魔法少女に転生したけど、俺はオジサンです

第10話: 「リリィ、人気急上昇!? オッサン特有のギャグが受ける」

異世界に転生し、見た目は魔法少女、中身は45歳独身オッサンの俺、田中和也。村で開いた居酒屋「バーリリィ」は大盛況。ビールを召喚する魔法とオッサン流の筋トレ魔法で村を守りながら、異世界に癒しの場を提供している。

そんなある日、俺の元に一つの噂が飛び込んできた。

「リリィ様、聞いてください！ 近くの村でもリリィ様の噂が広まっていて、あなたに会いたいって人がたくさんいるんですよ！」

村の青年トーマスが興奮気味に報告してきた。どうやら、俺がモンスターを倒したり、居酒屋で人々を癒しているという話が、周辺の村にも伝わっているらしい。

「ふーん、まあ、別に普通のことだろ？」

俺は表情を崩さず、平静を装っていたが、心の中では少し嬉しい気持ちもあった。オッサンとして生きてきた俺が、異世界で「人気者」になっているなんて、夢にも思わなかったからだ。

「でも、リリィ様…特に話題になってるのは、あなたのギャグらしいです！」

「えっ、ギャグ？」

俺は驚いた。ギャグなんて、俺は特に意識していたわけじゃない。むしろ、オッサン特有の冗談を適当に言っていただけだと思っていた。それが、まさか受けているとは…。

そんな中、村に新たな訪問者が現れた。周囲の村から、俺に会いに来たという若者たちだ。彼らは口々に「リリィ様のギャグを聞きたい」と言ってくる。

「え、俺のギャグがそんなにウケてんの？」

正直、俺は何がどうウケているのか理解できなかった。だが、ここで「魔法少女リリィ」としての期待に応えないわけにはいかない。俺は腹を決めて、オッサン流のギャグを披露することにした。

「よーし、じゃあ行くぞ。リリィ様の…オッサンギャグ、いっちょ行くか！」

俺は拳を突き上げ、みんなに向かってこう叫んだ。

「筋肉は裏切らない！ でも、ビールは裏切るかもしれないぞ！」

村の若者たちは一瞬ポカンとした顔をしていたが、次の瞬間、大爆笑が巻き起こった。

「ははは！ リリィ様、面白い！」

「さすが、リリィ様だ！ 魔法少女らしからぬギャグが最高です！」

俺は目の前で笑い転げる若者たちを見て、ますます困惑した。どうやら、俺の「オッサン特有の冗談」が異世界では予想以上にウケているらしい。現実世界ではウケなかったギャグが、ここでは大人気だなんて…。

「いや、俺的には普通のこと言ってるだけなんだけどな…」

そう呟きながらも、俺は次々とギャグを披露していった。オッサン流の親父ギャグ、ビールにまつわる軽い冗談、筋肉ネタ…。どれも異世界では新鮮に感じるらしく、村の若者たちは大笑いしていた。

「リリィ様のギャグは最高です！ これからも、もっと聞かせてください！」

「いや、ギャグを聞きたいなら、いつでも来てくれ。俺はそんなに面白いこと言ってるつもりはないが…」

こうして俺の「ギャグ魔法少女リリィ」としての人気はどんどん広がっていった。最初は「魔法少女として強い」という評判だったが、今では「ギャグの天才」としても異世界で知られるようになっていた。

俺は驚きながらも、少し誇らしい気持ちでその人気を受け入れた。オッサン的な冗談やギャグが、異世界では人々を笑わせ、癒しを与える「魔法」として機能している。これも一種の「魔法少女らしさ」なのかもしれない。

そんな中、バーリリィでの居酒屋経営もますます繁盛し、村の外からも客が訪れるようになった。ギャグとビールが異世界での俺の新たな武器となり、ますます人気が急上昇していく。

「リリィ様、次はどんなギャグを披露してくれるんですか？」

「次？ そりゃ…まあ、考えておくよ」

俺は適当に返事をしながら、これからの自分の道を考えた。魔王との戦いはまだ終わっていないが、こうして人々を笑わせ、癒すことも「魔法少女リリィ」の役割の一部だと思えるようになってきた。

「よし…次の戦いも、オッサン流のギャグと魔法で乗り越えるしかないな」

俺はそう決意し、再びビールを飲んで笑顔を浮かべた。