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第四章 真実の行方
10.ユーヤ、ごめん
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「カミュ……ラ。おま、え……間違っ……て、る、よ……」
オレの言葉に、カミューラはちょっと笑った。
「間違い? そんなこと、最初から分かっていたわ。
他人を犠牲にして、それでも私は、ユーヤを王に就かせたかった。
だからティアもつくったわ。
ユーヤは……王にふさわしかったもの……」
半ば目を伏せて、カミューラは静かに口を閉ざす。
───カミューラは、ユーヤのことしか考えられなかったんだ。
ここの人々から拒まれ続けていた彼女が、信じられたのは、ユーヤだけだったんだ……。
───だから。
ユーヤしか、目に入らなかった。
ユーヤ以外の人間を、思いやることができなかったんだ……。
そんなカミューラを思うと、何も言えなかった。
世界中の、いやせめて学校中の人々を敵にまわしたとき、オレは彼らのことを思いやれるだろうか?
そんな敵だらけのなかで、たった一人でも自分の味方になってくれる人が出てきたら、オレはきっと、その人のことしか考えられなくなるんじゃないだろうか───。
「ユーヤは……本当に、それを……望んでいたのかよ……?」
尋ねてみた。
ユーヤはカミューラを、責めなかったのだろうか?
だって、親友を殺されたんだぜ? しかも、自分が疑われるような方法で。
カミューラは、頬にかかったブロンドの髪を、優雅に耳の後ろに流しながら答えた。
「これで王位はあなたのものよって、ユーヤに言った時、彼はありがとうって、応えてくれたわ。
望んでいたはずよ」
それを聞いた瞬間、オレはたまらなくなって、片手を地面に叩きつけた。
どうして……!
やりきれない思いで、カミューラを見た。
「ユーヤは、君の気持ちを考えて、そう言ったんだ!
こんなことをされて迷惑だなんて、ユーヤには、どうしても言えなかったんだ!」
わめき散らすように言ってしまったオレの前で、カミューラは表情を強ばらせた。
「そん、な……うそよ……。
だって、ユーヤは確かに、ありがとうって───」
「本当のことを言えば、君を傷つけると思ったんだ。
君が彼のためにしたことを、ユーヤは、自分の責任に感じたんだ。
だからっ……」
激情のあまり声を失いながら、それでもカミューラに伝えようと、必死になって言葉をつむいだ。
「だから、自分のなかのジークへの想いを抑えて、ただ君だけの想いを大事にして、ユーヤはありがとうって、言ったんだ」
オレの言葉のひとつひとつを、カミューラは思いつめたように繰り返し、つぶやく。
「私は、ただ……ユーヤのためを思って───」
口もとを覆って、カミューラは視線を宙に浮かせる。
その姿は、やり場のない悲しみを持て余しているように、見えた。
オレは、思わずうつむいた。
ユーヤ、ごめん。
お前が懸命にかばったカミューラの想いを、オレが傷つけちゃったよ。
でもオレは、お前の気持ちを、彼女に知って欲しかったんだ。
───赦してくれるよな……?
「きゃっ……」
小さな悲鳴のあと、もみ合う音がオレの耳に届く。
顔を上げれば、カミューラを地面に押し倒し、馬乗りになって彼女に剣を振り上げるエマが目に入った。
「やめろよ、エマっ!」
思わず叫ぶと、エマは鋭くこちらを見返した。
「貴様に、何が分かる!
ジークは……ジークは、こいつ一人の勝手な思い込みで、殺されたんだぞっ!
ただ、それだけで……!」
唇をかみしめ、エマは剣を逆手に持ちかえた。
「カミューラ、死ね!」
「やめ───」
そこまで言った瞬間、剣は真っすぐに突き立てられていた……。
エマは肩を大きく上下させ、目の前を凝視していた。
「エマ……カミューラ……!!」
オレの言葉に、カミューラはちょっと笑った。
「間違い? そんなこと、最初から分かっていたわ。
他人を犠牲にして、それでも私は、ユーヤを王に就かせたかった。
だからティアもつくったわ。
ユーヤは……王にふさわしかったもの……」
半ば目を伏せて、カミューラは静かに口を閉ざす。
───カミューラは、ユーヤのことしか考えられなかったんだ。
ここの人々から拒まれ続けていた彼女が、信じられたのは、ユーヤだけだったんだ……。
───だから。
ユーヤしか、目に入らなかった。
ユーヤ以外の人間を、思いやることができなかったんだ……。
そんなカミューラを思うと、何も言えなかった。
世界中の、いやせめて学校中の人々を敵にまわしたとき、オレは彼らのことを思いやれるだろうか?
そんな敵だらけのなかで、たった一人でも自分の味方になってくれる人が出てきたら、オレはきっと、その人のことしか考えられなくなるんじゃないだろうか───。
「ユーヤは……本当に、それを……望んでいたのかよ……?」
尋ねてみた。
ユーヤはカミューラを、責めなかったのだろうか?
だって、親友を殺されたんだぜ? しかも、自分が疑われるような方法で。
カミューラは、頬にかかったブロンドの髪を、優雅に耳の後ろに流しながら答えた。
「これで王位はあなたのものよって、ユーヤに言った時、彼はありがとうって、応えてくれたわ。
望んでいたはずよ」
それを聞いた瞬間、オレはたまらなくなって、片手を地面に叩きつけた。
どうして……!
やりきれない思いで、カミューラを見た。
「ユーヤは、君の気持ちを考えて、そう言ったんだ!
こんなことをされて迷惑だなんて、ユーヤには、どうしても言えなかったんだ!」
わめき散らすように言ってしまったオレの前で、カミューラは表情を強ばらせた。
「そん、な……うそよ……。
だって、ユーヤは確かに、ありがとうって───」
「本当のことを言えば、君を傷つけると思ったんだ。
君が彼のためにしたことを、ユーヤは、自分の責任に感じたんだ。
だからっ……」
激情のあまり声を失いながら、それでもカミューラに伝えようと、必死になって言葉をつむいだ。
「だから、自分のなかのジークへの想いを抑えて、ただ君だけの想いを大事にして、ユーヤはありがとうって、言ったんだ」
オレの言葉のひとつひとつを、カミューラは思いつめたように繰り返し、つぶやく。
「私は、ただ……ユーヤのためを思って───」
口もとを覆って、カミューラは視線を宙に浮かせる。
その姿は、やり場のない悲しみを持て余しているように、見えた。
オレは、思わずうつむいた。
ユーヤ、ごめん。
お前が懸命にかばったカミューラの想いを、オレが傷つけちゃったよ。
でもオレは、お前の気持ちを、彼女に知って欲しかったんだ。
───赦してくれるよな……?
「きゃっ……」
小さな悲鳴のあと、もみ合う音がオレの耳に届く。
顔を上げれば、カミューラを地面に押し倒し、馬乗りになって彼女に剣を振り上げるエマが目に入った。
「やめろよ、エマっ!」
思わず叫ぶと、エマは鋭くこちらを見返した。
「貴様に、何が分かる!
ジークは……ジークは、こいつ一人の勝手な思い込みで、殺されたんだぞっ!
ただ、それだけで……!」
唇をかみしめ、エマは剣を逆手に持ちかえた。
「カミューラ、死ね!」
「やめ───」
そこまで言った瞬間、剣は真っすぐに突き立てられていた……。
エマは肩を大きく上下させ、目の前を凝視していた。
「エマ……カミューラ……!!」
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