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❖グレイな隣人❖
異種接近遭遇 Part.6『恋人』
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最後に、と、初めてジンが私をまともに見て言った。
「今後の対策ため訊いておきたいのだが。君は、どうやって彼の正体を知った?」
「えっと……」
いや、実はいまもよく解ってません、と、私が答えるよりも前に、ライがあっけらかんと口を挟んだ。
「秋良さんは、ものすっごく勘が鋭い人なんですよー」
「勘……今の段階では参考にならないが、まぁいずれデータ収集で解明されるだろう。ではな」
言うなり、突如として現れた男は、突如として消えた。
……いったい、なんだったの……。
脱力感に見舞われ、大きく溜息をついたあと、ライを見た。
「とりあえず、説明してくれる?」
「秋良さん怒ってる……?」
「まぁ、人並みに」
そう、私は怒ってた。
この際だから、ライが異国人だろうが宇宙人だろうが、どうでも良かった。
問題は、なんの説明もなしに、私の意思を挟む余地なくいろいろ起こって同意させられたことだ。
「さっきのは『異星人間における親善友好及び交遊交接に際する調査協力についての契約』の同意書」
「……平たくいうと?」
ライの早口に耳が追いつかず、じろりとにらみ据えてうながせば、なぜか両手をぎゅっとにぎられた。
「僕と、恋人になるってこと!」
「は!?」
「撤回はお勧めしませんよ? 殺処分になりますし」
いや、笑顔で言うことじゃないし。
「恋人って、故郷の星とかに居ないの?」
「まぁ、飽きてた所に地球への赴任話があったので」
……昭和の大人気歌謡曲かよ。
じゃあ私にもすぐ飽きるんじゃない? と、問う前に否定をされた。
「あ、でも秋良さんとは趣味が合うし。結構長く続くと思います」
何を根拠にそんな、と内心あきれていると、急に真剣な眼差しでライが言った。
「僕はこの約一ヶ月の間、楽しかったけど。秋良さんは、違いました?」
「違……わないけど」
「良かった! じゃ、これからは遠慮なく仲良くできますね。あ、片言で話す僕のほうが好きですか?」
「え? 中身一緒なら別にどっちでも……」
「実はアレ、相手の油断誘うにはいいけど、僕個人としてはまどろっこしいと思ってたので」
まさかのあざと理由……。
あれ? ちょっと待って。
「遠慮って……遠慮してたの?」
「はい。対象者に同意もらえないと、禁止事項に抵触して、良くて強制送還、悪くて殺処分なので」
あっさりと言いきったライが、私の指先にくちづけて、艶っぽく笑う。
「さてと、秋良さん。このままの僕と楽しみます? それとも先に、ファスナー下ろします?」
──欲望か、好奇心か。異国人か、宇宙人か。
どちらせよ、私に断る選択肢はなかった。
──END──
※次ページ、『グレイな恋人』に続きます。
「今後の対策ため訊いておきたいのだが。君は、どうやって彼の正体を知った?」
「えっと……」
いや、実はいまもよく解ってません、と、私が答えるよりも前に、ライがあっけらかんと口を挟んだ。
「秋良さんは、ものすっごく勘が鋭い人なんですよー」
「勘……今の段階では参考にならないが、まぁいずれデータ収集で解明されるだろう。ではな」
言うなり、突如として現れた男は、突如として消えた。
……いったい、なんだったの……。
脱力感に見舞われ、大きく溜息をついたあと、ライを見た。
「とりあえず、説明してくれる?」
「秋良さん怒ってる……?」
「まぁ、人並みに」
そう、私は怒ってた。
この際だから、ライが異国人だろうが宇宙人だろうが、どうでも良かった。
問題は、なんの説明もなしに、私の意思を挟む余地なくいろいろ起こって同意させられたことだ。
「さっきのは『異星人間における親善友好及び交遊交接に際する調査協力についての契約』の同意書」
「……平たくいうと?」
ライの早口に耳が追いつかず、じろりとにらみ据えてうながせば、なぜか両手をぎゅっとにぎられた。
「僕と、恋人になるってこと!」
「は!?」
「撤回はお勧めしませんよ? 殺処分になりますし」
いや、笑顔で言うことじゃないし。
「恋人って、故郷の星とかに居ないの?」
「まぁ、飽きてた所に地球への赴任話があったので」
……昭和の大人気歌謡曲かよ。
じゃあ私にもすぐ飽きるんじゃない? と、問う前に否定をされた。
「あ、でも秋良さんとは趣味が合うし。結構長く続くと思います」
何を根拠にそんな、と内心あきれていると、急に真剣な眼差しでライが言った。
「僕はこの約一ヶ月の間、楽しかったけど。秋良さんは、違いました?」
「違……わないけど」
「良かった! じゃ、これからは遠慮なく仲良くできますね。あ、片言で話す僕のほうが好きですか?」
「え? 中身一緒なら別にどっちでも……」
「実はアレ、相手の油断誘うにはいいけど、僕個人としてはまどろっこしいと思ってたので」
まさかのあざと理由……。
あれ? ちょっと待って。
「遠慮って……遠慮してたの?」
「はい。対象者に同意もらえないと、禁止事項に抵触して、良くて強制送還、悪くて殺処分なので」
あっさりと言いきったライが、私の指先にくちづけて、艶っぽく笑う。
「さてと、秋良さん。このままの僕と楽しみます? それとも先に、ファスナー下ろします?」
──欲望か、好奇心か。異国人か、宇宙人か。
どちらせよ、私に断る選択肢はなかった。
──END──
※次ページ、『グレイな恋人』に続きます。
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