魔法少女に転生したけど、俺はオジサンです

第8話: 「オッサン流ダイエット!? 新たな魔法発見」

異世界に転生して、見た目は魔法少女、中身は45歳独身オッサンの俺、田中和也。ついに、魔王軍の指揮官クロードとの初戦を制した。筋力とビール魔法を駆使した戦いは想像以上に過酷だったが、何とか勝利できたことで、俺は少し自信を取り戻しつつある。

だが、俺の体はすでに限界を迎えつつあった。見た目は華奢な魔法少女だが、中身はオッサン。最近の戦闘や相談室の活動で、どうにも疲れが抜けない。さらに、ビールやつまみを頻繁に召喚していたせいで、腹回りも気になるところだ。

「やばいな…このままじゃ戦えなくなるかも」

そんな不安が頭をよぎる中、俺は異世界でも「オッサン流ダイエット」を始めることにした。

ある日の朝、村の外れで俺はミナと一緒に魔法の訓練をしていた。ミナは元気よく走り回っているが、俺はどうにも体が重く感じる。

「リリィ様、大丈夫ですか？ ちょっと疲れてるみたい…」

「いや、なんだか最近太った気がしてさ…」

オッサンのような悩みを抱える魔法少女というのもシュールな話だが、異世界でも健康管理は重要だ。俺は筋力があるおかげで体力はあるが、最近の食生活（主に召喚したビールとつまみ）による影響を無視できなくなってきた。

「リリィ様が太るなんて信じられないです！ でも、もしそうなら…運動とかしてみますか？」

ミナの言葉にハッとした。そうだ、運動すれば体は引き締まるし、ダイエットにもなるかもしれない。俺はこれまでの戦闘での筋力を思い出し、さらに強化する方法を考えた。

「よし、筋トレだ！ オッサン流のトレーニングをやってみよう！」

まず、俺が始めたのは基本的な運動、いわゆる筋トレだ。腕立て伏せ、スクワット、腹筋。現実世界でもやっていた基礎的な動きだが、異世界ではこれがさらに強力な「魔法」として進化する可能性があるかもしれない。

「1、2、3…！ ふぅ、これでいい感じか…？」

俺はしばらくの間、懸命に体を動かして汗を流した。筋トレは久しぶりだったが、オッサンの体に染みついている感覚が蘇り、少しずつ体のキレが戻ってくる。

すると、その瞬間、俺の体から微かな光が発せられた。

「えっ…これは？」

俺の体に何か異変が起きた。まさか…筋トレが魔法と融合している？ そう思っている間にも、体がどんどん軽くなり、まるで新たな力が溢れ出すような感覚に包まれた。

「リリィ様、何かすごいことが起きてます！」

ミナが驚いて俺を見つめる。俺も自分の体に起きている変化に驚きつつ、その感覚を確かめてみた。

「これが…新しい魔法か？」

どうやら、俺の体は筋トレを通じて「魔力」をさらに高めることができるようになったらしい。つまり、筋力強化と魔力の融合が新たな魔法として発現しているのだ。

「試してみるか…」

俺は体の軽さを感じつつ、再びビールの缶を手に取り、それを全力で投げつけた。すると、以前の何倍もの速度でビール缶が飛び、遠くの岩に直撃。ビール缶が岩を粉々に砕いた。

「す、すげえ…！」

これまでのビールボンバーとは桁違いの威力だ。筋力がさらに高まったことで、魔法の威力も大幅にアップしている。しかも、体が軽く感じることで、動きのキレも向上している。

「これなら…魔王軍にも対抗できるかもしれない！」

俺はますます自信を持ち始めた。筋トレをすることで、オッサン的な肉体が異世界でも最強の武器になるという新たな発見だ。

その日から、俺は毎朝、オッサン流の筋トレを続けることにした。村の若者たちも俺の鍛え方に興味を持ち、次第に一緒にトレーニングを始めるようになった。

「リリィ様の筋トレ、すごく効きます！ 体が軽くなった気がします！」

「オッサン流の筋トレだぞ。だが、これが効くんだ…」

俺は誇らしげにそう言いながら、村人たちにもオッサン流の知識を広めていく。筋トレだけでなく、ビール魔法も以前より強力になり、俺の「オッサン的な力」が異世界でますます認められるようになっていった。

そんな中、俺は次の試練に備えていた。筋力を強化し、新たな魔法も手に入れたが、魔王軍の脅威はまだ終わらない。次にどんな敵が襲ってくるのか、俺は準備を整えながら、少しずつこの世界での自分の役割を見つけ始めていた。

「よし…これからも筋トレで、オッサン的な魔法を極めるぞ！」

俺の異世界生活は、ますます面白くなりそうだ。