魔法少女に転生したけど、俺はオジサンです

卍ェリーナジョリー

文字の大きさ
上 下
5 / 12

第5話: 「オッサン流お悩み相談室、解決!?」

しおりを挟む
異世界に転生して、見た目は魔法少女、中身は45歳独身のオッサンのまま。俺、田中和也の異世界生活は続いている。今まで、ビール魔法やオッサンの筋力でなんとかピンチを切り抜けてきたが、俺が魔王を倒すという重責は変わらない。

しかし、最近はこの村での暮らしにも少し慣れてきた。村人たちも、俺を「リリィ様」として受け入れてくれているが、どうも勘違いされている節がある。特に若い村人たちは、俺に頼りきりだ。

そんなある日、村長が深刻な顔で俺の元にやってきた。

「リリィ様、お願いがございます…」

「ああ、どうしたんだ?」

村長の顔を見ると、何か重大な問題が起きたのかと不安になる。村を襲ってくるモンスターの類は、俺のオッサンパワーとビール魔法でしばらく撃退してきたが、今回はそれとは違う問題のようだ。

「実は、村の若者たちが悩みを抱えておりまして…」

「悩み?」

「はい。どうか、リリィ様の知恵で解決していただけないでしょうか?」

こうして俺は、「お悩み相談室」 を開くことになった。村人たちの悩みなんて、正直俺が解決できるのかどうか疑問だったが、俺の45年のオッサンとしての人生経験を活かすチャンスだと思い、やることにした。

最初にやってきたのは、村の若い女性、エミリアだ。彼女は村一番の美人で、村の若者たちの憧れの的だが、どうやら深刻な悩みを抱えているらしい。

「リリィ様、私はどうしても結婚が決まらなくて…」

「結婚か…」

俺は心の中で苦笑した。結婚なんて、俺には縁のない話だ。彼女いない歴=年齢の俺が、結婚相談に乗るなんて場違いもいいところだろう。しかし、ここは異世界。俺が知っている知識やオッサン的なアドバイスが通用するかもしれない。

「結婚っていうのはな、そんな焦るもんじゃない。むしろ、じっくり相手を選ぶことが大事だ。まずは、自分が何を求めているかをしっかり考えてみるといい」

エミリアは真剣に俺の話を聞いていた。俺も普段は誰かに恋愛アドバイスをするなんてことはないが、経験がなくても理屈で話すことはできる。しかも、ここは異世界。俺のちょっとした知恵でも、救世主的な扱いを受けるのだから、意外と自信が持ててきた。

「ありがとうございます、リリィ様。自分の気持ちをもっと大事にしてみます!」

エミリアは笑顔で帰っていった。俺のアドバイスが役立つのかはわからないが、少なくとも彼女を励ますことはできたらしい。

次にやってきたのは、村の青年トーマスだ。彼は畑仕事をしているが、どうやらそれに悩みを抱えているようだ。

「リリィ様、畑の収穫が思うようにいかなくて…」

「畑か…」

これまた俺にとっては未知の領域だ。現実世界で俺はデスクワークばかりだったから、農作業なんてやったこともない。しかし、ここでもオッサン的な知識が活かせるのではないかと思い、考えを巡らせる。

「まずは土の状態を見てみるといい。それから、作物に適した水やりのタイミングや、日当たりの具合も大事だ。あとは、肥料だな。ちゃんとした肥料を使うことが収穫に大きく影響する」

俺の話を聞いたトーマスは、目を輝かせた。

「なるほど! 土と肥料ですね! 早速試してみます!」

「まあ、あくまで基本的な話だが、何事もまずは基礎が大事だ」

正直、農業について詳しい知識はなかったが、基本的なことを言っておけば、異世界ではそれなりに通用するらしい。俺も少しずつ、この世界での立ち回り方がわかってきた気がする。

さらに次々と村人が相談にやってきた。「商売がうまくいかない」 と悩む商人には、現実世界で見たビジネスの基礎を教え、「家族との不仲」 に悩む男には、現代社会でよく聞くコミュニケーションの重要性を説いた。

俺の45年のオッサンとしての人生経験が、異世界の人々にとっては新鮮であり、役立つ知恵として受け入れられていくのだ。どんどん「リリィ様」の評判が高まり、俺の相談室は村で一大ブームとなっていった。

「リリィ様、本当にありがとうございます!」

「リリィ様のおかげで、村が平和になりました!」

次々と感謝の言葉を受けながら、俺は少し戸惑いながらも、この異世界での自分の居場所を見つけつつあるような気がしてきた。

そんな平和な日々が続いていたある日、俺の元にミナが再びやってきた。

「リリィ様、大変です! 新たなモンスターが村に迫っています!」

「またか…」

今度はどんなモンスターが襲ってくるのか。俺は内心ため息をつきつつも、再びオッサンの知恵と筋力で何とか切り抜けるしかないと覚悟を決めた。

「よし、次の試練も俺がなんとかしてやる…!」

こうして、俺の「オッサン流お悩み相談室」は村の人気者となった。だが、魔王討伐という大きな使命を忘れてはならない。これからどんな試練が俺を待ち受けているのか、少し不安になりながらも、俺はこの異世界での生活に少しずつ自信を持ち始めていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

俺の娘、チョロインじゃん!

ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ? 乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……? 男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?  アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね? ざまぁされること必至じゃね? でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん! 「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」 余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた! え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ! 【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?

【完結済み】VRゲームで遊んでいたら、謎の微笑み冒険者に捕獲されましたがイロイロおかしいです。<長編>

BBやっこ
SF
会社に、VRゲーム休があってゲームをしていた私。 自身の店でエンチャント付き魔道具の売れ行きもなかなか好調で。なかなか充実しているゲームライフ。 招待イベで魔術士として、冒険者の仕事を受けていた。『ミッションは王族を守れ』 同僚も招待され、大規模なイベントとなっていた。ランダムで配置された場所で敵を倒すお仕事だったのだが? 電脳神、カプセル。精神を異世界へ送るって映画の話ですか?!

処理中です...