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❖グレイな恋人❖
異種接近交遊 Part.4『順応』
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「ああ、ハイ。……ですよね、秋良さんならそういうと」
思ってました、というライの苦笑いを受け流しつつ、私はライ本来の姿だという彼の身体を思いきり抱きしめる。
やだーっ。なに、この感触!
もふもふなのに、ちょっと硬い。なめらかなベルベットみたいなさわり心地。
その下にあるのは、しなやかな獣の筋肉って感じ。
ああ、どうしよう……、なんか、変なスイッチ入る……!
身もだえる私に対し、ライの鼻先が私の頬に触れた。
「秋良さん。もうそのへんにしてくれないと、今夜は眠れなくなりますよ?」
……それは、朝までアニメ観まくろうかって意味じゃないよね?
私もさすがに自分の体力の限界を思いだし、しぶしぶライの身体から離れた。
「さっき可視光線がどうとかって言ってたけど、それって、目の錯覚? を相手にさせてるってこと?」
「正確には、地球人に対して、ですね。なので、チャトランとかは僕のこと『コイツ他の人間と違う~。ヘンな生き物だなー』って、思ってる……かもしれませんね」
ライはふたたび首の後ろのファスナーに手を伸ばした。すると、彫りの深い異国人な顔と筋肉質な人間の身体が、また現れる。
「でも……目の錯覚だけだよね? 触覚は? さわった感じも変化してるのって、どういうこと?」
「だから便宜上『外皮』とも言うんですよ。コレで調節可能なんで」
「……もしかして、触れる対象も、物理的に遮断できたり開放できたりするの?」
なんていうか……仮想現実の進化版みたいだな。
でもまぁ、考えたら地球上の科学や文明を追い越してなければ、異星人なんてやってこれないよね。
「秋良さんアニヲタだけあって、こういう方面への理解力というか順応性高いですよね」
しみじみと納得する私を、面白そうにライが見てくる。
「ちょっと! アニヲタ馬鹿にする発言やめなさいよ! あと私、アニヲタっていうより、二次ヲタだから!」
「別に僕、馬鹿になんてしてませんよ。
第一、秋良さんがそんな秋良さんだったからこそ、僕たちいま、こうして恋人関係になってるんですし」
変なこだわりポイントをもつ私の言葉を華麗に無視したライが、私の両手をつかみ上げた。
愛おしそうに、頬ずりをする。
ふと、思いだしたように噴き出す。
「そうだ。秋良さん、僕以外の異星人とやたらに接触したらダメですからね?」
「は? そんな機会ないし───」
言いかけて、ギョッとする。
「まさか、気づいてないだけで……結構、いたりする、の……?」
「まぁ、そうですね。日本は政府が僕たちのこと黙認している状態ですからね。
他の国───アメリカや中国、ロシアなんかは積極的に僕たちの技術盗もうとしてますしね」
「え? それ、なんかきな臭いヤツ?」
そういえば、ライの上司? とかいうジンなる人物が同意書の文言読み上げる時、不穏な言葉、口にしてたよね?
うーん、と、ライは困ったように笑う。
「あんまり、深く考えないほうがいいですよ? 秋良さんが政治家になるっていうなら、止めませんけど」
「……一国民でいたいです。しかも、非国民寄りだし」
「それより、僕が言った意味、解ってます?」
私は少しこそばゆい思いでライの問いに答える。
「え? 平たくいうと……嫉妬?」
「それは否定しませんけど。実は、さっきの話より現実的でおそろしい話かもしれませんよ?」
「は? 都市伝説的な?」
「いえいえ、実際問題。免疫機能───ウイルスや細菌感染の話です。
……秋良さん、小さい時、猫とか犬とキスしちゃ駄目って、教わりませんでしたか?」
いたずらっぽくライが私の瞳をのぞきこむ。
「ナニそれ。ライ……なんか、ヤバい病気、持ってたりするの?」
思ってました、というライの苦笑いを受け流しつつ、私はライ本来の姿だという彼の身体を思いきり抱きしめる。
やだーっ。なに、この感触!
もふもふなのに、ちょっと硬い。なめらかなベルベットみたいなさわり心地。
その下にあるのは、しなやかな獣の筋肉って感じ。
ああ、どうしよう……、なんか、変なスイッチ入る……!
身もだえる私に対し、ライの鼻先が私の頬に触れた。
「秋良さん。もうそのへんにしてくれないと、今夜は眠れなくなりますよ?」
……それは、朝までアニメ観まくろうかって意味じゃないよね?
私もさすがに自分の体力の限界を思いだし、しぶしぶライの身体から離れた。
「さっき可視光線がどうとかって言ってたけど、それって、目の錯覚? を相手にさせてるってこと?」
「正確には、地球人に対して、ですね。なので、チャトランとかは僕のこと『コイツ他の人間と違う~。ヘンな生き物だなー』って、思ってる……かもしれませんね」
ライはふたたび首の後ろのファスナーに手を伸ばした。すると、彫りの深い異国人な顔と筋肉質な人間の身体が、また現れる。
「でも……目の錯覚だけだよね? 触覚は? さわった感じも変化してるのって、どういうこと?」
「だから便宜上『外皮』とも言うんですよ。コレで調節可能なんで」
「……もしかして、触れる対象も、物理的に遮断できたり開放できたりするの?」
なんていうか……仮想現実の進化版みたいだな。
でもまぁ、考えたら地球上の科学や文明を追い越してなければ、異星人なんてやってこれないよね。
「秋良さんアニヲタだけあって、こういう方面への理解力というか順応性高いですよね」
しみじみと納得する私を、面白そうにライが見てくる。
「ちょっと! アニヲタ馬鹿にする発言やめなさいよ! あと私、アニヲタっていうより、二次ヲタだから!」
「別に僕、馬鹿になんてしてませんよ。
第一、秋良さんがそんな秋良さんだったからこそ、僕たちいま、こうして恋人関係になってるんですし」
変なこだわりポイントをもつ私の言葉を華麗に無視したライが、私の両手をつかみ上げた。
愛おしそうに、頬ずりをする。
ふと、思いだしたように噴き出す。
「そうだ。秋良さん、僕以外の異星人とやたらに接触したらダメですからね?」
「は? そんな機会ないし───」
言いかけて、ギョッとする。
「まさか、気づいてないだけで……結構、いたりする、の……?」
「まぁ、そうですね。日本は政府が僕たちのこと黙認している状態ですからね。
他の国───アメリカや中国、ロシアなんかは積極的に僕たちの技術盗もうとしてますしね」
「え? それ、なんかきな臭いヤツ?」
そういえば、ライの上司? とかいうジンなる人物が同意書の文言読み上げる時、不穏な言葉、口にしてたよね?
うーん、と、ライは困ったように笑う。
「あんまり、深く考えないほうがいいですよ? 秋良さんが政治家になるっていうなら、止めませんけど」
「……一国民でいたいです。しかも、非国民寄りだし」
「それより、僕が言った意味、解ってます?」
私は少しこそばゆい思いでライの問いに答える。
「え? 平たくいうと……嫉妬?」
「それは否定しませんけど。実は、さっきの話より現実的でおそろしい話かもしれませんよ?」
「は? 都市伝説的な?」
「いえいえ、実際問題。免疫機能───ウイルスや細菌感染の話です。
……秋良さん、小さい時、猫とか犬とキスしちゃ駄目って、教わりませんでしたか?」
いたずらっぽくライが私の瞳をのぞきこむ。
「ナニそれ。ライ……なんか、ヤバい病気、持ってたりするの?」
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