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5.

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そのあと何回か、静と二人だけで会った。

特に、どこへ行くではなく──たいがいカラオケで──最後にキスして、その先も……みたいな展開で。

俺は、それを『浮気』だとは、考えてなかった。

自分でもよく解らない熱病に、侵されている感じだった。





そんなある日。
仕事あがりに食事しよう、と、朋美に誘われた。

朋美の方は、すっかりほったらかしの俺だったが、周囲は俺たちのことを『公認』していて。

普段あまり関わりのない、精肉部や鮮魚部のおばちゃん達にも、からかわれるほどだった。


朋美はどうやら、外堀から埋めてくるタイプの女だったらしい。

……静の時は、知る人ぞ知る、みたいだったのに。

「仲村さんと、付き合ってたんだって?」

コーラを飲みながら、朋美に上目遣いに見られ、俺は肩をすくめた。

「んー……ま、そうだけど。俺がフラレて終わったんだよ」

───なのに、時々二人だけで会って。

エッチして、別れてる。
付き合ってた頃と、一緒だ。

テーブルに置かれたカルボナーラの皿を、フォークでつつく。

……俺と静って、なんだ?

「ふーん。……いまでも、会ったりしてるの?」

「え?」


「嫌いになって別れたんじゃないんでしょ、桜井くんの方としては。

向こうから連絡あったりすれば、やっぱり、会いたくなるんじゃないの?」

騒がしいファミレスで、俺たちの座る一角だけが、急に温度が下がった気がした。

「何……言ってんだよ。いま、俺、お前と付き合ってるじゃん」

言いながら、そこで初めて実感する。

はたから見れば、俺のやってることって、二股以外のなにものでもないんだと……。


       *


「……直和……いま、話せる?」

自分のしていることを自覚してから初めて、静の方から連絡があった。

その日、友人とばか騒ぎした後だった俺は、ケータイから聞こえてくる静の涙声に、酔いが一気に冷めてしまった。

理由わけを尋ねても、泣き続ける彼女に、らちがあかず、それで彼女の自宅まで迎えに行った。



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