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「いいですかユフェリア様。魔物は基本的には人間に危害は加えません。ただし、こちらが魔物が不快に思うことをした場合その前提は覆ります。」
部下が走っていくのを見送って、護衛騎士はユフェリアに言う。
「ええ、それは知っているわ。」
「知っているのならなぜやったのですか?魔物の子を連れて来るのは絶対にやってはいけないことです。」
「・・・それは知らなかったわ。」
ユフェリアはうつむいた。
今まで呆れられることはあっても怒られることはなかったためユフェリアは正直困惑していた。
自分の護衛騎士の怒り方から自分がしたことの危険さは理解した。
「知らなかった・・・?魔物については十歳までには教えられると思いますが・・・。常識ですよ。」
護衛騎士の顔が強張った。
「ユフェリアは碌に皇女教育を済ませてないから、分からないのよ。」
ハルの言葉に護衛騎士は納得したようにうなづいた。
「お、お姉様!!そんな言い方しないでください!私だって頑張ろうとしてるんですよ!でも理解できないんです。お姉様とは神経系の出来が違うんです!」
一方のユフェリアはハルに言い返す。
「理解できないならもっと頑張ればいいでしょう?教育係にわからないところを何回も聞いて理解できるようになるまで何回も聞いて、それでやっと理解できるんでしょう?誰が一回で理解しなさいだなんて言ったのよ!!そもそも、神経系の出来なんて理由のうちに入らないわよ。」
ユフェリアの言い方に激怒したハルはつかつかとユフェリアに歩み寄ると冷たく言い放った。
「ど、どうしてお姉様は、私に冷たいんですか!?実の妹ですよね?どうしてっ!」
ユフェリアは涙を流しながら言う。
「実の妹だからよ。」
「え?」
ハルの言葉にユフェリアは困惑する。
「実の妹だから、実の妹だからこそちゃんとした所に嫁いでほしい、そう思ってるのよ。でも、ちゃんとした所、つまり名家はきちんとした教育を受けた者しか妻としては受け入れてくれない。だから貴女に少しでも頭が良くなってそれで所作もちゃんとさせてあげようとしてるのに・・・。」
ハルがうつむいた。
「お姉様・・・。」
姉のやさしさに触れ、ユフェリアは嬉しそうな表情をした。
「今までちゃんと勉強してなくてごめんなさい。これからは姉様の期待にそえるように頑張るのでどうか見捨てないでください!」
そして頭を下げて懇願した。
「そんなこと言うくらいなら最初からそうしてよね。」
ハルはつぶやいた後、ユフェリアの頭を撫でた。
「ええ、頑張ってちょうだい。応援してるわ。」
「はい!!」
ユフェリアは感極まってハルに抱き着いた。
他の皇女たちはその様子をほほえまし気に見つめていた。
「リリアナ様。」
不意にそこにリリアナを呼ぶ声が割り込んだ。
声の方を見たリリアナの目にサーシャの姿がうつる。
「サーシャ!!」
リリアナはサーシャを見てぱっと嬉しそうな表情になった。
立ち上がるとサーシャのもとに駆けよった。
「リリアナ様、私のことについて陛下を交えてお話したく思います。お時間はありますか?」
リリアナは振り返るとハルを見た。
「行ってきなさい。」
ハルが言うとリリアナはうなづいてサーシャに向き直った。
「うん、あるわ。」
「心して聞きなさい。」
謁見の間に入って、父であるアイザック・フィルア・ルディスラはユフェリアに言った。
「サーシャが君の護衛騎士を外れることになった。」
部下が走っていくのを見送って、護衛騎士はユフェリアに言う。
「ええ、それは知っているわ。」
「知っているのならなぜやったのですか?魔物の子を連れて来るのは絶対にやってはいけないことです。」
「・・・それは知らなかったわ。」
ユフェリアはうつむいた。
今まで呆れられることはあっても怒られることはなかったためユフェリアは正直困惑していた。
自分の護衛騎士の怒り方から自分がしたことの危険さは理解した。
「知らなかった・・・?魔物については十歳までには教えられると思いますが・・・。常識ですよ。」
護衛騎士の顔が強張った。
「ユフェリアは碌に皇女教育を済ませてないから、分からないのよ。」
ハルの言葉に護衛騎士は納得したようにうなづいた。
「お、お姉様!!そんな言い方しないでください!私だって頑張ろうとしてるんですよ!でも理解できないんです。お姉様とは神経系の出来が違うんです!」
一方のユフェリアはハルに言い返す。
「理解できないならもっと頑張ればいいでしょう?教育係にわからないところを何回も聞いて理解できるようになるまで何回も聞いて、それでやっと理解できるんでしょう?誰が一回で理解しなさいだなんて言ったのよ!!そもそも、神経系の出来なんて理由のうちに入らないわよ。」
ユフェリアの言い方に激怒したハルはつかつかとユフェリアに歩み寄ると冷たく言い放った。
「ど、どうしてお姉様は、私に冷たいんですか!?実の妹ですよね?どうしてっ!」
ユフェリアは涙を流しながら言う。
「実の妹だからよ。」
「え?」
ハルの言葉にユフェリアは困惑する。
「実の妹だから、実の妹だからこそちゃんとした所に嫁いでほしい、そう思ってるのよ。でも、ちゃんとした所、つまり名家はきちんとした教育を受けた者しか妻としては受け入れてくれない。だから貴女に少しでも頭が良くなってそれで所作もちゃんとさせてあげようとしてるのに・・・。」
ハルがうつむいた。
「お姉様・・・。」
姉のやさしさに触れ、ユフェリアは嬉しそうな表情をした。
「今までちゃんと勉強してなくてごめんなさい。これからは姉様の期待にそえるように頑張るのでどうか見捨てないでください!」
そして頭を下げて懇願した。
「そんなこと言うくらいなら最初からそうしてよね。」
ハルはつぶやいた後、ユフェリアの頭を撫でた。
「ええ、頑張ってちょうだい。応援してるわ。」
「はい!!」
ユフェリアは感極まってハルに抱き着いた。
他の皇女たちはその様子をほほえまし気に見つめていた。
「リリアナ様。」
不意にそこにリリアナを呼ぶ声が割り込んだ。
声の方を見たリリアナの目にサーシャの姿がうつる。
「サーシャ!!」
リリアナはサーシャを見てぱっと嬉しそうな表情になった。
立ち上がるとサーシャのもとに駆けよった。
「リリアナ様、私のことについて陛下を交えてお話したく思います。お時間はありますか?」
リリアナは振り返るとハルを見た。
「行ってきなさい。」
ハルが言うとリリアナはうなづいてサーシャに向き直った。
「うん、あるわ。」
「心して聞きなさい。」
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「サーシャが君の護衛騎士を外れることになった。」
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