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後日談『進藤くんちのウラ事情』
Side M ──雅貴視点⑤──
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「……っ、もう! こんなことするの、雅貴くんくらいだよっ」
……ああ、ヤバい。
父さんが母さんにやたらと触れたがる訳が解った気がする……。
母さんの「怖ろしい子」が、よみがえる。
それと、もうひとつ。
オレが幼い頃、じいちゃんが言ってたことも。
❖❖❖❖❖
夜中、ふと目を覚ましたオレが、耳にしてしまった両親の『秘密の会話』。
ずっと、仲が良いと思っていた両親。
特に、母に優しいと思っていた父と、そんな父を叱りつけて従わせるような母。
それが、逆転したかのような、内容と雰囲気。
とまどった幼い日のオレは、じいちゃんに相談をもちかけた。
「父さんは、本当は母さんが嫌いなのかな。このあいだ、母さんが嫌がることしてたみたい」
と、言ったオレの話を細部まで聞いた祖父の心情を思うと……いまのオレは、かなりやるせない。
じいちゃん、ゴメン。
……ってか、両親少しは自重しろ、と思う。
まぁ、その時に返してくれたじいちゃんの言葉が、状況を端的に表すけど。
つまり。
「……そうか。それは、雅貴も心配になるな。
でもな、雅貴。お前の父さんも母さんも、すごく仲が良いのは知ってるだろ?
大人になれば、お前が考えてるよりももっと、二人が仲が良いのが解ると思うから……。
とりあえず、今度の土日から、週末はじいちゃんちに泊まりに来るといい」
それから両親が、夜中オレに不仲を思わすような事態はなくなった。
オレの話を受けて、じいちゃんが二人に説教したんだろう。
……何を話したかは『大人になった』オレには、お察しだ。
❖❖❖❖❖
「またね、雅貴くん」
「はい。叶絵さん、また」
……いったい、何度目の別れのあいさつだ、と、自身で突っ込みを入れつつ、オレは叶絵さんが運転する桜色の軽自動車が見えなくなるまで、見送っていた。
────おわり────
……ああ、ヤバい。
父さんが母さんにやたらと触れたがる訳が解った気がする……。
母さんの「怖ろしい子」が、よみがえる。
それと、もうひとつ。
オレが幼い頃、じいちゃんが言ってたことも。
❖❖❖❖❖
夜中、ふと目を覚ましたオレが、耳にしてしまった両親の『秘密の会話』。
ずっと、仲が良いと思っていた両親。
特に、母に優しいと思っていた父と、そんな父を叱りつけて従わせるような母。
それが、逆転したかのような、内容と雰囲気。
とまどった幼い日のオレは、じいちゃんに相談をもちかけた。
「父さんは、本当は母さんが嫌いなのかな。このあいだ、母さんが嫌がることしてたみたい」
と、言ったオレの話を細部まで聞いた祖父の心情を思うと……いまのオレは、かなりやるせない。
じいちゃん、ゴメン。
……ってか、両親少しは自重しろ、と思う。
まぁ、その時に返してくれたじいちゃんの言葉が、状況を端的に表すけど。
つまり。
「……そうか。それは、雅貴も心配になるな。
でもな、雅貴。お前の父さんも母さんも、すごく仲が良いのは知ってるだろ?
大人になれば、お前が考えてるよりももっと、二人が仲が良いのが解ると思うから……。
とりあえず、今度の土日から、週末はじいちゃんちに泊まりに来るといい」
それから両親が、夜中オレに不仲を思わすような事態はなくなった。
オレの話を受けて、じいちゃんが二人に説教したんだろう。
……何を話したかは『大人になった』オレには、お察しだ。
❖❖❖❖❖
「またね、雅貴くん」
「はい。叶絵さん、また」
……いったい、何度目の別れのあいさつだ、と、自身で突っ込みを入れつつ、オレは叶絵さんが運転する桜色の軽自動車が見えなくなるまで、見送っていた。
────おわり────
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