【完結】イケメン外国人と親交を深めたつもりが、イケメン異星人と恋人契約交わしてました!

一茅苑呼

文字の大きさ
上 下
13 / 16
❖グレイな恋人❖

異種接近交遊 Part.7『不穏』

しおりを挟む
差別論者っているよね、あー、ヤダヤダ。
……なんて心で思って、適当にご婦人の話に相づちうってたに違いない。
私は所詮、そういうエセ正義の小市民だ。

「困った御婦人ですね。秋良さんをこんなふうに泣かせて」

でも、と、ライが私の両方の目じりに唇を寄せる。

「僕のために怒ってくれて、ありがとうございます。
僕も、秋良さん大好きなので、そんな大好きな秋良さんを泣かせた諸悪の根源を絶ちますね」
「……なに? どういう意味?」

ライが放った言葉がなんだか不穏な気がして、怒りも涙も吹き飛んでしまい、思わず彼を見上げた。

にっこりと笑ってみせたあと、ポケットからスマホを取り出すライ。

「───あ、ジンさん。ちょっと調べて欲しいことと、お願いが幾つか。
……いやだな、もちろん『調査』の一貫ですよ」

心底たのしそうに告げるライの様子に、私は私の直感が正しかったことに気づく。
そしてそれは、数日後、確信に変わったのだった。



「コレ、秋良さんにあげますね」
「えっ。いいの?」

ライとの交流きっかけになった呪いをめぐるアニメ(なんかこういうと昔流行はやったホラー映画のキーワードに近いな)のコラボグッズ欲しさに、ライと行ったファミレスから帰ったあと。

もらったコラボグッズのひとつであるクリアファイルをライが私に差し出してきた。

「僕、コレクターじゃないんで。
それよりも、一緒に好きなもの共有したり語ったり……秋良さんと『好き』を楽しめるのが、一番有意義な時間なんで」
「……それは、どうも」

どちらかというとコレクター寄りな自分の指向と。
ライからの掛け値なしの好意が、後ろめたいやら照れくさいやらで。
私は素っ気なく、そのファイルを受け取った。

……や、本音をいえば、外袋を開けた瞬間、あんまり好きではないキャラのクリアファイルだったんで、ちょっと悲しかったんだけど。

ライが開けた袋の中身が最推しキャラだったんで、顔に「羨ましい、くれ!」って、出てたのかもしれない。
気を遣わせたな、きっと。

「なんか、飲む?」
「お任せします」

勝手知ったる我が家といったていで、テーブルにつきクッションを抱えるライ。

相も変わらず、私たちは休みとなるとアニメ鑑賞会だ。

今日は、ライが観たことないという、少女漫画原作の様式美にこだわった、当時、カルト的人気といわれたアニメ。

「あー、昔、あの刻印の入った指輪が欲しかったんだよね」
「でも、ちょっとデザイン、ごついですよね。男物っぽいっていうか」
「言われてみると、そうかも。もともと主人公が王子様が付けてたって気にしてたのが始まりだし」

ふたりして他愛もないヲタクトークを交わしつつ、劇中、急にいなくなったと語られる登場人物の退場に、私は先日、急に越して行ったのアパートの住人を思いだした。

それは、階下に住む若いご夫婦で。
一度だけ、駐車場でコンビニ袋をポイ捨てする旦那さんを見かけたことがあった。

引っ越してきたのは、つい一ヶ月前。
なんで覚えてるかといえば、夜、騒がしいなと思ったら、家財道具を運び入れてるのを見たからだ。

まさか、とは思うけど───。

「あ。劇場版もあるんですね。続けて観てもいいですか?」
「……あのさ。その前に、いいかな?」
「はい?」

ライの、この無邪気さが逆に怖いというか、アヤしい。
きょとんと見返された私は、思いきって核心をつく。

「この前、越して行った若夫婦───」
「ああ、彼らみたいですよ、無秩序ゴミ出し犯。ジンさんが言ってました。
なので、ちょっと裏から手を回して【居なくなって】もらいました」

清々しいまでの、ライの笑顔の返答。
……うん。そうかと思ったけど。

「裏って……何ルート?」
「まぁまぁ。そんな、ヤバい組織みたいな言い方しないで。
ちょっとアメリカの偉い人から、ちょっと日本のそれなりに偉い人に話がいって、そういう部隊の人たちが日々の正当な任務をこなしたってだけですから」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

【完結】Keyless☆Night 一晩だけでいいから、泊めて?

一茅苑呼
恋愛
❖本郷(ほんごう)叶絵(かなえ) 26歳  洋菓子店販売員兼パティシエール         ✕ ❖進藤(しんどう)雅貴(まさき) 21歳  無表情イケメン大学生  ◆◆◆年の差ラブコメディ◆◆◆ 拙著『ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!』の次世代ストーリーです。 他サイト複数掲載済み。……ですが、アルファポリスさんにてR15程度の艶ごとシーン追加しました。  ────あらすじ──── いや、図々しいよね? 絶対、常識ないって思われてるよね? 「一晩だけでいいから泊めて!」 って。 ビジネスホテルにでも泊まっとけって話だよね。 「別に、いいですよ」 ……え? いいの? 本当に? こうして私は、バカでビッチな女と思われるのを覚悟で片想い中の進藤くんに頼みこみ、一晩だけ泊めてもらうことになりました、やった! ……優しさにつけこんで、ゴメンね。 誓って、何もしないからさ……たぶん。

ワケあり上司とヒミツの共有

咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。 でも、社内で有名な津田部長。 ハンサム&クールな出で立ちが、 女子社員のハートを鷲掴みにしている。 接点なんて、何もない。 社内の廊下で、2、3度すれ違った位。 だから、 私が津田部長のヒミツを知ったのは、 偶然。 社内の誰も気が付いていないヒミツを 私は知ってしまった。 「どどど、どうしよう……!!」 私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました

加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

処理中です...