【完結】Keyless☆Night 一晩だけでいいから、泊めて?

一茅苑呼

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Keyless☆Night 一晩だけでいいから、泊めて?

初めて、なので。【2】

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少し溶けたアイスを口に放りこんで、その冷たさと甘さに、んーっと、身もだえる。

「……美味しいですか? アイス」

「うん、美味しいよ。……雅貴くんも食べる?」

専用のプラスチックスプーンで差し出せば、軽く首を振られる。

「いえ、オレは結構です」

「遠慮しなくて、いいんだよ?」

てっきり、食べたいから訊いてきたのかと思ったけど、違ったのかな?

行き場をなくしたアイスをふたたび自分の口のなかに入れる。

「じゃあ……」

と、雅貴くんの顔が、私に近づいて。

「……っ……」

重ねた唇から舌が入りこんで、味蕾みらいにしか残ってないんじゃないかっていうアイスを、絡め取られる。

「……味見だけ。ありがとうございます。
あと、食べてる叶絵さんを見てたいだけなんで、オレのことは気にしないでください」

「……もうっ!」

さっきの、
「初めて、なんで」
って、言った顔の可愛いらしさとのギャップあり過ぎ!

なんで、そんなに平然とエロいことすんの。
いいけど! 好きだけど!

「それと」

クールダウンのために食べたのが意味ないくらい、熱くなった頬をごまかすようにして、またアイスを食べていると。

本当に、じっと真顔で私を見つめていた雅貴くんが、言った。

「叶絵さんが大丈夫そうなら、もう一回しても、いい、ですか?」

「へ?」

「駄目ですか? さっきは必死過ぎて、あんまり叶絵さんのこと気遣えなくて……。
今度はちゃんと、叶絵さんにも気持ち良くなってもらいたいんで」

「だっ、大丈夫だよ!」

全然、フツーに、良かったよ!
って、続くはずの私の言葉を待たずに、雅貴くんは了承ととらえたらしい。


「ありがとうございます」

間、髪を入れずに、やわらかく微笑む雅貴くんに。

私はまた、胸を撃ち抜かれたあげく、そのまま彼の『ご奉仕』をありがたく受け入れることとなった。



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