【完結】拾った猫が超絶美少女だったので、彼女を救うため異世界に行って来ます！

番外編『夢天女の涙』──ジーク視点──

７．誰よりも待ってくれた存在

もと来た道を辿たどって行くと、向こうのほうから、ギルとダルクがやって来るのが見えた。

オレを見るなりダルクは、

「すごい！　無事だったんですね！
こんなこと、いつ以来なんだろう……ホント、奇跡みたいだ！」

なんて、やたらと感動しまくっていた。

そんなダルクにギルは苦笑いしたあと、オレに言った。

「よかったね。これでエマは、ワーリィとの婚約を破棄するはずだよ。
スローン氏も、君とエマとの仲を、認めないわけにはいかないだろうし」

「……だと、いいけどな」

肩をすくめてみせると、ギルはちょっと笑って、オレの胸を軽く手の甲で叩いた。

「夢天女の涙は、スメルムーンでは『絶対的な祝福』を意味してるんだ。
誰も逆らうことなんて、できないさ。

それに」

言葉をきって、ギルが後ろを振り返る。

「誰よりも君の帰りを待っていたのは、彼女だろうしね」

ほら、と、ギルが指差す向こう、栗色の髪をなびかせて、エマが駆け寄ってくるところだった。

最上級の笑みを浮かべて……。






　　　　　　【夢天女の涙・終】


※続けて、エマ視点の『番外編／夜光華の回想』となります。