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第二章 異世界への扉
5.誰にも言えない彼女たちの存在
しおりを挟む信号が変わるのを待つ歩行者の群れ
この信号を渡りきるまでの一分足らずの間
私たちみんなの目的は同じ
「横断歩道を渡って向こう側へ行くこと」
ただそれだけの一致に喜びを覚えるのは
私の心が弱っているからか
その先は、人それぞれ
真っすぐ進む人
右へ行く人
左へ行く人
すぐに散り散りになる
散ったあと、またさっきの場所にできる
信号が変わるのを待つ歩行者の群れ
繰り返される光景
変わらない
けれどそこにいる「人間」は
変わり続ける
目も合わせない関係
けれどもしかしたら隣の人は
いつもネット上で話している
あの人かもね
人生はまるで交差点
一生、直接話すことがないであろう
人々の背中に
勝手に思いを重ねて
ファンになってみたり
勝手に裏切られたような
気分になってみたり
「なんとなく、貴方と私は
横断歩道を渡りきったあとも
一緒に、真っすぐ
この道を歩くんだと思っていたよ」
右へ向かい 遠くなる背中
何の関係もない
ただひととき一緒にいただけ
なのにチクリと刺さるものを感じて
変だね
数多く存在する
「終わってしまう淡い関係」
地球や宇宙から見れば
「クラスメイト」のままで終わった
あの人との関係も
ただひととき
信号が変わるのを一緒に待った
あの人との数十秒も
大差ないのかもね
百年、二年、三十秒
あの「ひととき」が流れている間に
手を繋げなかった
声をかけられなかった
「またね」とすら言えなかった
遠くなる背中
一緒に信号を待っていても
一緒に電車やバスに乗っていても
同じレストランで同じものを食べていても
この縁は、私の心に打ち消される
「所詮他人」
心が遠い
目も合わせられない
見るのは背中ばかり
そんな中時々
見ず知らずの人から声をかけられる
「どこから来たの?」
「いい天気だね」
私はドキッとして
こわばった顔で小さく言葉を返す
届いたかなぁ
もったいないことをしたな
私も「あっち」の人間になりたいのに
本音を言えば
誰彼構わず手を差し出して
握手を求めたい
言葉を交わしたい
でもどうしようもなく人が怖い
おかしいな
思いの交差点
幾度となく、繰り返した
また誰かと一緒に
信号が変わるのを待つ
「みんなどこに行くの?」
けど空を見上げて
そこに雨雲や太陽や星がいてくれて
時々
安心感や心地良さが沸き上がってくる
そうだ……
これから先、「私」や「誰か」が
真っすぐ進もうと
右へ行こうと
左へ行こうと
私たちは心の中で
唯一変わらない
同じ思いを持って
同じ道を歩んでいる
「自分らしく生きたい」と
だから他の何が違ったっていいや
時に肩がぶつかって
しかめっ面したり
されたりしても
おこがましいけど許してよね
心の中で同じ道を歩んでいるなら
きっとまたどこかで
必ず出会う
私たち、何度 肩並べただろう
何度同じ道を通って
違う行き先を選んだだろう
目も合わせず
記憶すらない
淡い関係
けど
どれだけたくさんの人と知り合ったって
言葉を交わしたって
多くの仲間や敵を作ったって
その数、きっとたかが知れている
地球の80%
回しているのは
回っているのは
目も合わせず
記憶すらない
「淡い関係」
「誰かが笑っていますように」
「誰かの願いが叶いますように」
「誰かが幸せでありますように」
一生出会わず
関わることもないかもしれない
どこかの「貴方」へ……
今日も思いが交差する
「袖触り合うも多生の縁」
この信号を渡りきるまでの一分足らずの間
私たちみんなの目的は同じ
「横断歩道を渡って向こう側へ行くこと」
ただそれだけの一致に喜びを覚えるのは
私の心が弱っているからか
その先は、人それぞれ
真っすぐ進む人
右へ行く人
左へ行く人
すぐに散り散りになる
散ったあと、またさっきの場所にできる
信号が変わるのを待つ歩行者の群れ
繰り返される光景
変わらない
けれどそこにいる「人間」は
変わり続ける
目も合わせない関係
けれどもしかしたら隣の人は
いつもネット上で話している
あの人かもね
人生はまるで交差点
一生、直接話すことがないであろう
人々の背中に
勝手に思いを重ねて
ファンになってみたり
勝手に裏切られたような
気分になってみたり
「なんとなく、貴方と私は
横断歩道を渡りきったあとも
一緒に、真っすぐ
この道を歩くんだと思っていたよ」
右へ向かい 遠くなる背中
何の関係もない
ただひととき一緒にいただけ
なのにチクリと刺さるものを感じて
変だね
数多く存在する
「終わってしまう淡い関係」
地球や宇宙から見れば
「クラスメイト」のままで終わった
あの人との関係も
ただひととき
信号が変わるのを一緒に待った
あの人との数十秒も
大差ないのかもね
百年、二年、三十秒
あの「ひととき」が流れている間に
手を繋げなかった
声をかけられなかった
「またね」とすら言えなかった
遠くなる背中
一緒に信号を待っていても
一緒に電車やバスに乗っていても
同じレストランで同じものを食べていても
この縁は、私の心に打ち消される
「所詮他人」
心が遠い
目も合わせられない
見るのは背中ばかり
そんな中時々
見ず知らずの人から声をかけられる
「どこから来たの?」
「いい天気だね」
私はドキッとして
こわばった顔で小さく言葉を返す
届いたかなぁ
もったいないことをしたな
私も「あっち」の人間になりたいのに
本音を言えば
誰彼構わず手を差し出して
握手を求めたい
言葉を交わしたい
でもどうしようもなく人が怖い
おかしいな
思いの交差点
幾度となく、繰り返した
また誰かと一緒に
信号が変わるのを待つ
「みんなどこに行くの?」
けど空を見上げて
そこに雨雲や太陽や星がいてくれて
時々
安心感や心地良さが沸き上がってくる
そうだ……
これから先、「私」や「誰か」が
真っすぐ進もうと
右へ行こうと
左へ行こうと
私たちは心の中で
唯一変わらない
同じ思いを持って
同じ道を歩んでいる
「自分らしく生きたい」と
だから他の何が違ったっていいや
時に肩がぶつかって
しかめっ面したり
されたりしても
おこがましいけど許してよね
心の中で同じ道を歩んでいるなら
きっとまたどこかで
必ず出会う
私たち、何度 肩並べただろう
何度同じ道を通って
違う行き先を選んだだろう
目も合わせず
記憶すらない
淡い関係
けど
どれだけたくさんの人と知り合ったって
言葉を交わしたって
多くの仲間や敵を作ったって
その数、きっとたかが知れている
地球の80%
回しているのは
回っているのは
目も合わせず
記憶すらない
「淡い関係」
「誰かが笑っていますように」
「誰かの願いが叶いますように」
「誰かが幸せでありますように」
一生出会わず
関わることもないかもしれない
どこかの「貴方」へ……
今日も思いが交差する
「袖触り合うも多生の縁」
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