黙りこむ。
「レベル１からやり直すんですか？データを消してですか？」
リリカが尋ねるとリリィは首を振った。
「ううん。そういうことじゃないの。たしかこのゲームってレベル235を越えたアバターがもう一人貰えるんだよね？それを使うの。」
「そういうことですか。」
納得したようにリリカが頷く。その後は誰も何も言わない。セリアはふと4人目の弟子、アリシアがわなわなと震えていることに気がついた。
「アリシア・・・」
「何皆して納得してるんですか！？」
セリアの声を遮ってアリシアは怒鳴った。いつもは温厚なアリシアが怒鳴り声をあげたことにその場の全員が驚いた。