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第11話 破棄
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「いや、だから、違うんだ、その」
ヴァイスの態度はさらに情けないものへと変化した。
正直、俺は笑いを抑えるのに必死だ。
口がプルプルと震えている自覚がある。
カレーナはさらに追及を続けた。
「違う、違わないはともかく思い当たる節はあるのでしょう? 私が見たのはいつだと思うか言ってみて」
これも上手い。
自らの手札は晒さず、相手に手札を開けさせようとする。
彼女は交渉上手だな、うちの事務所で働いてほしいくらいだ。
「あー、えーと⋯⋯いや、アンナと抱き合ったりしてない、君の誤解だ」
カレーナはヴァイスをじっと見つめる。
ヴァイスもまた彼女を見ていたが、その様子はなんとか視線に耐えている──と俺の目には映った。
ややあって、カレーナはふっと笑いをこぼした。
「そう、ならいいわ。ごめんなさいね、私の勘違いだったみたい」
「そ、そうか、よかった、誤解が解けて!」
あっさり引くカレーナに、ヴァイスがあからさまにほっとした表情を浮かべる。
彼女は彼の言葉には答えずに、俺の方を向いた。
「じゃあシモン、さっき言ってた嘘を見破る魔法お願いできるかしら? 嘘をついたら、死んだほうがマシだと思えるような、激しい苦痛に見舞われるのよね?」
いや、そんな魔法ないが、とは言わない。
それより笑いをこらえるのに必死だ。
だって彼女が俺に嘘を見破る魔法について言及した瞬間、ヴァイスの顔に今までにない程の狼狽が浮かんだからだ。
「い、いやカレーナ、それは⋯⋯」
「私は婚約者としてあなたを信じることにします。その信用に応えていただけますわよね?」
「もちろんでしょうカレーナ様。ささヴァイス様ご協力させていただきますので、二人で誤解を晴らしましょう!」
俺も悪ノリして彼女の発言に乗る。
俺が指を向けた瞬間、ヴァイスの身体が白く光った。
「さぁ、準備はできました。その白い光は嘘を一切許さない神の御印です! ヴァイス様とアンナ様の間にやましいものは一切ない、そう証言して下さい!」
⋯⋯本当はただ、光魔法で身体を光らせただけだが。
ヴァイスはしばらく茫然としていたが、やがてこれまで必死におさえていた怒りの感情を、堤防が決壊したかのごとく吹き出してきた。
「そういう、所、なんだよ!」
貴公子の仮面を脱ぎ、ヴァイスは叫んだ。
「嘘をつくな? ああいいとも! 君にはずっとうんざりしてたんだ! 家格が上だからと高圧的に振る舞ってくる態度も、ボクに馬鹿を見るような視線を飛ばしてくるのも!」
「そんな態度取った覚えはないわ」
「君になくても、ボクは感じていた! いつも君に下に見られているような気持ちを! 君に釣り合おうと常に努力しても、周りからは『運で次期皇帝になる男』という評価しか与えられない! もう、うんざりなんだ!」
「そう、じゃあそんな評価から解き放って差し上げるわ。ヴァイス、正式に婚約を解消しましょう。父は反対するでしょうけど、私が説得するわ」
「そんな話じゃない! それは困る!」
「我儘ばかり言わないで。私が皇家、あなたが王家という現実がある以上、仮に結婚して貴方が皇帝の座を継いだとしても、どうしてもその評価は付きまとうわ。そこから逃れる方法は、婚約の破棄しかないでしょう?」
「じゃあ今までのボクの我慢はどうなる! 君はいつもそうだ、正しいけど言葉にボクへの配慮がないんだ! だからボクはアンナに⋯⋯」
失言に気が付いたのだろう。
ヴァイスはそこで言葉を止め、黙った。
まあ、時すでに遅しってやつだ。
カレーナは静かにため息をついた。
「語るに落ちたわね、ヴァイス。もうこの話は終わりよ」
「ま、まってくれ」
「シモン、彼を追い出して」
「了解しました、カレーナ様」
俺がにじり寄ると、ヴァイスは懐から銃を抜き、こちらへ向けた。
「ち、近寄るな、魔族!」
「はいはい、ちょっと失礼しますよ」
俺は意に介さず近づき、彼の首根っこをつかんだ。
ヴァイスは多少暴れたが、結局引き金を引く度胸もないらしい。
ドアを開け、彼を外に出した。
続けてカレーナはドアまで来て、外の騎士たちへと語りかけた。
「皆様、公務ご苦労様です。ヴァイスとの話し合いは終わりました。会談にご協力いただいたシモンさんにこれ以上迷惑はかけられません。すみやかに解散してください」
「し、しかし⋯⋯」
「私は大丈夫です、後ほど帰宅致します。これ以上恣意的な捜査を続けるというのであれば、私も告発しなければなりません。ただ、皆様にご迷惑をおかけするのは本意ではありません。繰り返しになりますが、すみやかな解散重ねてお願いします」
「⋯⋯畏まりました」
取り付く島もない、と感じたのだろう。
騎士たちはお互いに顔を見合わせたのち、解散の動きを見せる。
そんな中、俺に視線を飛ばしてくる男がいた。
カルミッドだ。
周囲のざわめきを一切気にする様子もみせず、ただ、俺を見ている。
ウィンクでも返そうかと一瞬悩んだが、やめた。
最後まで残っていたカルミッドだったが、やがて騎士たちの最後尾についていくように、ヴァイスとともに立ち去った。
静寂の中に取り残された俺とカレーナ。
騎士たちへの説得後、彼女は少し思い詰めたような表情をしてソファーに座っていた。
向かいに座ろうと歩み寄ると、彼女はソファーの、自分の横に空いたスペースをポンポンと叩いた。
「ここに座って? 一日恋人なんだから」
少し悲し気な表情をした彼女の指示通り、隣に座る。
ただ、彼女は隣に座れと言ってきたものの、顔は正面を向き、その視線は虚空に吸い込まれるように無表情だった。
しばらくそのまま黙っていたが、ヴァイスを呼ぼうと提案したのは俺だと思い、カレーナに弁明する事にした。
「すまないな、俺の提案のせいで。俺が対応するつもりだったが、結局君に全てやらせてしまった」
「ううん、私がやらなきゃいけないことだったのよ──あの時逃げずに」
おそらく、ヴァイスとアンナの逢引を目撃した時の事を言っているのだろう。
そのまま再び沈黙が訪れた。
しばらくそのままにしていたが⋯⋯先に、静寂に耐えきれなくなったのは俺だった。
「まぁ、今の心境はいろいろあるだろうけど⋯⋯頑張ったな」
俺の言葉に、カレーナはゆっくりとこちらに顔を向け──その瞳から涙をこぼした。
「ねぇ、シモン⋯⋯」
「ん?」
「胸を⋯⋯借りても?」
「ああ」
俺の返事に、カレーナが体を倒し、俺の胸に顔をうずめた。
少しずつ、少しずつ、彼女の体は震えを強くしていき、やがて嗚咽を伴い始めた。
「うぅ、う、う、う⋯⋯」
どうしたものかな、と一瞬思ったが⋯⋯まぁ、仕方ない。
彼女の背をさすりながら、落ち着くのを待った。
しばらくして彼女の嗚咽が収まってきたのを見計らい、俺は尋ねた。
「結局⋯⋯君は彼のことが好きだったのか?」
「わからない、そういうのじゃないと、思う、でも、何か、情けなくて⋯⋯」
「彼が?」
「彼も、彼だけじゃなく、私も⋯⋯ううぅ、うわーん」
マズイ。
せっかく落ち着いてきたところに、余計な一言だったようだ。
今度こそ黙って、彼女が落ち着くのを待ち続けた。
カレーナも俺もしばらくそのままにしていたが、やがて彼女が顔を上げた。
「ごめんなさい、変な所を見せて」
「いや? 別に変だとは思わないな」
「結局、ね?」
「ん?」
「婚約が決まって、毎月顔を合わせて。それこそ公務のひとつみたいな感じで。単なる義務のように彼に接して、それで、追い詰めちゃったんだと思う」
「どうかな。彼が抑圧を感じていたとしても、増長したとしても、それは彼の責任だろう。君が重荷に感じる事はないさ」
「⋯⋯ありがとう」
そのままカレーナは、俺を見続ける。
しばらくして、彼女は俺の頬に触れた。
「ねぇ、シモン」
「ん?」
「こういう時⋯⋯良い男なら、女を慰めるんじゃない?」
カレーナの瞳は、先ほどまでの涙と違った潤いを見せていた。
俺は頬にある彼女の手に、自らの手を重ねた。
「カレーナ」
「うん」
「俺は⋯⋯立場や責任、使命から逃げ出し、一時の感情に身を任せようとする人間を甘やかしたりしない。その人物に好感を抱いていれば、特に」
「⋯⋯」
沈黙したままの彼女の手を、そっと掴んで俺の頬から外す。
カレーナは少し残念そうに、それ以上にホッとした表情を浮かべた。
「私、やっぱり魅力ない?」
「そんな事はないさ。魅力的だからこそ、俺はそれにつけ込んだりはしない」
「そう⋯⋯わかったわ」
彼女は少し嬉しそうにしながら、立ち上がった。
「じゃあシモン。一日恋人として、最後にお願い。私を家まで送ってくれない?」
「ああ」
「あ、でもその前に⋯⋯」
カレーナが何か言いかけた、その時──。
ドンドンドンドン!
事務所のドアが激しく叩かれた。
ヴァイスの態度はさらに情けないものへと変化した。
正直、俺は笑いを抑えるのに必死だ。
口がプルプルと震えている自覚がある。
カレーナはさらに追及を続けた。
「違う、違わないはともかく思い当たる節はあるのでしょう? 私が見たのはいつだと思うか言ってみて」
これも上手い。
自らの手札は晒さず、相手に手札を開けさせようとする。
彼女は交渉上手だな、うちの事務所で働いてほしいくらいだ。
「あー、えーと⋯⋯いや、アンナと抱き合ったりしてない、君の誤解だ」
カレーナはヴァイスをじっと見つめる。
ヴァイスもまた彼女を見ていたが、その様子はなんとか視線に耐えている──と俺の目には映った。
ややあって、カレーナはふっと笑いをこぼした。
「そう、ならいいわ。ごめんなさいね、私の勘違いだったみたい」
「そ、そうか、よかった、誤解が解けて!」
あっさり引くカレーナに、ヴァイスがあからさまにほっとした表情を浮かべる。
彼女は彼の言葉には答えずに、俺の方を向いた。
「じゃあシモン、さっき言ってた嘘を見破る魔法お願いできるかしら? 嘘をついたら、死んだほうがマシだと思えるような、激しい苦痛に見舞われるのよね?」
いや、そんな魔法ないが、とは言わない。
それより笑いをこらえるのに必死だ。
だって彼女が俺に嘘を見破る魔法について言及した瞬間、ヴァイスの顔に今までにない程の狼狽が浮かんだからだ。
「い、いやカレーナ、それは⋯⋯」
「私は婚約者としてあなたを信じることにします。その信用に応えていただけますわよね?」
「もちろんでしょうカレーナ様。ささヴァイス様ご協力させていただきますので、二人で誤解を晴らしましょう!」
俺も悪ノリして彼女の発言に乗る。
俺が指を向けた瞬間、ヴァイスの身体が白く光った。
「さぁ、準備はできました。その白い光は嘘を一切許さない神の御印です! ヴァイス様とアンナ様の間にやましいものは一切ない、そう証言して下さい!」
⋯⋯本当はただ、光魔法で身体を光らせただけだが。
ヴァイスはしばらく茫然としていたが、やがてこれまで必死におさえていた怒りの感情を、堤防が決壊したかのごとく吹き出してきた。
「そういう、所、なんだよ!」
貴公子の仮面を脱ぎ、ヴァイスは叫んだ。
「嘘をつくな? ああいいとも! 君にはずっとうんざりしてたんだ! 家格が上だからと高圧的に振る舞ってくる態度も、ボクに馬鹿を見るような視線を飛ばしてくるのも!」
「そんな態度取った覚えはないわ」
「君になくても、ボクは感じていた! いつも君に下に見られているような気持ちを! 君に釣り合おうと常に努力しても、周りからは『運で次期皇帝になる男』という評価しか与えられない! もう、うんざりなんだ!」
「そう、じゃあそんな評価から解き放って差し上げるわ。ヴァイス、正式に婚約を解消しましょう。父は反対するでしょうけど、私が説得するわ」
「そんな話じゃない! それは困る!」
「我儘ばかり言わないで。私が皇家、あなたが王家という現実がある以上、仮に結婚して貴方が皇帝の座を継いだとしても、どうしてもその評価は付きまとうわ。そこから逃れる方法は、婚約の破棄しかないでしょう?」
「じゃあ今までのボクの我慢はどうなる! 君はいつもそうだ、正しいけど言葉にボクへの配慮がないんだ! だからボクはアンナに⋯⋯」
失言に気が付いたのだろう。
ヴァイスはそこで言葉を止め、黙った。
まあ、時すでに遅しってやつだ。
カレーナは静かにため息をついた。
「語るに落ちたわね、ヴァイス。もうこの話は終わりよ」
「ま、まってくれ」
「シモン、彼を追い出して」
「了解しました、カレーナ様」
俺がにじり寄ると、ヴァイスは懐から銃を抜き、こちらへ向けた。
「ち、近寄るな、魔族!」
「はいはい、ちょっと失礼しますよ」
俺は意に介さず近づき、彼の首根っこをつかんだ。
ヴァイスは多少暴れたが、結局引き金を引く度胸もないらしい。
ドアを開け、彼を外に出した。
続けてカレーナはドアまで来て、外の騎士たちへと語りかけた。
「皆様、公務ご苦労様です。ヴァイスとの話し合いは終わりました。会談にご協力いただいたシモンさんにこれ以上迷惑はかけられません。すみやかに解散してください」
「し、しかし⋯⋯」
「私は大丈夫です、後ほど帰宅致します。これ以上恣意的な捜査を続けるというのであれば、私も告発しなければなりません。ただ、皆様にご迷惑をおかけするのは本意ではありません。繰り返しになりますが、すみやかな解散重ねてお願いします」
「⋯⋯畏まりました」
取り付く島もない、と感じたのだろう。
騎士たちはお互いに顔を見合わせたのち、解散の動きを見せる。
そんな中、俺に視線を飛ばしてくる男がいた。
カルミッドだ。
周囲のざわめきを一切気にする様子もみせず、ただ、俺を見ている。
ウィンクでも返そうかと一瞬悩んだが、やめた。
最後まで残っていたカルミッドだったが、やがて騎士たちの最後尾についていくように、ヴァイスとともに立ち去った。
静寂の中に取り残された俺とカレーナ。
騎士たちへの説得後、彼女は少し思い詰めたような表情をしてソファーに座っていた。
向かいに座ろうと歩み寄ると、彼女はソファーの、自分の横に空いたスペースをポンポンと叩いた。
「ここに座って? 一日恋人なんだから」
少し悲し気な表情をした彼女の指示通り、隣に座る。
ただ、彼女は隣に座れと言ってきたものの、顔は正面を向き、その視線は虚空に吸い込まれるように無表情だった。
しばらくそのまま黙っていたが、ヴァイスを呼ぼうと提案したのは俺だと思い、カレーナに弁明する事にした。
「すまないな、俺の提案のせいで。俺が対応するつもりだったが、結局君に全てやらせてしまった」
「ううん、私がやらなきゃいけないことだったのよ──あの時逃げずに」
おそらく、ヴァイスとアンナの逢引を目撃した時の事を言っているのだろう。
そのまま再び沈黙が訪れた。
しばらくそのままにしていたが⋯⋯先に、静寂に耐えきれなくなったのは俺だった。
「まぁ、今の心境はいろいろあるだろうけど⋯⋯頑張ったな」
俺の言葉に、カレーナはゆっくりとこちらに顔を向け──その瞳から涙をこぼした。
「ねぇ、シモン⋯⋯」
「ん?」
「胸を⋯⋯借りても?」
「ああ」
俺の返事に、カレーナが体を倒し、俺の胸に顔をうずめた。
少しずつ、少しずつ、彼女の体は震えを強くしていき、やがて嗚咽を伴い始めた。
「うぅ、う、う、う⋯⋯」
どうしたものかな、と一瞬思ったが⋯⋯まぁ、仕方ない。
彼女の背をさすりながら、落ち着くのを待った。
しばらくして彼女の嗚咽が収まってきたのを見計らい、俺は尋ねた。
「結局⋯⋯君は彼のことが好きだったのか?」
「わからない、そういうのじゃないと、思う、でも、何か、情けなくて⋯⋯」
「彼が?」
「彼も、彼だけじゃなく、私も⋯⋯ううぅ、うわーん」
マズイ。
せっかく落ち着いてきたところに、余計な一言だったようだ。
今度こそ黙って、彼女が落ち着くのを待ち続けた。
カレーナも俺もしばらくそのままにしていたが、やがて彼女が顔を上げた。
「ごめんなさい、変な所を見せて」
「いや? 別に変だとは思わないな」
「結局、ね?」
「ん?」
「婚約が決まって、毎月顔を合わせて。それこそ公務のひとつみたいな感じで。単なる義務のように彼に接して、それで、追い詰めちゃったんだと思う」
「どうかな。彼が抑圧を感じていたとしても、増長したとしても、それは彼の責任だろう。君が重荷に感じる事はないさ」
「⋯⋯ありがとう」
そのままカレーナは、俺を見続ける。
しばらくして、彼女は俺の頬に触れた。
「ねぇ、シモン」
「ん?」
「こういう時⋯⋯良い男なら、女を慰めるんじゃない?」
カレーナの瞳は、先ほどまでの涙と違った潤いを見せていた。
俺は頬にある彼女の手に、自らの手を重ねた。
「カレーナ」
「うん」
「俺は⋯⋯立場や責任、使命から逃げ出し、一時の感情に身を任せようとする人間を甘やかしたりしない。その人物に好感を抱いていれば、特に」
「⋯⋯」
沈黙したままの彼女の手を、そっと掴んで俺の頬から外す。
カレーナは少し残念そうに、それ以上にホッとした表情を浮かべた。
「私、やっぱり魅力ない?」
「そんな事はないさ。魅力的だからこそ、俺はそれにつけ込んだりはしない」
「そう⋯⋯わかったわ」
彼女は少し嬉しそうにしながら、立ち上がった。
「じゃあシモン。一日恋人として、最後にお願い。私を家まで送ってくれない?」
「ああ」
「あ、でもその前に⋯⋯」
カレーナが何か言いかけた、その時──。
ドンドンドンドン!
事務所のドアが激しく叩かれた。
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