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第八章 ── 斎藤 蒼 II ──
友達にもなれない二人【5】
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「……ミサコ、さんは……違う、の?」
瑤子と蒼の仲をねたむあまり、ひどい仕打ちを企てた人物。
だがそれも、蒼を想うあまりの行為だった。
そこまで想ってくれる相手なら、憎からず思っているはずだと瑤子は考えたのだが、どうやらそうではないらしい。
蒼は軽く肩をすくめた。
「彼女にそういう気持ちがもてていたら、君との関係は、最初からなかったと思うよ」
「───そう……」
「残念そうだね。
おれと実砂子が付き合ったほうが君としては都合がいいのかな?」
からかうような物言いと共に、ひざ上で抱えたペットボトルをもつ手の甲に蒼の指先が触れた。
自然な動きは、彼との数々の経験を思い起こさせ、瑤子はどきっとして蒼を見返した。
「なんて顔、してるの?」
瑤子の反応に、蒼はくくっ……と笑いだす。
瑤子からペットボトルを取り上げ、傍らへと投げ入れた。
「飲み終えたのなら、捨てるよ? ……って。言おうと思ったんだけどな」
「……あなたって、結構、悪趣味ね」
「まさか君が、手を握ったくらいで動揺するなんて思わなかったから、最後にキスくらいと思ったけど、やめておくよ」
本当に、おかしくてたまらないといった様子で、蒼は立ち上がった。
「じゃ、ね。瑤子ちゃん」
短い別れの言葉を肩ごしに残し蒼はそのまま、公園を去って行った───。
瑤子と蒼の仲をねたむあまり、ひどい仕打ちを企てた人物。
だがそれも、蒼を想うあまりの行為だった。
そこまで想ってくれる相手なら、憎からず思っているはずだと瑤子は考えたのだが、どうやらそうではないらしい。
蒼は軽く肩をすくめた。
「彼女にそういう気持ちがもてていたら、君との関係は、最初からなかったと思うよ」
「───そう……」
「残念そうだね。
おれと実砂子が付き合ったほうが君としては都合がいいのかな?」
からかうような物言いと共に、ひざ上で抱えたペットボトルをもつ手の甲に蒼の指先が触れた。
自然な動きは、彼との数々の経験を思い起こさせ、瑤子はどきっとして蒼を見返した。
「なんて顔、してるの?」
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瑤子からペットボトルを取り上げ、傍らへと投げ入れた。
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「……あなたって、結構、悪趣味ね」
「まさか君が、手を握ったくらいで動揺するなんて思わなかったから、最後にキスくらいと思ったけど、やめておくよ」
本当に、おかしくてたまらないといった様子で、蒼は立ち上がった。
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