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❖グレイな恋人❖
異種接近交遊 Part.1『背徳』
しおりを挟むうん。
確かに、言った。言ったよ?
異国人だろうが宇宙人だろうが、関係ないって。
でもさ。
「……は……っ、秋良、さん……」
その、声で。その息遣いで。
私の上で、あえがないでよ、イヤまじで。
「それ、いつまで続けるの?」
「えっ。それって……どれですか?」
なんか、フツーに終わったけど。
十数年ぶりにも関わらず、記憶にある過去のそれらよりも、ずっとずっと良かったけど。
……いや、なんで普通?
なんだか釈然としない気持ちになりながらも、けだるい身体に残る余韻のままトレーナーを着る私と。
きょとん顔でニットにそでを通す、ライ。
私の指した『ソレ』という言葉に反応してか、自分の身体を見回した。
節くれが目立つ少しごつい手指と、軽くまくられた腕についた厭味のない筋肉。
もしかして、また見せたいのかと疑いたくなるタイミングで持ち上げられたニットのすそからは、割れた腹筋がのぞく───アスリートか、お前は。
「そ・れ!」
私がライの喉もとを指し示すと、ああ、とライは自分の喉仏に触れた。
「だって、秋良さん、好きでしょう? この声」
「……いや、好きだけど」
背徳感がすごいというか。
なんか、緒方さんを穢してしまっているような心地になるというか。
「あと、これ実は翻訳機も兼ねてるんで」
「翻訳機?」
「僕……そうは見えないかも知れないですけど」
そこで、いったんライは咳払いをした。私の耳の側で、ささやく。
「アホなんで」
「はっ?」
「環境適性とか対処能力とかは高いって評価されたんですけどね。
言語解析レベルが致命的に低くて、上司に『お前はコレでも付けとけ!』って、強制的に」
ふたたびライの手が自分の喉仏に触れ、なんか可愛く微笑んだ。
……うん、実はね、時々感じてたんだ、ライはアホかもって。
いや、よくいえば素直なんだけどさ。
だいたい───。
「そのファスナー、なんで隠しとかないの?」
「えっ? ああ……普段は隠してますよ?」
「……私の前で、うっかりというか油断したってこと?」
ライは私の言葉にうーん……と、うなった。
「秋良さんって、基本的に他人を信用する人ですよね」
「そうかな?」
「そうですよ。気をつけてください? 僕みたいなヤツにだまされないように」
スルリと肩に回された腕に捕らわれて、気づけば背中にライの胸板を感じていて。
「……まさか、わざと見せたの?」
「あれ? 気づいちゃいました?」
ちゅっ、って、うなじにくちづけられた上、また、その色っぽい声が私の耳を支配した。
───だからっ!
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