【外伝・完結】神獣の花嫁〜さだめられし出逢い〜

一茅苑呼

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裏挿話・呼びかける真名(なまえ)〜美穂と茜〜【R15】

初夜【四】

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「あ……や、なんか、……っ……胸、ちっちゃいのに……」

セキコの唇は背中に、手のひらはせわしなく胸の上にあって。
徐々に上がっていく息に、美穂は泣きたくもないのに涙が出ている自分に気づく。

「やだ……なんか、なんかヘンになる……!」

「───じゃあ、このへんで止めとく?」

つややかなセキコの声が、耳もとでささやく。
背中から離れた唇と、美穂の腹の辺りで組まれた大きな手。

「どうする? これから、もっとスゴいことするけど?」

苦笑いに変わったセキコの声がして、小さく息をつかれた。

失望かと思ったが、おそるおそる振り返ったセキコの目には美穂を責めるところはなく、それよりももっと、別な色が浮かんでいた。

少女漫画ではなく、少年漫画を読んで育った美穂は、セキコのその表情に、自分に対する欲情を感じた。

(理性で、欲望を抑えてる?)

それは、昼に感じたセキコのなかの『異性』とは違って、純粋に生き物としての『欲求』を自分に向けるセキコがいとおしく感じる瞬間だった。

(こんなあたしをこいつは求めてくれて、それでもあたしが嫌がるのなら、止めようとしてるんだ……)

それは、少しせつないけれど、同時に、嬉しくもある。

「す、スゴいこと、したい」
「え?」

美穂が出した精一杯のか細い声は、この距離では届くはず。

聞き返されたのは、聞き間違いを正すためのものだろう。

「あたしは、お前と……スゴいこと、してみたい」

「美穂……」

自分でも分かるほどの赤面で、セキコを見上げ、思いきった本心を美穂は告げた。

驚きを隠せずにいたセキコは、しかしじきにいつもの微笑を浮かべる。

「可愛い……! アタシの、子猫ちゃん」

ぎゅうっと、後ろから美穂を抱きしめ、ついばむように美穂の唇にくちづける。

「……続き、するわね?」

確認するように、美穂の瞳をしっかりとのぞきこんだセキコの手のひらが、美穂の内側のももをなで上げた。

押し開かれた場所を、自分の後ろからのぞきこまれる。
誰にも暴かれたことのない、秘めどころ

「……んっ……」

たどった指先が、感じやすい部分に触れ、しびれるような感覚が美穂の全身に走る。

(もうこんなになってる……)

すっかり濡れてしまっていることを、セキコはどう思うだろう?
自分で自分を慰めることを知っているからこその、身体の反応。

だが、何も言わずにセキコは美穂の敏感な『良いトコロ』を濡れた指の腹でこすっている。

沈黙に堪えきれず、美穂は訊く必要のないことを訊いてしまう。

「こ、こんなになっちゃってて……いやらしい子だ……って、……軽蔑する?」

あふれる出る滴は快感の印。
それを見られて恥ずかしいと思うのに、美穂はもう、止めて欲しいとは願えなかった。

「そんなこと、思うわけないでしょ」

馬鹿ね、と、セキコの唇が告げ、美穂の耳たぶを甘がみする。

「それより───ナカ、いじったことある?」

「へ? なか? な、ないよ、こわいもん」

「そう。……指、れていい?」

焦らすように、ためらうように。

入り口を執拗に行き来するセキコの指先を見ながら、美穂は一瞬迷ったものの、うなずく。

「い、いいよ」

美穂の返事とほぼ同時。
つぷんと入りこんできた異物感に、美穂の身がこわばった。

「は……ぁ、ん……」

「痛い?」

「いた……くは、ない……けど、ヘンな、感じ……!」

痛みがまったくないと言ったら嘘になるが、それよりも自分のなかにセキコの指があるという感覚が、慣れない。

セキコの指が動くたび、せつないような落ち着かない心地になって、美穂の手は自然セキコの腕にしがみついていた。
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