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❖エピローグ
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それから三年が過ぎた。
俺は朋美と結婚して、子供も一人、生まれていた。
───静とは、あの日以来、会うことはなかった。
ただ、一度だけ、新しくできたショッピングモールに、朋美と子供と三人で出かけた時、静を見かけたことがある。
朋美がトイレに行ってる間、ベビーカーの子供をあやしながら、ベンチに腰けていた。
人がひっきりなしに行き交うなか、なぜか惹きつけられた視線の先に、静がいた。
あの頃より、ずっと綺麗な横顔。
俺に見せたことのない、柔和な微笑みを、隣にいる男に向けていた。
───幸せ、なんだな。
そう思ったら、なんだか泣けてきた。
───これで良かったんだよな、お互い。
そう思うのに、泣けてきた。
───忘れられないのは、俺だけなのかもしれないな……。
苦笑いが浮かんだ時には、もう、視界から静は消えていた。
そうして、あの夜の面倒で厄介な……
だけど憎めなかった『静』が残るのは、俺の遠い記憶のなかだけとなるんだろう。
《END》
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